【目次】
・人はなぜ「怒り」を感じるの?
・「すぐ怒る人」が怒る理由とは?
・「怒り」から生じるメリットとは
・「怒り」から生じるデメリットとは
・「怒り」を上手にコントロールする方法
・「怒り」の感情を上手にコントロールしよう
【目次】
人はなぜ「怒り」を感じるの?
はじめに人はなぜ怒りを感じるのか、その理由を探りましょう。
■本来人間が持っている防衛感情
怒りは、本来人間が持っている防衛反応のひとつ。これは動物も同じで、自分を守るために怒りを感じるのです。たとえば、普段大人しい動物も、ほかの動物から襲われ命の危険がある場合は怒りをあらわに戦います。人間も生存を脅かされると怒りを感じるのです。
■自分の大切なものを守るため
人間が怒りを感じるのは、自分の身だけでなく家族や大切なものを守るためです。人間の場合、動物のように「生きるか死ぬか」という究極のときだけでなく、たとえば自分の権利や立場、プライドなどを傷つけられたときも怒りを感じます。
それは自分にとって、とても大切なものだからです。守りたいと感じる対象は、人によって異なります。わかりやすいのは、親が子どもを守りたいという感情でしょう。子どもが襲われそうになったり、危険な状況になったりしたときに、人は怒りを感じるものです。
人間の感情は複雑なため、怒りが生じるきっかけやその対象はさまざま。だからこそ、やっかいな感情といえるのかもしれません。
「すぐ怒る人」が怒る理由とは?
それでは、すぐ怒る人はなぜ怒るのでしょうか。いくつかその理由をご紹介します。
■自分はいつも正しいと信じているから
自分がいつも正しいと信じている人は、「自分が間違っているかも」とは思いません。そのため、いつも相手が間違っていることになり、怒りを感じてしまいます。大切なはずの「正しい」自分のやり方や考え方が通らず、思い通りに物事が進まないと怒るのです。
仕事や日常生活において、そもそも自分の思い通りになることはそう多くないため、怒る理由に囲まれているといってもよいでしょう。
■神経質で細かいことが気になるから
神経質で、他人の細かいことが気になる人もすぐ怒ります。神経質な人は周りをよく見ており、普通の人であれば気づかないような細かいことまで気づきイライラしてしまうのです。
たとえば、ファイリングがきちんと順番通りになっていない、スリッパが左右揃っていない、洋服が思った通りに畳まれていない、といった他人がやった細かなことにイライラして怒り出します。
おおらかな人は「ちょっと違うな」と思ったときは自分で直しますが、神経質な人の中にはわざわざ間違った犯人を見つけ、怒りを相手にぶつける人もいます。そうでなくても、ひとりでイライラして怒りっぽくなっている人は少なくないでしょう。
■自分を大きく見せたいから
自分を大きく見せたい人も、すぐ怒る傾向にあります。周りからバカにされたり、低く評価されたりするのが過剰に我慢ならないのです。
大きな声で怒る、体をそり返して少しでも大きく見せる、こういった行動や態度は自分を大きく見せるための演出ともいえます。本当は小心者で、周りからの印象を非常に気にしているからこそ。このような人は、自分より強い人や立場が上の人に怒ることはないでしょう。
「怒り」から生じるメリットとは
怒ることは、デメリットばかりではありません。怒ることで生じるメリットもあります。ここでは、怒りから生じるメリットを2つご紹介しましょう。
■より高みを目指すモチベーションになる
怒りは、より高みを目指すモチベーションになりえます。たとえば、試合に負けたスポーツ選手が怒りをバネにして練習に励み、プロになったりオリンピックで金メダルを獲得したりといったパターンです。
怒りの対象は、ライバルだけでなく自分の不甲斐なさも含まれるでしょう。「勝ちたい、優勝したい」という欲求と「次はあいつに負けるもんか」という怒りは、ほぼ同じようなモチベーションといえます。
漫画や映画、小説の世界でも、怒りはなにかを生み出すエネルギーとして、また時代や体制を変えるエネルギーとして描かれることが多いもの。「喜怒哀楽」の4つの感情のなかで、最も大きなエネルギーを生み出し、また高みを目指すモチベーションになりえるのは「怒」の感情といえるのではないでしょうか。
■自分の本気度が伝わる
怒ることで、自分の本気度が伝わることがあります。たとえば、危険な遊びをしている自分の子どもに対して、親は真剣に怒るでしょう。本気で怒らないと「危ない、命にかかわる」ということが子どもに通じないからです。
対人関係において、通常は、本気の怒りをぶつけることもぶつけられることも少ないため、誰かが本気で怒っているとその人の本気度が伝わります。そもそも本気でなければ、怒りは湧いてこないでしょう。
