拝見するの意味は?正しい使い方と間違った使い方
拝見するとは、敬意をはらって何かを見ることを意味する言葉です。拝見するは自分の見るという行為を、目上の方や上司に伝える時に使います。
ビジネスの場でもよく使われる言葉ですが、気づかないうちに二重敬語になっていたり、目上の方の行為に対して使っていたりと間違いやすい言葉でもあるので注意が必要です。正しい使い方と間違った使い方を解説します。
■「見る」の謙譲語
拝見するの意味は、見るで、謙譲語です。自分が何かを見る際に相手が目上の場合、「拝見」という表現を使います。自分の行為をへりくだらせて表現することで、相手を立てて敬意を表すのです。
見るだけではなく、会った場合も『お顔を拝見しました』という形で使うことができます。
■拝見するの正しい使い方
目上の方に対し、自分が何かを見るという行為を丁寧に表現する時に使います。そのため目下の相手や同僚には使いません。
つまり拝見するという表現は、自分がへりくだるか身内(自社の人間)をへりくだらせる場合につかうのです。ビジネスの場では謙譲語や丁寧語などの敬語を正しく使うことが重要です。
ビジネスの場で「拝見する」を使う場合は次のように使います。
・資料を拝見しました。とても素晴らしいプロジェクトだと思います
・今朝の新聞で、先生が書かれた記事を拝見しました
・メール拝見しました。明日、返信いたします
・会場でお姿を拝見しました
このように自分が何かを見たり、誰かに会ったりした行為に使うのが正しい使い方です。
■拝見するの間違った使い方
ビジネスの場でよく使われる「拝見する」という言葉ですが、二重敬語になってしまったり、自分でなく相手をへりくだらせる使い方になっていたりと知らずに間違った使い方をしている場合があります。拝見するは、目上の方に対して自分や身内の行為をへりくだらせて表現するので「自分が(他の誰かから)拝見される」という使い方はしません。
目上の方に対して「拝見してください」と使うのも間違っています。目上の方をへりくだらせることになるからです。目上の方に書類や資料などを見てもらうときは「ご覧ください」を使います。
よくある間違いが二重敬語です。ひとつの単語に2個以上の敬語を使うことで、「お帰りになられる」などがあげられます。「お」と「~られる」がそれぞれ敬語なので二重敬語になるのです。お帰りになるが正しい使い方となります。
拝見するの間違った二重敬語は、「拝見させていただく」、「拝見させていただきました」などです。「拝見する」はすでに敬語なので、~いただくを付け加えると二重敬語となります。
「拝見いたします」も「いたす」が謙譲語なので、二重敬語ですが、最近は「拝見いたします」を使うことが増えています。「拝見する」のみで敬語になっているのですが、拝見いたしますと表したほうが丁寧な表現だと言われています。文法的には間違った使い方なので、注意が必要です。
ドラマや物語の中で「お手並み拝見」といった使い方をする場面を目にすることがあります。相手の力を試すという皮肉の意味を込めた使い方なので、こちらもビジネスの場には相応しくありません。
拝見していただくは失礼な使い方!
拝見は自分や身内の人間をへりくだらせた表現ですが、~していただくを加えることで、自分を立てた表現となってしまいます。たとえば私の送ったメールは拝見していただけましたか?だと、メールの送り主である自分をたてた文章になっているのです。
正しくは、メールはご覧になりましたか?となります。目上の方に対し、自分を立てた表現をするのは失礼にあたるので注意が必要です。拝見するは自分や身内の人間が見る事をへりくだって表現し、相手を立てる時に使用します。
拝見するの類義語
ビジネスの場ではあまり使われないこともありますが、拝見するの類義語がいくつかあります。拝謁する、拝覧する、拝観するなどがあります。その他にも、拝読や拝受という言葉もあります。それぞれの意味や使い方を紹介します。
■拝謁する
身分の高い人に会う事を、自分や身内の人間をへりくだらせて表現する言葉です。身分の高い人に会った際「拝謁することができて光栄です」といった使い方をします。また、皇后や天皇に首脳や国内の功績者などが公式に会うこと」という意味もあります。陛下に拝謁するといった表現を使います。
■拝覧する
拝覧も、自分や身内の人間をへりくだらせて何かを見る事を表現する言葉です。ビジネスの場では、拝見するが使われるため、拝覧はあまり使われません。神仏を見る時に、拝覧が使われることが多くあります。
・お寺で美しい境内と、庭園を拝覧しました
・お寺に取材に行った際、特別にご本尊を拝覧することができました
・中国から伝わった歴史ある仏教関連の美術品を拝覧しました
といった使い方をします。
■拝観する
拝観するは芸術品や国宝などを見たときに、自分をへりくだらせて表現する言葉です。「今回の海外旅行でたくさんの国宝を拝観しました」といった使い方をします。
また、拝覧同様、神仏を見る時にも使われ、神社や仏閣などを謹んで観覧するといった意味合いもあるのです。