「仰っていました」の基礎知識
ビジネスパーソンであればしっかり押さえておきたい「仰っていました」の基礎知識を解説します。特にこの言葉を何となく使っていた人は、しっかり基礎知識を確認して、日常的に使用する言葉に対する意識を高めていきましょう。

「言っていました」の尊敬語
「仰っていました」は「おっしゃっていました」と読みます。
「仰る」は相手に自分の考えや意見を伝える言葉「言う」の尊敬語です。「仰る」にその動作に徹している状態を表す動詞「いる」が付くと、「仰っている」という形になります。「仰っている」に言葉を丁寧にする助動詞「ます」の過去形「ました」が付いたのが「仰っていました」です。以上のことから、この言葉は「言っていました」の尊敬語といえます。
おっしゃ・る【▽仰る/▽仰▽有る】
[動ラ五(四)]《「おおせある」の音変化》
1 「言う」の尊敬語。言葉を口にお出しになる。言われる。おおせられる。「先生はこう―・いました」「早く―・い」
2 (人名などを受けて)そういう名前でいらっしゃる。「佐藤さんと―・る方」「お名前はなんと―・いますか」
[可能]おっしゃれる
[補説]命令形「おっしゃい」は、多く女性が使う。
[動ラ下二]に同じ。
「おゆき様とお前と逢はせた時、これ限りと―・れたか」〈浄・鑓の権三〉
引用:小学館 デジタル大辞泉
「仰っていました」はひらがなでも漢字でも表記可能な言葉です。ただし、ビジネス文書の中で漢字の「仰っていました」を使うと、やや堅すぎる印象を与えてしまう可能性も。
日常的には、ひらがなの「おっしゃっていました」を用いた方がより柔らかな印象を与えられるでしょう。特段、漢字の「仰っていました」を選ぶ理由がなければ、ひらがなの「おっしゃっていました」を使った方が無難ともいえるかもしれません。
「仰っていました」を使った例文
「仰っていました」を用いた例文には以下のようなものがあります。
「仰っていました」を使うときの注意点
「仰っていました」は使い方を間違えると、相手に不快感を与えたり自分の評価を下げてしまったりする可能性も考えられるため、注意が必要です。
「仰っていました」を使うときに知っておきたい注意点を3つ紹介します。注意点をしっかり頭に入れて、「こんなはずじゃなかった」という事態を未然に防ぎましょう。

立場が同じもしくは下の人に対しては使わない
相手に対する敬意を表現したいからといって、同僚や後輩の発言に対して「仰っていました」を使うのは好ましくありません。「仰っていました」は「言っていました」の尊敬語という位置付けであるためです。
尊敬語は、立場が上の人を持ち上げる目的で使用されます。そのため「言う」の尊敬語として用いられる「仰る」も、取引先や上司など立場が上の相手に対して使うのが基本といえます。
同僚や後輩の発言に対して「仰っていました」を使ってしまうと、不自然な印象を与えてしまうかもしれません。場合によっては、「慇懃無礼(いんぎんぶれい:必要以上に丁寧に接しすぎて逆に無礼になってしまうこと)」と受け取られる可能性があるため、注意が必要です。
シーンに応じて「申していました」を使う
社外の人に対して、自分の上司が言っていたことを伝える際に「仰っていました」を使うのはNGです。「社長や部長に敬意を払わなくては」と思うあまりこの言葉を使ってしまうと、社外の人に対して身内である上司を持ち上げることになってしまいます。社外の人と話す際に持ち上げるべきは対話相手の社外の人であるため、社内の人の発言に対して「仰っていました」を用いるのは避けましょう。
社外の人に対して、自分の上司が言っていたことを伝える際には「申していました」を使うのが正解です。たとえば下記のように使用します。
「仰られていました」は間違った使い方
「仰っていました」をより丁寧な言葉にしたいからといって「仰られていました」と変化させるのはNGです。「仰られていました」は「二重敬語」に当たるため、ビジネスシーンでは好ましくありません。
「仰られる」は、「言う」の尊敬語である「仰る」に、さらに尊敬の助動詞「れる」が付いた二重敬語表現です。
二重敬語は、相手に仰々しい印象を与えるばかりで真意が伝わりにくくなるため、ビジネスシーンでは適切ではないとされています。二重敬語を使ってしまわないよう十分注意しましょう。
まとめ
- 「仰っていました」は「言っていました」の尊敬語
- 「仰っていました」は立場が上の人に対して使用する言葉
- より丁寧にしたいからといって「仰られていました」はNG
「仰っていました」はビジネスパーソンが使う敬語の中でも、特に使用頻度が高い言葉の1つです。あまりに一般的な言葉になっているため、その意味や使い方を確認しないままに、何となく「周りが使っているから」と会話や文書の中で使っている人も多いでしょう。「仰っていました」は使い方を間違えると、思わぬ事態に陥ることもある言葉です。この機会に意味や注意点を確認して、間違った使い方をしないようにしましょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。
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