返信でも「平素より」を使用しよう
相手のメールに「平素よりお世話になっております」という表現が使われていたら、こちらも同じく「平素より」を使って返信しましょう。頭に「こちらこそ」をつけるとさらに印象が良くなるかもしれません。
ただし「平素より」はかなりかしこまった表現のため、何度も使うと形ばかりの機械的なやり取りに見えてしまいます。例えば相手とメールのラリーが続いているときに、毎回「平素より」を使うのは避けたいところです。 その際は「ご返信いただきありがとうございます」「たびたび失礼いたします」などと表現を変えるとスマートでしょう。
「平素」の5つの言い換え表現をご紹介
「平素」の言い換え表現としては「いつも」「日頃」「毎々」「先般」「平生」が使えます。同じ文書に「平素」が繰り返し使われていると感情のない機械的な文章に見えてしまうので、文章全体のバランスを見ながらこれらの熟語を使い分けましょう。
また「平素」は硬い印象を与える言葉なので、やわらかい表現の言葉も覚えておくと文章表現の幅が広がります。以下でそれぞれの言葉の意味を解説しますので、シーンや伝えたい事柄に合わせて使い分けてみましょう。
いつも
カジュアルなシーンで使いやすいのは「いつも」です。漢字では「何時も」と書き、平素と同じく「ふだん」という意味を持ちます。また「常に」という意味もあるので、過去から現在までの継続的な期間も表せる言葉です。
よく使われるのは「いつもお世話になっております」という表現でしょう。ただしかなり砕けた表現なので、詫び状に使うには好ましくないと言えます。
日頃
「日頃」は主に「平素より」を言い換える表現として用いられます。 例えば「日頃よりご配慮をいただき感謝申し上げます」「日頃よりご愛顧いただき誠にありがとうございます」などのように言い換えが可能です。
ただし「いつも」と同じく砕けた表現ですので、フォーマルな文章での使用は控えましょう。 「日頃」は書き言葉だけでなく話し言葉としてもよく使われるので、会話で「平素」に似た意味を表現したいときには重宝するはずです。
毎々
「毎々」は「その度に」や「毎回」を表す言葉なので、「平素」の言い換え表現として活用できます。読み方は「まいまい」です。取引先に対する手紙やメールでも使える言葉なので覚えておくとよいでしょう。
例えば「毎々お世話になっております」「毎々ご愛顧を賜り、誠にありがとうございます」などのように使えます。使い勝手のよい言葉なので、ビジネスシーンで重宝するでしょう。
先般
先般は「せんぱん」と読み、フォーマルなシーンでも使える表現です。「先ごろ」や「このあいだ」を意味し、少し前の時点を表します。そのため現在から見てそう遠くない過去のことを話題にするときに使うと良いでしょう。
「平素」を言い換える言い回しとしては「先般はお世話になりました」といった表現が代表的です。ほかにも「先般の件につきましては」「先般ご説明した件ですが」などのようにビジネスではあらゆる場面で使えます。
平生
挨拶文ではあまり使用されませんが「平生」も「平素より」と似た意味を持つ言葉です。「へいぜい」と読み、「ふだん」または「常日頃」などの意味を持ちます。 例えば「平生から仕事に取り組む姿勢に気を配っています」「平生とは様子が異なっている」などのように使えます。
「平素」の英語表現は?
直接的に「平素」の意味を持つ英単語は存在しませんので、英語で伝える場合は感謝を表す英文を用います。 例えば以下の例文を参考にしましょう。
・I’m always obliged to you for your kindness.
(平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます)
・Thanks for your ongoing support.
(平素よりお世話になっております)
・I cannot thank you enough for the guidance.
(平素はひとかたならぬご指導をいただき恐縮しております)
「平素」の意味を理解して使いこなそう
「常日頃」の丁寧表現である「平素」は、ビジネスシーンで使う頻度の多い言葉です。 ただし主に目上の方や顧客に対して用いる表現なので、使い方を誤ると自分自身だけでなく会社の評価に関わる場合もあります。
そのため正しい意味や使い方をしっかり理解することが大切と言えるでしょう。 また、「平素」はかしこまった表現なので、あまりに多用すると感情の少ない機械的な文章に見えてしまいます。言い換え表現を覚えておくと多彩な表現ができるようになるため、類語表現も覚えて上手に使いこなしましょう。
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