暴落時にめちゃくちゃ稼げる空売り(からうり)の技術
とめちゃん:先生、“買いは家まで売りは命まで”(※2)という有名な相場格言があるじゃないですか。だから、やっぱりどうしても空売りは怖いです。
※2 買いは、株価が下落した場合に底があるので損失額に限度があるが、売りは、上昇した場合、上限なく上がってしまうため、一歩間違えると、立ち直れないほどの損失を抱えてしまうことから、このような格言が生まれた。
林先生:確かにそうですね。ですが、コロナショックのように、世界中の株がすべて暴落しているときに、買い(※3)だけもっているのも、逆に怖いですよ。
※3 これから上がると思って保有している株のこと
とめちゃん:どういう意味ですか?
林先生:空売りができないと、ただ、ひたすら株価が上がってほしいと願うしかないじゃないですか。でも空売りという仕組みが株にはあるので、それを利用しない手はないです。株の売買には、現物取引と信用取引があるのですが、空売りは、信用取引で行います。
とめちゃん:現物取引と信用取引はどう違うのですか?
林先生:現物取引は、自己資金内で売買を行います。基本的には、これから上がると思う株を現物買いして、上がったら(下がっても損切りで)現物売りします。
対して信用取引は、自己資金や保有証券の評価額の3.3倍まで枠があり、その枠内で売ったり、買ったりできます。例えば、元手と保有証券が30万円分あったら、100万円くらいの売買ができます。
空売りは、信用取引で持っていない株を証券会社に借りて行います。現物取引ですと、株を借りられないので、信用取引を利用する必要があります。
とめちゃん:そうなのですね。今ひとつよく理解できていないのですが、空売りはどうやって利益が出るのですか?
林先生:例えば、今後、A社の株が下がると思って、空売りをしたいとしましょう。空売りをするときは、証券会社から、A社の株を一時的に借りてきます。
とめちゃん:先ほども株を借りるとおっしゃいましたが、どうして株を借りられるのですか?
林先生:機関投資家や会社などが、どうしてもある株を長期保有していないといけない場合があり、そういった株を貸してくれるのです。僕たちは、証券会社を通して、その株を借りられる仕組みになっています。
とめちゃん:へー、株を借りたり、貸せるなんて知りませんでした。
林先生:もし長期保有の株がある場合、とめちゃんのような個人投資家さんも株を貸して、金利を得ることもできるのですよ。
とめちゃん:私たちもできるなんて知らなかったです(驚)。
林先生:逆にいうと、僕たちが空売りするために株を借りる場合、貸株料、株不足のときに生じる逆日歩(※4ぎゃくひぶ)などがかかってきます。
※4 信用取引の売建が多くなると、証券金融会社(証券会社が株や資金を調達する会社)で株が不足し、証券金融会社は機関投資家等から不足した株を調達しなければいけなくなる。その時に発生した費用が品貸料(逆日歩)となる。
とめちゃん:だから空売りするときは手数料がかかるのですね。よく理解できました。
林先生:話を戻しますね。A社の株価が5,000円のときに、証券会社に株を借りた状態で、市場に売るとします。A社は、単元(※5)が100株だとすると、50万円(5,000円×100株)が手元に入ってくることになります。(形式上のことで実際に現金がもらえるわけではありません)
※5 銘柄ごとに、売買できる単元株数が決まっている。1株から買える銘柄もある。おおむね100株から売買できることが多い。また証券会社によって100株単元の銘柄を1株から購入できるサービスもある。
予想通り、4日後に株価が4,500円まで下がったとします。この時点で500円(5,000円-4,500円)×100株=5万円の利益が出ていることになります。証券口座には、5万円の含み益が表示されています。それを買い戻し決済すると、5万円が証券口座に入ってくるという仕組みです。
とめちゃん:買い戻しって?
林先生:証券会社から株を借りてきているため、今度は、市場で株を買って、証券会社に戻すことで、買い戻しが成立し、含み益の利益が確定します。
とめちゃん:なるほど! 逆に予想と反して、5,200円に上がってしまったらどうなるのですか?
林先生:いい質問ですね。上がってしまうと、-200円(5,000円-5,200円)×100株なので、証券口座には、2万円の含み損が表示されます。そのまま買い戻し決済すると2万円のマイナスとなります。
とめちゃん:ぴえん。やっぱりこわいです…。
林先生:うーん、それは現物買いも同じです。上がると思って買っても、下がったら、マイナスになりますよね。
とめちゃん:確かにそうですね。
林先生:僕たちは、買いも売りもリスクは一緒と考えています。買いも売りと同じように怖いものです。
とめちゃん:勉強になります! ちなみに、証券口座のアプリを見ると、どのボタンを押せばいいかわかりません。制度信用と一般信用はどちらを使うのですか?
林先生:制度信用を使うことが多いです。一般信用は、PTS(※6)のように、証券会社が独自に運営しています。一般信用は、昔よりも取り扱い銘柄が増えてきたので、空売りしたい銘柄が一般信用でもあった場合は、そちらを利用してもいいと思います。
※6 証券取引所を介さず、証券会社独自で株式を売買できる取引システム。取引所が閉まっている夜間などに取引できる。
とめちゃん:わかりました。
林先生:一般信用は無期限なのですが、制度信用の特徴として、半年の期限があります。
とめちゃん:半年の期限とは?
林先生:どんなに利益が出ていたり、損失が出ていたとしても、半年以内に決済しないといけないルールがあります。ただ、僕たちは1日~3日、長くても1、2週間で決済しますし、半年も持っていることはないので、あまり気にしなくても大丈夫です。
とめちゃん:はい! 空売りってただただ怖いと思っていましたが、よく知らなかったから怖かったんだとわかりました。
林先生:そうです。理解できていないと人は怖く感じるもの。空売りを上手に活用できると、稼げるチャンスが2倍になるので、ぜひマスターしてください。
とめちゃん:そうですね! 空売りもできるようになって、ますます富めちゃいます♪
次回、『勝てる銘柄選びのコツ』に続く。
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イラスト/おめがちゃん チャートの引用元/ストックシミュレーション 取材・文/とめちゃん
とめちゃんはこの本に出会い、株式投資に開眼。会社員をしながら、株でお給料以上稼げるようになった林先生が実践している、再現性の高い手法が網羅されています。すでに4刷りのベストセラー投資本!これから株式投資トレードしたい方必読の1冊。