怒りのエネルギーは相当なもの。もちろん、怒られる人は嫌な思いをしますが、怒るほうも自分の気持ちに振り回されてエネルギーを消費します。それでも本気になって相手になにかを伝えようとするとき、人は真剣に怒るのです。
「怒り」から生じるデメリットとは
次に、怒りから生じるデメリットを2つご紹介しましょう。
■人間関係が悪くなる
怒ることで生じる一番のデメリットは、人間関係が悪くなることです。周りにすぐ怒る人がいると、一気に場の雰囲気が悪くなります。せっかく穏やかに話していたミーティングも、ひとりが怒りの感情を出してしまうことで台無しになってしまう、ということも。
また、その人自身にとってもデメリットは大きいでしょう。「怒りっぽい人」「自分の感情をコントロールできない未熟な人」と評価されます。通常、そのような怒りっぽい人と仲良くなりたいという人はいないはず。「怖い人」と烙印を押され、距離を取られてしまいます。
■エネルギーを使うので無駄に疲れる
先ほども説明しましたが、怒りのエネルギーは相当なもので、無駄に自分を疲れさせます。ストレス発散のように怒りを爆発させる人もいますが、怒りがヒートアップすると心拍数も上がり、体にも心にも負荷がかかります。
怒ることでストレス発散しているつもりでも、実は逆効果なのです。
「怒り」を上手にコントロールする方法
ここでは、怒りを上手にコントロールする方法をご紹介しましょう。怒りっぽい人のなかには、自分の性格を直したいと思っている人もいるはずです。普段から気をつけることで、ある程度怒りをコントロールできるようになるでしょう。
■感情のピークをやり過ごす
人が怒りを感じるピークは最初の6秒と言われ、このピークをやり過ごすことが感情をコントロールすることにつながります。その6秒をやり過ごすと、怒りは次第に収まっていくのです。また、自分の怒りを数値化することも効果的でしょう。
今、感じている怒りは「10のうち2なのか、5なのか、それとも10なのか」と数値化することで冷静になれます。不安定な感情に振り回されることなく、ベースを数字で把握することは「アンガーマネージメント」の基本です。
自分の怒りを、整理して言葉として表現ですることも効果的です。現代の子どもは、怒りを表す言葉として「ふつう」「ヤバい」「キレる」の3種類しかないといわれています。自分の感情をきちんと言葉にできないため、感情が先に爆発してしまうのです。
どうして怒っているのか、どうすれば怒らずにすむのか、自分の感情や考えを言葉にして相手に伝えることで、スムーズにコミュニケーションが取れて余計な怒りを感じることは少なくなるでしょう。
■思考の許容範囲を広げる
思考の許容範囲を広げることも、怒りをコントロールすることにつながります。たとえば、数人の友達と12時に駅で待ち合わせの約束をすると、12時前に来る人、12時ぎりぎりに来る人、20分も30分も遅れてから来る人とさまざま。
なぜこのような違いが生じるかというと、人によって許容範囲が異なるからです。12時集合であれば、前後10分が許容範囲の人、15分までは許容範囲の人、20分〜30分遅れても大丈夫と許容範囲が広めの人、と許容範囲が異なるためこういう現象が起こります。
自分の許容範囲と相手の許容範囲を合わせれば解決する、と考える人もいることでしょう。しかし、許容範囲を一緒にすることはほぼ不可能。育ってきた環境や価値観が異なる人は、許容範囲が異なるのは当然だからです。
人によって許容範囲が異なると知っていれば、相手に悪気があるわけではなく単に許容範囲の問題と気持ちを切り替えられますね。普段から自分の許容範囲をできるだけ広めにし、また自分の許容範囲を相手に伝えることで、怒りを感じるような状況は少なくなります。
■コントロールできることに集中する
コントロールできることに集中することも、怒り自体をコントロールすることにつながります。そもそも、自分がコントロールできないことにイライラするのは無駄です。
変えられないことやコントロールできないこと、また重要でないことは放っておきましょう。世の中は、自分がコントロールできないことのほうが多いのです。そのたびに怒りを感じ、自分のエネルギーを消費するのはもったいないと発想を変えてみましょう。
「怒り」の感情を上手にコントロールしよう
怒りを抑えることは非常に難しいことですが、その方法を知っていると少しずつ自分の感情をコントロールできるようになり楽になります。怒りを爆発させることは、周りとの人間関係を悪くし、自分のエネルギーをただ消耗するだけです。
ただし、怒りをよい方向に向けることができれば、モチベーションを高めることにつながります。自分のエネルギーをどちらに向けるのか、余計な怒りをどうやって解消するのか、よく考えて自分の感情と向き合うことが大切でしょう。
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