受けた恩を返さず相手を害する「恩を仇で返す」
恩を仇で返すとは、恩を受けて本来は感謝するところを、感謝するどころか害を与えるという意味の言葉です。恩を与えた人物や周囲は期待を裏切られ、また無礼さに落胆するでしょう。獅子身中の虫は組織の中にいながら組織を壊す者を意味するので、似た意味をもっています。同じ意味の「飼い犬に手を噛まれる」もよく知られていることわざです。
獅子の中の害虫の弱点は牡丹の夜露とする「唐獅子牡丹」
唐獅子牡丹は、獅子の命を脅かす体の中の虫の弱点は牡丹の花びらから落ちる夜露であり、そのため獅子が安心して休める場所は牡丹の花の下であった、という情景をあらわす言葉です。
昔の屏風や襖絵などに見られる牡丹と唐獅子の美しい組み合わせですが、実はこうした意味がありました。獅子身中の虫でも獅子の体の中に棲み着いた虫がキーポイントとなっていますが、ここでも獅子が唯一恐れる存在として「体の中の虫」が登場します。
「獅子身中の虫」を使って表現に重厚感を出そう
獅子身中の虫は、組織内部にいるのに害をもたらす者、恩を仇で返す者などの意味のことわざです。批判的な意味をもつため、軽々しく口にする言葉ではないといえます。ですが、真っ向から裏切り者と批判するよりも、獅子身中の虫ということわざを使う方が直接的でない分、適切な場合もあります。
現実に誰かを獅子身中の虫と言うようなことはなくても、たとえば書き言葉で使うと表現に重厚感が加わるため、覚えておいて損はない表現の一つといえるでしょう。
また当然のことながら、会社などの組織において自分が獅子身中の虫などと言われるような事態は避けたいもの。周囲に感謝し、組織に貢献できるように誠実に仕事をすることを心がけましょう。
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