2.物を相手に渡す場合「〇〇を差し上げます」
相手に物を渡す場面では「〇〇を差し上げます」を使用します。前述したように、差し上げるには、与えるという意味があるため、物を相手に渡すときにも使うことが可能です。
お土産やボールペンなど、必ず渡す物の名詞と一緒に使用します。以下で例文を見てみましょう。
【例文】
懇親会に参加してくださった方には、記念品を差し上げます。
人によっては上から目線と受け取られることもある
差し上げますは、人によっては上から目線に受け取られてしまうこともあります。差し上げるの語源である「やる・与える」が「施す」という意味もあるため、言われた相手は見下されているように感じるのです。何も考えずに使った結果、相手に不快な思いをさせることもあるため注意しましょう。
特に、自分の好意に関して、差し上げるを使うと厚かましく失礼な印象になります。例えば、「教えて差し上げる」などは、上から目線だと思われかねないので、「お教えいたします」「ご説明します」など、他の表現を使いましょう。
差し上げるの言い換え・類語表現4つ
差し上げるには、2つの言い換え表現と2つの類語表現の合計4つが存在します。
1.言い換え表現「させていただく」
2.言い換え表現「いたします」
3.類語表現「進呈する」
4.類語表現「贈呈する」
言い換え表現や類語表現を覚えておき、場面ごとに適切な表現を使えるようにしましょう。それぞれ解説していくので、例文と合わせて確認してください。
1.言い換え表現「させていただく」
差し上げるの言い換え表現として、「させていただく」が挙げられます。させていただくは、助動詞の「させて」に謙譲語である「いただく」をつけて、「する」の丁寧な表現として用いられています。
「相手の許可を得て、配慮しながら行う」という意味をもって使われていますが、自分の願望を述べるときにも使用される表現です。以下の例文を参考にしましょう。
【例文】
私からご報告させていただきます。
2.言い換え表現「いたします」
「いたします」も、言い換え表現にあたり、するの謙譲語として用いられています。「します」も丁寧語として使われていますが、より相手を敬うことを表現をしたいときは、いたしますがおすすめです。
シンプルで使いやすく誤用されにくい表現なので、差し上げるを使っていいか迷ったときに利用しましょう。以下の例文を参考にしてください。
【例文】
後ほど、ご連絡いたします。
3.類語表現「進呈する」
差し上げるの類語表現として、「進呈する」が挙げられます。進呈するは、人に物を差し上げるときに使う表現です。感謝の気持ちや恐縮した気持ちが込められています。物に使われる表現で、連絡などでは利用できません。目上の人に使えるのはもちろん、後輩や同僚にも使えます。
以下の例文を参考にしましょう。
【例文】
先着10名様に、限定ポストカードを進呈いたします。
4.類語表現「贈呈する」
「贈呈する」も、差し上げるの類語表現です。進呈すると同様、人に物を差し上げるときに使います。こちらも、連絡ごとでは使えません。贈呈自体は、お祝いの場や式典などの正式な場面での物の受け渡しに用いられる表現なので、日常ではあまり使われないかもしれません。
以下の例文を参考にしましょう。
【例文】
創立70周年記念に、ボールペンが贈呈された。
差し上げるの意味を知って使いこなせるようになろう
差し上げるは、やる・与えるの謙譲語で、奉仕の気持ちで捧げるという意味があります。物を渡す場面以外では、連絡をする場面でも使われますが、相手にメリットがある状況でのみ使う点に注意しましょう。
大切なのは意味を理解して場面に合わせた使い方ができるようになることです。差し上げますを使ってもいいのかどうか悩んだときは、他の表現で言い換えてみてください。
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