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2021.05.26

コンドーム、緊急避妊薬、予期せぬ妊娠を回避するための正しい方法とは?【助産師監修】

 

大阪・茨木市のフィットネススタジオ「スタジオK」で開催された、親子で一緒に学ぶ性教育クラス「いのちのお話」。今回、スピーカーを務めた助産師SUNAこと、砂川梨沙さんに、一児の母でありライターの有田千幸が取材をしました。シリーズ第5回は、「きちんとした避妊の方法が浸透していない日本の現状」について。

Text:
有田 千幸

予期せぬ妊娠を回避するための確実な方法はあるのか?

前回の記事では「専門家たちが性教育の現状を危惧する理由」について、助産師SUNAこと、砂川梨沙さんに話を伺いました。

シリーズ第5回となる今回は、「きちんとした避妊の方法が浸透していない日本の現状」について。


▲ 助産師SUNAこと、砂川梨沙氏さん (トータルバースプランナー)
1982年鳥取県産まれ。鳥取看護専門学校・ベルランド看護助産大学校(助産学科)卒業。トータルバースプランナーとして、働く女性のための訪問型「にじいろ助産院」を開業し、産前産後に必要な知識と頼れる場所を提供し、心身ともに健康で自分らしく生きていくことをサポートしている。現在この活動と並行して、性教育についても全国各地で講演中。プライベートでは3児の母。

コンドームは世界では “性感染症予防アイテム” という位置づけ

有田千幸 (以下、有田): 日本での避妊方法といえばコンドームを使用するのが一般的なのではないかと思いますが、実際に妊娠を回避したい場合、それだけで十分なのでしょうか。

助産師SUNA (以下、SUNA): たしかに日本でのコンドームによる避妊は約82%で、いちばんメジャーな避妊具とされています。ただ世界的に見ると、コンドームの位置づけはどちらかというと “性感染症予防” のアイテムです。それには、日本ではコンドーム以外の避妊方法へのアクセスのしにくさも関係しています。

有田: コンドームを使用しても確実に避妊できるというわけではないということですね。

SUNA: はい。もちろん使うことで予期せぬ妊娠の確率を低くすることはできますが、外れる・破れるなど失敗してしまうことは往々にしてあり、コンドームを使用していても避妊失敗率は2割程あります。そしてこんなに使用率の高い方法にも関わらず、日本ではコンドームの正しい使い方というものがまともに教えられていないことも、問題ではないかと思います。

緊急避妊薬を薬局で買えない理由とは?

有田: 最近ではセックス後に服用することで避妊が期待できる「緊急避妊薬」に関する話題が注目を浴びていますが、この緊急避妊薬について教えていただけますか。

SUNA: 緊急避妊薬は、性暴力の被害に遭ってしまったときやコンドーム使用中のアクシデントなど、性交渉後にとる避妊の手段で「アフターピル」とも呼ばれている内服薬のことです。72時間以内に服用することで、9割以上の高い避妊効果があり、内服が早ければ早いほど効果も高くなります。

有田: コンドームよりも確実な避妊方法といえそうですね。「避妊に失敗してしまったかもしれない」と心配になったときに、あとからでも間に合うところが大きなメリットでしょうか。

SUNA: はい、ただし日本国内では現状、緊急避妊薬の入手には処方箋が必要なため、希望する人はまず医療機関を受診しなければいけない仕組みになっています。費用の方も大体5,000〜20,000円くらいするところが多いため、決して入手しやすい金額とはいえません。また、緊急避妊薬が薬局で購入できるようにする動きというのがあります。先述したように、時間的なリミットが大きい緊急避妊薬にもかかわらず、受診の仕組み的にも金銭面的にもアクセスが難しいのが現状です。

有田: 諸外国では入手のハードルがもう少し低いと聞いたことがあるのですが…?

SUNA: はい、日本よりかなり安価で薬局にて購入可能だったり、無料で入手できるところも多いです。この動きに対して、「容易に入手可能になると、また使えばいいと安易な考えに流れてしまう」というようなかなり後ろ向きな意見も世論に反し一部ありますが、それは偏見だと思っています。本当に「緊急に」必要としている女性が圧倒的に多いですし、女性が主体的に自分の身を守ったり、人生を選択できる環境を整えることは人権を守ることに繋がっているからです。

有田: そうですよね。私個人の意見としても、緊急避妊薬への手軽なアクセスはデメリットよりもメリットの方が大きいと思っています。

SUNA: 私も同意見です。多くの専門家も緊急避妊薬がOCT化 (= 医師の処方箋がなくても薬局などで購入できるようにすること) されることへ賛同の意を表明しています。私が勤務しているクリニックでは、このコロナ禍で緊急避妊薬の問い合わせが以前に比べ増えました。中には幼い声で「緊急避妊薬が欲しいんですけど…」という電話を受けたこともあります。

有田: 親がコンドームや緊急避妊薬について子どもと面と向かって話すというのはなかなか勇気がいることですよね。でも避妊は命に関わること。いざというときにどのようなオプションがあるのか、正しい知識と情報を子どもに知っておいてもらうということは、最終的には自分自身を守るための大切な術といえるのだと今回強く感じました。

次回の話は、「プライベートゾーンを知ることの大切さ」と「被害者にも加害者にもならないためには」について。

イラスト/Mai Kaneya

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ライター

有田 千幸

外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経て美容ライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。薬膳コーディネーター。@chiyuki_arita_official

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