「白露の候」
「白露」も二十四節気のうちの一つ。「白露の候」は、9月7日頃から9月23日の「秋分」の前まで使える時候の挨拶です。
「秋冷の候」
「秋冷の候」は、9月下旬から10月中旬頃まで使える時候の挨拶です。
「爽秋の候」
「爽秋の候」は、爽やかで心地のいい季節になったことを伝える秋の挨拶で、9月全般に使える言葉です。
「野分の候」
「野分の候」は、野の草を吹き分ける風という意味があり、台風が増える時期を表す挨拶です。9月前半に使える挨拶ですが、中でも台風の厄日として知られる二百十日(9月1日ごろ)や二百二十日(9月10日ごろ)の時期に使うと良いでしょう。
【目次】
9月の時候の挨拶・ビジネスで使える「口語調」の慣用句
「口語調」の時候の挨拶も、カジュアルになりすぎなければ、ビジネスで使っても問題ありません。例えばお世話になった取引先に、担当変更や異動の挨拶の手紙を出す場合には、「口語調」を使うといいでしょう。親しくしていた相手に、かしこまった「漢語調」では、距離を作ってしまうかもしれません。そういった場合は、親しみを込めて「口語調」を使うと効果的です。
「9月とはいえ残暑厳しく、本格的な秋の訪れが待たれる毎日でございます」
日中はまだまだ厳しい暑さが残る9月上旬は、「残暑」という言葉を使うことができます。時候の挨拶では、秋の訪れを心待ちにする内容もいいでしょう。
「ようやくしのぎやすい季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか」
9月中旬にはもう「残暑」という言葉は使いません。本格的に秋を意識した挨拶を使う季節です。「暑さ寒さも彼岸までと言いますが~」というフレーズも、この時期によく使われる挨拶です。秋の彼岸は、9月20日から26日頃を指します。
「暦の上では秋分も過ぎましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか」
9月23日頃の「秋分」を過ぎてから使える時候の挨拶。挨拶文で「秋分」を使えるのは10月初旬までです。
9月の時候の挨拶・お礼状で使える例文は?
9月に出す案内状や礼状で使える例文を紹介します。時候の挨拶で始まり、本題があって、最後に結びの言葉で締めくくるのが一般的です。
例文1
拝啓 秋晴の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご厚情を賜り深く御礼申し上げます。
〈本題〉
今後とも一層のご高配ならびにご支援賜りますようお願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中にてご挨拶まで申し上げます。
敬具
例文2
拝啓 すっきりしない雨の日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
〈本題〉
秋雨の季節、体調を崩されませんようご自愛ください。
敬具
【書き出し】9月上旬に使える挨拶例文
9月上旬は、例年夏の暑さが続いていることが多いため、口語調の挨拶では「残暑が残る季節ではありますが…」などと、体調を気遣う一言を加えてみるのもいいでしょう。
【漢語調の例文】
「初秋(しょしゅう)の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申しげます」
「早秋(そうしゅう)の候、ますますご清栄のこととお慶び申しげます」
「新秋(しんしゅう)の候、ますますご清栄のこととお慶び申しげます」
「重陽(ちょうよう)の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます」
【口語調の例文】
「まだ、残暑が残る季節ではありますが、お元気でいらっしゃいますか」
「清々しい秋晴れが広がる時期となりました」
9月上旬の挨拶としては、「初秋(しょしゅう)の候」「早秋(そうしゅう)の候」「新秋(しんしゅう)の候」などを使うといいでしょう。ちなみに、初秋は二十四節気の「立秋」(8月7日頃~22日頃)と「処暑」(8月23日頃~9月6日頃)の期間を指します。そのため、9月6日頃までに使うのが適切です。「重陽」は9月9日に設定されている「重陽の節句」のこと。別名「菊の節句」とも呼ばれ、「重陽の候」はちょうどその辺りに使用することができる挨拶です。
【書き出し】9月中旬に使える挨拶例文
9月中旬は秋らしい、爽やかな風や過ごしやすい天候などについて触れてみるのもいいですね。
【漢語調の例文】
「白露(はくろ)の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申しげます」
