「彼は、まさに聖人君子のような人物だと社内でも評判です」
誠実で、非の打ちどころの無い人物が職場にいる場合、このように表現することができますね。尊敬される素晴らしい人柄であることが評価されている様子が伝わってきます。
「君は聖人君子にでもなったつもりか?」
人格や人望が伴わない人が立派なことを言うと、反感を買うことがあります。このフレーズは、そんな相手に「偉い人にでもなったつもりか」と皮肉の意味を込めて言っています。
「聖人君子」の類語や言い換え表現は?
誰からも尊敬される素晴らしい人を表す言葉は他にもあります。「聖人君子」の類語、言い換え表現をみていきましょう。
「雲中白鶴(うんちゅうのはっかく)」
「雲中白鶴」とは、高潔な人格の人物を表す四字熟語。「雲中の白鶴」から由来した四字熟語です。文字通り、「雲中」とは「雲の中」を表し、「白鶴」は「白い鶴」のこと。白い雲の中を飛翔する白い鶴を表し、その鶴の美しく気高い姿を高潔な人にたとえていった言葉です。
「高材疾足(こうざいしっそく)」
「高材疾足」は「知恵と勇気を兼ね備え、才能や能力をもつ、すぐれた人物のたとえ」。「高材」は「すぐれた才能を持つ人」をいい、「疾足」は「足が速いこと」をいいます。中国の歴史書『史記』に由来します。
「品行方正(ひんこうほうせい)」
「品行方正」とは、「行いがきちんとしていて正しいこと」。態度が真面目で、周囲の人のお手本になるような立派な人物を指します。「〇〇君は、品行方正な学級委員長だ」というように表現しますね。
「清廉潔白(せいれんけっぱく)」
「清廉潔白」とは、「心が清くて、私欲がないこと」。罪や汚れがなく、人間関係においては、誠実で他人の対して裏表がない人を表す際によく使われます。信頼できる人や組織を評価する際に用いられることが多いですね。
「謹厳実直(きんげんじっちょく)」
「謹厳実直」とは、「つつしみ深く、まじめで正直であること」。職務や日常生活において、自分の信念や倫理を守りながら行動する人に対して、「彼は、謹厳実直な人で信頼できるね」などと表現します。
「聖人君子」の対義語にはどんな表現がある?
「聖人君子」の対義語、「愚かさ」や「俗悪」を表す言葉をみていきましょう。
「俗物(ぞくぶつ)」
「俗物」の意味は以下のとおりです。
世間的な名誉や利益などに心を奪われている、つまらない人物。俗人。「―根性」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
お金や名声を追い求めるあまり、道徳や倫理を軽視する人が俗物と呼ばれることがあります。浅はかであることを批判するニュアンスを持っており、真の価値を理解しない人への皮肉として使われることが多いですね。
「凡人(ぼんじん)」
「凡人」の意味は、以下のとおりです。
普通の人。ただの人。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「凡人」とは、特別な才能や目立った能力がなく、ごく普通の人を指します。特別な業績や能力がなく、ありきたりな生活をしている人のことを言うようです。
「小人(しょうじん)」
度量や品性に欠けている人
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「小人」は、あまり馴染みがない言葉ですが、人徳や品性に欠ける人を表します。広い視野や他人を思いやる心がなく、狭い考え方や行動をする人のことです。「聖人君子」とは対照的な存在といえますね。
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「聖人君子」の英語表現とは?
「聖人君子」を英語で表現するには「saint」や「whiter than white」を使って表すことができます。
saint
「聖人君子」を英語でいう場合「聖人」や「聖人のような人」を意味する「saint」を使うことが多いでしょう。また「plaster saint」ということで「非の打ち所がない人」を表します。ただし、「plaster sanit」は直訳すると「石膏の聖人」。皮肉の意味を込めた言い方に使われることが多いようです。
・I’m no saint.(私は聖人君子なんかではない)
・He is a plaster saint.(彼は聖人君子のような人だ)
whiter than white
「whiter than white」は、直訳すると「白より白い」。純白で一点の汚れもないことをいい、清廉潔白な人を表す言葉として用いられることがあります。
・He is whiter than white.(彼は聖人君子のような人である)
最後に
「聖人君子」とは、徳が高い人格者を指す言葉です。現代においても、人格に優れた人物に対して使うことができそうですね。「聖人君子」の会話の中での使い方や類語となる四字熟語なども合わせて覚えてみてください。
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