「できかねる」のほかの表現5つ
「できかねる」と類似の表現に「承りかねます」「お受けできません」「お断りせざるを得ません」「ご遠慮申し上げます」「お役に立てません」の5つがあります。
やんわりと「できない」を伝えるために、クッション言葉を使ったり代替案を示したりする方法もありますが、ほかの表現に言い換えるのもトラブルを避けるひとつの方法です。「できかねる」や「できかねます」「いたしかねます」とあわせて覚えておきましょう。
「承りかねます」
「承りかねます」は、「承る」に不可能や困難を意味する「かねる」がついた言葉で「承るのが困難です」という意味です。相手から何か依頼された場合に、「対応できません」と断るときに使います。
例文
・お客様のご要望はよく分かりましたが、当社では承りかねます。
・大変申し訳ございませんが、先日のご依頼は承りかねます。
「お受けできません」
「お受けできません」を使うと「できない」という意思を「できかねる」よりストレートに伝えられます。「できかねます」は、はっきりとした「NO」ではないため、「どうなんだろう?」と思う人がいるのも事実です。そのためきちんと「できません」と相手に伝えたいときは、「お受けできません」のほうが適しているでしょう。
たとえば、根拠もなく何度もクレームを言ってくるお客様に「できない」ときっぱり伝えるのにふさわしい言葉です。 ビジネスでは、どうしてもできないこともあります。そういった場面で「お受けできません」が使えるでしょう。「お受けすることができません」はより丁寧な表現です。
例文
・大変残念ではございますが、今回の案件はお受けできません。
・ご要望はありがたいのですが、やはりお受けできません。
「お断りせざるを得ません」
「お断りせざるを得ません」は「お断りしないわけにはいかない」という意味で、「断りたくありませんが、断らないといけないのです」といったニュアンスを含みます。
例文
・非常に残念ですが、今回の件はお断りせざるを得ません。
・会合に参加したいのですが、時間が取れずお断りせざるを得ません。
「ご遠慮申し上げます」
「ご遠慮申し上げます」は相手のことを考慮して断る場合に使う表現です。「遠慮」とは「人に対して行動や言動を慎むこと」「辞退すること」という意味。「できかねる」はなんらかの事情があって相手の要望に応えられない場合に使いますが、「ご遠慮申し上げます」はどちらかというと相手のことを考えて断るといったニュアンスがあります。
例文
・恐縮ではございますが、喪中につき新年のご挨拶をご遠慮申し上げます。
・以前のお申し出は、せっかくですがご遠慮申し上げます。
「お役に立てません」
「お役に立てません」は、「自分の力不足のため、あなたの要望にはとうてい応えられません」という意味があります。「できかねる」よりも丁寧な表現です。「お役に立てません」もいくつか例文を挙げましょう。
例文
・このような良い条件であっても、当社はお役に立てないでしょう。
・皆様のご要望にお役に立てず、大変申し訳ありませんでした。どうか、お許しください。
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「できかねる」の英語表現とは
最後に、「できかねる」の英語表現を説明しましょう。
・I’m afraid〜/I’m sorry〜
「申し訳ありませんが〜」「すみませんが〜」という意味で、これらの言葉の後には否定の「できません」といった内容が続きます。
・I can not〜
そのまま「〜できません」という意味です。
・It is difficult for us to〜
「〜をするのが難しいです」と、これも「できません」と断るときに使います。
・I will not be able to accept〜
メールや手紙で顧客からの要望や提案を断る場合に使う英語です。
例文
・I’m glad you got in touch with me, but I’m afraid I can’t help you.
お話をいただいたにも関わらず、大変申し訳ありませんがお役に立てません。
・I’m sorry, I’m afraid I cannot meet your request.
ごめんなさい。あなたのリクエストにお応えいたしかねます。
・I can not agree with you on this point.
その点につきましては、同意いたしかねます。
・It is difficult for us to lower this price anymore.
これ以上の値下げはできかねます。
・I’m afraid that I will not be able to accept it.
まことに残念ではございますが、お受けできかねます。
「できかねる」を使って丁寧かつ婉曲に伝えよう
ビジネスシーンでは「できない」と断わざるを得ないこともあります。このような場合でも、相手の気持ちを慮って丁寧に婉曲に伝えることが大切です。とくに顧客からのクレーム対応では、気持ちを込めて「できかねる」を伝える必要があるでしょう。相手の依頼を断るときに使える表現をいくつも覚えておき、時と場合によって適した言葉を選びましょう。
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