類語「先駆け」「発端」
「先駆け」とは、物事のはじめとなること、誰よりも早く新しいことを始めること、という意味の言葉です。また、「発端」も物事の始まりという意味をもちます。
いずれも「嚆矢」と同じ意味ですが、よりわかりやすく平易な表現です。嚆矢を使うと文章が引き締まり、強い印象を与えることができますが、きちんと意味を伝えたいときには「先駆け」や「発端」などの表現を選んだほうが無難といえます。
【先駆け:さきがけ】
1 他の者に先んじて敵中に攻め入ること。「―の功名」
2 他のものより先になること。また、そのもの。先駆。「春の―をする鶯」「流行の―」【発端:ほったん】
1 物事の始まり。事の起こり。「事件の―」
2 心の底。心底。「―ヨリ科送リヲスル」〈日葡〉
対義語「終焉」「終局」
嚆矢の対義語としては、「終焉」や「終局」などが挙げられます。「終焉」は物事の終わり、生命が終わることをあらわします。また、「終局」は物事の終わりの局面を意味する言葉です。それぞれ、「ついに物語の終焉を迎える」「それが悲劇の終局であった」というように使用します。
【終焉:しゅうえん】
生命が終わること。死を迎えること。また、その時。臨終。最期。末期。比喩的にも用いる。「―の地」「近代の―」【終局:しゅうきょく】
1 碁・将棋を打ちおわること。⇔開局。
2 物事の結末がつくこと。しまい。終結。「騒乱が―を迎える」
四字熟語「嚆矢濫觴」
「嚆矢濫觴」は「こうしらんしょう」と読む、「嚆矢」の言葉の意味を強めた四字熟語です。濫觴の「濫」は浮かべる、「觴」はさかずきのことを指します。「濫觴」は古代中国の思想家である孔子の「どんなに大きな川も、さかのぼれば最初はさかずきを浮かべるほどの小さな流れにすぎないものだ」という教えにあるといわれ、ここから転じて「物事の始まり」のたとえとして使われるようになりました。
同じ意味をもつ「嚆矢」と「濫觴」を重ねることで、物事の始まりという意味を強めています。
嚆矢の意味を理解してビジネス会話で使いこなそう
嚆矢は、物事の始まりという意味をあらわす言葉です。もとは開戦の合図に使う鏑矢のことで、そこから転じて「始まり」のたとえとして使われるようになりました。
日常会話にはあまり出てきませんが、ビジネスシーンにはたびたび登場します。普段は「最初」あるいは「はじめ」と表現する場面で、あえて嚆矢という言葉を使うことにより、会話や文章を引き締めることができます。
大人のたしなみとして、覚えておいて損はない言葉です。今回紹介した使い方や例文を参考に、正しく使いこなしましょう。
(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
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