一般的な視力検査では見つからない「両眼視機能異常」
人は当たり前のように、両目で物を見る動作をします。左右の目で見た映像は、頭の中でひとつに合体されて認識されるそう。しかし、その両眼視に異常がある場合、脳が修正をかけるため身体に負担をかけることに。ひどい肩こりに悩まされ、自身も両眼視機能異常と判断された臨床心理士・吉田美智子さんが、その特徴と注意点を解説します。
一度は検査してほしい!
「ひどい肩こりに悩まされ、いろいろ検索した結果、行き着いた先が眼科でした。私たちの目は、左右それぞれの目が、それぞれにとらえた異なる映像を脳で1つに結合したものを見てます。そして、左右の網膜でとらえたものを1つにまとめる際、立体感や遠近感が得られます。例えば片方の視力があまりよくないというときでも、脳で補正されて普通に見られるようにしてくれます。
しかし、この〝脳で1つに結合する機能〟に問題があることがあります。それが両眼視機能異常です。両眼視機能異常は、いわゆる視力検査では判明しません。このズレを計るには、両眼視機能検査が必要です」(吉田さん)
両眼視機能異常だとどんな障害が?
「両眼視機能異常があっても、普段は脳がさらに修正を加えて、ちゃんと1つに見えるようにしてくれています。しかし、もうひと手間の修正がはいるために、反応が遅れたり、見えているようで立体感・遠近感のとらえが弱かったりしてしまうことが生じます。そのため、例えば球技が苦手だったり、折り紙やあやとりのような細かい形状・奥行きを理解することが苦手だったりすることが生じてきます」
診断されたらどうなる?
「検査を受けて、補正された眼鏡を使用することで、脳の負担を減らすことができます。これにより、肩こりや頭痛が軽減されたり、球技等の苦手さも克服する可能性があります。実際に私も眼鏡を使用することで、肩凝りが大分楽になりました」
「斜視」との違いは?
「斜視も両眼視機能異常が生じます。斜視の場合は、眼の位置のズレから両目の視線が目標に合わず、両眼視機能異常が生じます。斜視の場合は、現在では発見や対応が早い段階でなされると思いますが、眼の位置がズレていない両眼視機能異常は発見されにくい特徴があります。両眼視機能異常は、眼と手の協応や運動能力の発達、読み書きの習得にも影響を及ぼすと言われます。
お子さんが、物を見るときに片眼で見る、首を傾けるなど不自然な姿勢をする、目の疲れ、肩こりや頭痛を訴える、球技や目視で詳細な動きをとらえる活動が苦手など気になることがあり、視力検査では異常が確認されない場合は、眼科で両眼視機能検査を受けてみることも検討してみてください」
画像/(C)Shutterstock,com
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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Twitter: @hakoniwasalon