〝空蝉〟ってなんと読む?現代の使い方をご紹介 | Domani

Domani

働く40代は、明日も楽しい!

 

LIFESTYLE働く

2021.11.01

〝空蝉〟ってなんと読む?現代の使い方をご紹介

〝空蝉〟は「うつせみ」と読み、「蝉の抜け殻」や「空っぽ」という意味があります。俳句の季語として使われる言葉でもありますが、日常生活ではあまり耳にしないですよね。ただ、ダイレクトに「蝉の抜け殻」と言うよりも、「空蝉」と表現するほうが、大人っぽく教養があるように聞こえるかも。今回は「空蝉」について徹底解説します!

Tags:

【目次】
「空蝉」の意味や読み⽅とは?
「空蝉」の使い⽅を例⽂でチェック
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
「空蝉」の英語表現とは?
最後に

「空蝉」の意味や読み⽅とは?

まずは「空蝉」の意味と読み方を解説します。「空蝉」という漢字に見覚えがなくても、読み方を聞くと、ご存じの人も多い言葉だと思われます。

読み⽅と意味

空蝉
「空蝉」は、「空」と「蝉」で成り立っていて、「うつせみ」と読みます。「空」は「そら」ではなく「から」の意味。「空っぽ」の「から」です。そして、「蝉」は昆虫の「セミ」です。「空蝉」は「からのセミ」と書くように、直接的には「蝉の抜け殻」を意味します。

「空蝉」を知らなくても、「うつせみ」という響きに覚えがある人もいるのではないでしょうか。「空蝉」にはこの「蝉の抜け殻」という意味の他に、いくつかの異なる意味が存在します。それぞれを細かく見ていきましょう。

世界的にも有名な、平安時代中期に成立した紫式部の長編物語『源氏物語』の中に、この「空蝉」が登場します。『源氏物語』は、学校の古典の教科書にも登場する作品なので、記憶に残っている人も多いでしょう。また、漫画の題材にもなっていましたので、馴染みのある人もいるかもしれませんね。この「空蝉」は「蝉の抜け殻」という意味に由来した、別の意味で使われています。

『源氏物語』五十四帖の巻の一つ、第三帖に「空蝉」というものがあります。第三帖では、ある女性が、光源氏の求愛に対して、薄衣だけを残して逃げ去ったことが描かれています。衣だけを残して去ったその女性のことが、物語では「空蝉」に例えられているのです。

「空蝉の 身をかへてける 木のもとに なほ人がらの なつかしきかな(空蝉と身を変えて去っていってしまった木のもとに立ち、なお、その人がしみじみと懐かしく恋しく思われる)」と光源氏が詠み、衣だけを残して去った女性は、「空蝉の 羽に置く露の 木がくれて しのびしのびに ぬるる袖かな(空蝉の羽に置く涙が木に隠れて人目にはつきませんが、忍びに忍んだ涙に濡れる私の衣の袖でございます)」と返しています。

他に、「空蝉」には、「この世に現に生きている人」という意味もあり、これが転じて「この世」という意味でも使われます。また、もともとは命が宿っていたのに、中身が抜け出し、空っぽになったことから、虚しいことを表す時にも使われます。

「空蝉」は、能の演目にもあります。能には「神」「男」「女」「狂」「鬼」の五番立という分類があり、「神」が登場する「初番目物」、「男(修羅物)」の「二番目物」などがあります。優雅で美しい歌や舞を見せ場としている「三番目物」は、女性を主役としたものが多く、「鬘物(かつらもの・かづらもの)」とも呼ばれていて、「空蝉」もこの「三番目物」の演目にあたります。

「空蝉」の語源

「空蝉」の語源は、蝉の抜け殻の中が空っぽなことから、空虚なもの、はかないものの例えとして使われてきました。語源は「うつしおみ」で、これが「うつそみ」を経て変化したものと考えられています。

「空蝉」の使い⽅を例⽂でチェック

空蝉
古典『源氏物語』で登場する「空蝉」。私たちの日常で「空蝉」という言葉を使う機会はあるのでしょうか?ここでは、現代で使える「空蝉」の使い方を例文で紹介します。

1:庭の木の枝に「空蝉」を見つけた

「蝉の抜け殻」という意味の「空蝉」です。夏の終わり、庭の木に蝉の抜け殻を見つけると、ふと寂しくなることがあります。こういった場合は「蝉の抜け殻」というよりも、「空蝉」という言葉を使って、「庭の木の枝に空蝉を見つけた」と言ったほうが、抒情的(じょじょうてき)です。

2:伴侶を失ってからの彼は、まるで「空蝉」のようだ

この「空蝉」は、「空っぽ」という意味で使われています。長年共にしてきた伴侶を失い、空っぽになったような状態をよく表しています。また、定年退職後やリストラされた男性が、行き場を失いスーツ姿で公園のベンチに座っている姿も、「空蝉」という言葉で表すことができそうですね。これらの場合は「空っぽ」「空虚」という意味で使われます。

3:俳句の季語に「空蝉」を使ってみた

俳句を詠む際には、季節を表す季語を使うのがお約束。「空蝉」は、夏の季語です。特に夏の終わり、晩夏に使われます。

類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?

空蝉
「空蝉」の類語や言い換え表現には、どのようなものがあるのでしょうか。「空蝉」にはいくつかの意味がありますので、それぞれの意味の類語を紹介します。

1:蝉の抜け殻

「蝉の抜け殻」は、「空蝉」の意味でもあり、類語でもあります。

2:空虚

「空虚」は「くうきょ」と読み、「空蝉」の持つ「虚しいさま」を意味する類語となります。

3:現世

「現世」は「うつしよ」と読み、「現在の世」、「この世」の意味で使われる「空蝉」の類語です。

「空蝉」の英語表現とは?

「空蝉」の英語表現についても見ていきましょう。

「蝉の抜け殻」という意味での「空蝉」を英語で表現すると「cicada shell」となります。「彼は蝉の抜け殻をくれた」と言いたい場合は、「He gave me cicada shells」となります。

また、『源氏物語』や能の演目としての「空蝉」の場合は、ローマ字でそのまま「Utsusemi」とするといいでしょう。『源氏物語』は海外でも評価されていて、こちらは「The Tale of Genji 」となります。

最後に

漢字ではピンとこなくても、「うつせみ」と聞くと、多くの人が耳にした経験があるのではないでしょうか。空っぽのさま、空虚なさまの他に、俳句などでは晩夏の季語として、もともとの「蝉の抜け殻」の意味で使われています。「蝉の抜け殻」を見つけた時にも、ダイレクトに「蝉の抜け殻」と言うよりも、「空蝉」と表現するほうが、大人っぽく教養があるように聞こえるかもしれませんね。

トップ画像・アイキャッチ/(C)Shutterstock.com

こちらの記事もたくさん読まれています
〝栴檀は双葉より芳し〟の読み方とは?由来や正しい使い方を解説
〝人を見る目〟がある人とない人の違いって?見る目の養い方や自己診断まで徹底解説

Domaniオンラインサロンへのご入会はこちら

Read Moreおすすめの関連記事