節分は2月3日固定ではない
節分は、毎年2月3日だと思っていませんか?じつは、節分の日は固定されているわけではありません。
節分の前日である立春は毎年同じ日ではないため、必然的に節分の日も変わります。なぜなら、立春は「二十四節気」のひとつで、太陽の動きを元に決められているためです。
1年は365日ですが、地球が太陽の周りを1周するのに掛かる日数は365日と6時間前後です。さらにうるう年が入ることもあり、ズレが生じるので立春の日付が変動します。すると、立春前日の節分の日も変わることになります。
恵方巻きの食べ方
恵方巻きを食べるときには、いくつかの決まりがあるのはご存知ですか?2つのポイントをご紹介いたします。
丸かじりするのが基本
恵方巻きとは、節分に食べると縁起が良いとされる巻き寿司で、七福神にあやかり7種類の具が入った太巻きがよいとされています。店頭では、1本そのままの状態で販売されていますが、これにはきちんと理由があります。恵方巻きを食べるときは食べやすい大きさに切ったりせずに、そのまま1本を丸かじりするのが正しい食べ方とされているためです。独特な食べ方から、「丸かぶり寿司」と呼ばれることもあります。
1本そのまま丸かじりするのは、包丁で切ってしまうと幸運が途絶えたり縁が切れたりする、幸運やご利益を一気にいただく、などの意味があるとされています。
恵方を向いて黙って食べる
恵方巻きは、恵方を向いて食べるのが基本です。食べている最中はよそ見をせずに、その方角だけを見つめて食べることが大切です。また、願い事を唱えながら黙って一気に食べましょう。黙ったまま一気に食べないと、ご利益が得られないといわれているためです。
小さな子どもや小食な人は、食べきれないこともあるため、市販の物ではなく手作りして細めや短めに巻くのがおすすめです。
他にもある節分の行事食
恵方巻き以外の節分の行事食も楽しんでみませんか?どのような食べ物があるのかご紹介します。
落花生
豆まきは炒った大豆を使いますが、「落花生」を使う地域も少なくありません。特に北海道や東北地方では、多くの家庭で落花生が使われています。
雪の中でも拾いやすいのが大きな理由ですが、ほかにもメリットがあります。大豆を使う場合は、衛生的な面から、まいた豆と食べる豆は別に用意する家庭が多いと思いますが、落花生は殻のまま豆まきをすれば、まいた物をそのまま食べられます。
また、落花生は大きいため家具と家具の間に入ってしまうことも少なく、見つけやすいので拾い残しもなく、後片付けも比較的楽です。いままで大豆を使ってきた人にもメリットがありそうです。
イワシ
節分には、魔除けとしてイワシを飾る「柊鰯(ひいらぎいわし)」と呼ばれる風習が平安時代からあります。鬼はとがった物を嫌うと考えられているため、トゲトゲした葉が特徴のひいらぎの枝に、焼いたイワシの頭を刺して門や玄関に飾るのです。
同様に、イワシを焼くときの独特な臭いや煙を鬼が嫌がり、寄せ付けないと考えられているため、厄除けの意味で「イワシ」を食べる風習が残っている地域があります。
もともと節分にイワシを焼くことがポイントなので、シンプルな塩焼きがおすすめですが、体がポカポカするショウガ煮などにしてもいいですね。
節分そば
長野県や島根県の一部などでは、節分にそばを食べる風習が残っています。「節分そば」と呼ばれ、現在の年越しそばに当たります。
江戸時代には、節分にそばを食べる風習があり、年越しそばと呼ばれていました。当時は立春が1年の始まりという考えがあったため、前日の節分を年越しと捉えたためです。現代のように、大晦日に食べるそばが年越しそばと呼ばれるようになったのは、明治時代からといわれています。
節分そばは、食べる時間や具材などに特に決まりはありません。好きな時間に好きな食べ方で食べましょう。
年中行事、ならわし、旬の食べ物、まつり…1年を通じて楽しいことがいっぱい! 二十四節気も暮らしに潤いをもたらします。季節とともに暮らすノウハウやちょっとしたアイデアが満載です。
和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店) ほか多数。
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