使い⽅を例⽂でチェック
「ご健勝」はビジネスシーンにおいて、メールや文書の「時候の挨拶」、「締めの挨拶」に用います。そのような場面で、どのように「ご健勝」を使うのか、例文を見ていきましょう。
「〇〇様におかれましては、益々ご健勝のことと存じます」
「益々」とは、「よりいっそう」という意味。「存じます」は、「知る」や「思う」の謙譲語です。よって、この場合は「〇〇様は、よりいっそう健康でいらっしゃると思います」という意味になり、メールや文書の冒頭で、挨拶として使われます。
【文の冒頭の挨拶に“ご健勝 ”を使う書き方】
「頭語」+「時候の挨拶」+「ご健勝~(安否を尋ねる)」+「書き出しの挨拶」+〈本文〉
(例)拝啓 早春の候、〇〇様におかれましては、益々ご健勝のことと存じます。平素より、格別のご厚誼をいただき、誠にありがとうございます。
「〇〇様におかれましては、ご健勝のこととお慶び申し上げます」
こちらも、メールや文書に冒頭の挨拶として使われる表現です。「お慶び申し上げる」とは、「嬉しく思う」という意味。「〇〇様が、健康でいらっしゃることを嬉しく思います」というニュアンスの表現になります。
「末筆ながら〇〇様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます」
こちらの表現は、メールや文書の末文に結びの挨拶として入る例です。「末筆ながら」とは、「最後になりますが」というニュアンスで、文章の最後に記す言葉。「最後になりますが、〇〇様の健康と幸せを祈っています」という意味の表現になります。
ご健勝を使うときの注意点
「ご健勝」は丁寧な表現ではありますが、使用する際にはいくつか注意したいポイントも。相手に手紙を送る際のマナーとして、覚えておきたいですね。
病気を患っている人には使用を控える
「ご健勝のことと存じます」は、「健康でお元気でいらっしゃることと思います」という意味。そのため、病気を患っている方や怪我をしている人には使用できません。もし、高齢の方やしばらく連絡をとっていない人に手紙を送る際には、相手の近況を確認してから使うほうが賢明でしょう。
企業や組織に対しては使えない
「ご健勝」は、個人の健康を気遣う際に使う言葉です。企業や組織の発展などを気遣う際の言葉としては相応しくありません。代わりに、「ご清栄」や「ご発展」を使ってみるといいでしょう。相手の会社の繁栄を喜ぶ語として、「ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」と伝えることができますよ。
主に書き言葉として使われる
「ご健勝」は、改まったスピーチなどでは、話し言葉として出てくることもあります。しかし、主に書き言葉としてビジネスメールや文書に用いられ、日常会話ではあまり使われません。日常会話では、「お元気そうで何よりです」や「お体を大切になさってください」と言うほうが自然でしょう。
類語には、どのようなものがある?
つぎに、「ご健勝」の言い換え表現には、どのような言葉があるのでしょうか? ビジネスメールや文書で、使われる言葉を中心に見ていきます。
「ご清祥(ご せいしょう)」
「ご清祥」は、相手が健康で幸せに暮らしているさま。こちらの表現も、メールや文書において、個人に対して健康や幸せを祈る挨拶の言葉として用いられます。
(例)ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
「ご発展(ご はってん)」
「発展」の意味は、「物事の勢いなどが伸び広がって盛んになること」。「ご発展」とすることで、相手(会社や組織)の繁栄を称えたり、願うという意味の文章になります。「ご健勝」は個人に向けて使う表現であるのに対して、「ご発展」は会社や組織に対して使う表現ですので注意してください。
(例)益々のご発展を祈念申し上げます。
「ご多幸(ご たこう)」
「ご多幸」とは、相手の幸せを願う気持ちを表現した言葉。ビジネスメールや文書で「ご健勝」とセットで使われることが多い言葉ですよね。また、「幸せ」は個人が感じるもので、個人に対して使う表現です。会社や組織に対しては、前述したように「ご発展」としましょう。
(例)末筆ながら、〇〇様のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。