「早涼(そうりょう)の候、ますますご清栄のこととお慶び申しげます」
「名月(めいげつ)の候、時下ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます」
【口語調の例文】
「清々しい秋の気配が感じられる季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか」
「秋になり、涼しくなってまいりましたが、お変わりございませんでしょうか」
「風に揺れるすすきに風情を感じる季節になりました」
「白露」は二十四節気のひとつで、9月7日頃~9月23日頃のこと。「早涼」は秋の涼しさを意味する言葉なので、だんだん秋らしい季節になってきた中旬頃にふさわしい表現でしょう。「名月」は中秋の名月の頃を表し、2024年は9月17日です。その年によって日にちが異なりますので、確認してから使うようにしましょう。
【書き出し】9月下旬に使える挨拶例文
9月下旬は、だんだんと秋が深まり、寒さや長雨について話題にあげるのもいいでしょう。体調を気遣う一言を添えると、相手も喜びますね。
【漢語調の例文】
「秋冷(しゅうれい)の候、ますますご清栄のこととお慶び申しげます」
「秋雨(しゅうう)の候、貴店ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます」
「良夜(りょうや)の候、ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます」
【口語調の例文】
「秋も深まり肌寒くなってまいりましたが、皆さまお健やかにお過ごしでしょうか」
「秋の長雨が降る時季となりましたが、お元気でいらっしゃいますか」
「風にゆれるコスモスに秋の深まりを感じる頃、いかがお過ごしでしょうか」
「秋冷」は秋に変わり冷たい風を感じる季節に使える挨拶で、残暑が過ぎ去った9月の下旬頃から使えます。「秋雨」は秋の雨がしとしと降る季節の挨拶で、秋雨前線が通過する時期を意識して使用すると良いでしょう。「良夜」は澄んだ夜空に月が美しい9月の下旬に最適なの時候の挨拶です。
【結び】9月上旬に使える挨拶例文
秋ならではの締めくくりの言葉を加えてみるのも、おすすめです。「秋の味覚」や「虫の音」など話題にすることで、秋がやってきたことを実感できることでしょう。
「残暑厳しき折、くれぐれもご自愛くださいませ」
「今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます」
「ぜひ、秋の味覚を堪能してください」
「虫の音をききながら、お健やかにお過ごしください。」
【結び】9月中旬に使える挨拶例文
夏の暑さからの季節の変わり目で、体調を崩す人が多くなる時期です。相手の健康を気遣う一言を入れるといいですね。
「末筆ながら、一層のご隆盛を衷心よりお祈り申し上げます」
「朝夕はしぎやすくなりましたが、油断なさらずお身体にご留意ください」
「夏の疲れが出る頃です。くれぐれもお身体にご留意ください」
「秋風が心地よい季節となりました。益々のご活躍をお祈り申し上げます」
【結び】9月下旬に使える挨拶例文
色づく木々の色や過ごしやすい天候について一言入れると、季節感のある結びの挨拶になるでしょう。
「実りの秋、貴社ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます」
「吹く風も心地よい季節、ますますご活躍ください」
「季節の変わり目ですので、皆様体調を崩されませんようご留意ください」
「秋たけなわの好季節、一層のご隆盛を心よりお祈り申し上げます」
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9月の挨拶で用いられるキーワード
9月の旬の食材や食べ物などを話題に加えてみると、より親近感を持ってもらえる挨拶文になりますよ。ぜひ参考にしてみてください。
花や動植物
コスモス、竜胆、われもこう、秋の七草(萩・桔梗・葛・藤袴・女郎花・尾花・撫子)、虫の音(鈴虫・コオロギ・松虫)
食べ物
ぶどう、梨、いちじく、おはぎ、月見団子、松茸、秋刀魚、里芋、薩摩芋、秋茄子、むかご、葡萄、戻り鰹
最後に
二十四節気は中国の黄河流域の気候が元となっているので、そもそも日本の季節感とは異なります。いくら暑くても、暦の上では9月はもう秋。寒さの厳しい2月初旬も暦の上では「立春」で、春ということになります。このため、「挨拶文は季節を先取り」と覚えておくといいでしょう。
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