「金科玉条」とは必ず守るべきものという意味
「金科玉条」は「きんかぎょくじょう」と読みます。人が必ず守るべきルールとしているものという意味です。中国の故事が語源で、「科」も「条」も法律の条文を意味しています。規則が大切に扱われていた時代から使われている四字熟語です。
「金科玉条」の意味は次の通りです。
【金科玉条】
《揚雄「劇秦美新」から》最も大切な法律・規則。絶対的なよりどころとなるもの。「父の教えを金科玉条とする」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
ここでは「金科玉条」の由来となった中国の故事について詳しくご紹介しましょう。
由来は中国の故事
「金科玉条」は中国の詩文集が語源とされています。「金」は黄金、「玉」は宝石を意味しており、「科」と「条」は法律の条文です。黄金や宝石のように大切な法律という意味合いで使われます。
日本に渡ってきたのは奈良時代とされ、日本でも1000年以上という長い期間使われてきた言葉です。現代では法律や規則だけでなく、信念や教訓なども含んだニュアンスで使われています。
「金科玉条」には2通りの使い方がある
「金科玉条」は2通りの使い方のある言葉です。人が大事にしている教えという、本来の意味合いで使われる一方で、融通が利かない様子を批判するために使われる場合もあります。両方の意味を把握しておかないと、批判的に使われているときに正確な意味を読み取れない場合があります。
ポジティブな意味とネガティブな意味について、例文とともに見ていきましょう。
ポジティブな場合の例文
ポジティブな意味の「金科玉条」は、言葉通り大切なルールや教えといった意味です。例文を紹介しましょう。
・私は子供のころから父の教えを【金科玉条】としている
・成功している人は皆、なんらかの【金科玉条】を持っている
・彼はコーチからのアドバイスを【金科玉条】にして勝利を得た
・私が【金科玉条】のように守っていることは「誰にでも公平である」ことだ
ネガティブな意味と例文
「金科玉条」はいつまでも古い教えに縛られ、融通が利かないといった皮肉や批判のニュアンスで使われる場合もあります。
ネガティブな意味の例文は次の通りです。
・彼は大昔の教訓を未だに【金科玉条】のごとく守っている
・彼が教祖の教えを【金科玉条】のように守っている様子は、とても理解できない
・あの人はどうでもいいようなルールを、【金科玉条】のようにこだわっている
・これまでの方法を【金科玉条】に守り続けるのではなく、新しい時代に合わせた考えが必要だ
・古い価値観を【金科玉条】のように守っていては、競争社会に生き残ることはできないだろう
「金科玉条」の類語
「金科玉条」には似たような意味を持つ言葉がいくつもあります。取り決めや規則という点を強調すれば「おきて」という言葉に言い換えができ、頼りにするという点に着目すれば「よりどころ」と読み換えることも可能です。
類語を覚えておくことで、「金科玉条」についての理解が深まるでしょう。複数ある類語のなかから、より近いニュアンスの3つについてご紹介します。
おきて
「おきて」は、 守るべきものとしてすでに定められている事柄という意味です。漢字では「掟」と書きます。
特定の規則や法律に限定せず、社会の定めや決まりごとといった広い概念で使われる言葉です。「金科玉条」と異なり、批判的な意味合いで使われることはありません。例文を紹介します。
・あの村では昔、【おきて】を破った村民を村から追放していた
・伝統のある我が校には古くからの【おきて】があり、生徒は守らなければならない
・どの社会にも、暗黙の了解で守るべき【おきて】がある