「叱咤激励」とは大声で奮い立たせること
「叱咤激励」は「しったげきれい」と読みます。大声で叱ったり励ましたりして、やる気を出させることを表す言葉です。
【叱咤激励】
[名](スル)大きな声で励まし、元気づけること。「監督が選手を—する」
(引用:小学館『デジタル大辞泉』より)
「叱咤」は大声を出して叱るという意味で、「激励」は励まして奮起させることを表した言葉です。大声で叱るという行為はマイナスな印象でも、「激励」がつくことで相手を思っているという意味になっています。
「𠮟咤」と似た言葉に「叱責(しっせき)」がありますが、両者には明確な違いがあります。
「叱咤」と「叱責」の違い
「叱責」は他人の失敗を叱り、とがめるという意味です。「責」は罪をとがめる、せめたてるという意味があり、「𠮟咤」とは「とがめる」という点が異なります。
「𠮟咤」はただ大声で叱るという行為で相手を責めるというニュアンスはありません。一方、「叱責」は行ったことをとがめて非難するという行為が加わり、ネガティブな印象のある言葉です。
パワハラになる可能性も
「叱咤激励」は相手のことを考えて行う意味がありますが、𠮟咤が過剰になるとパワハラになる可能性があります。パワハラとはパワーハラスメントの略で、職場で上司など優位な地位にある者がその立場を利用し、業務の適正範囲を超えて嫌がらせや暴力行為をすることです。
「叱咤激励」は叱責と異なり、相手を責めるという意味合いはありません。しかし、𠮟咤の程度によっては相手に苦痛を与え、パワハラと感じさせてしまう場合もあるでしょう。相手のためを思って行う「叱咤激励」ですが、叱咤と激励のバランスは慎重に考えましょう。
「叱咤激励」の正しい使い方
「叱咤激励」は目上の人に使う言葉ではありません。「𠮟咤」も「激励」も、自分より目下の者に使うための言葉です。例えば、目上の人に対し「叱咤激励をしてください」という使い方はできないため、注意しましょう。
目上の人に「叱咤激励」をしてもらいたい場合は、別の表現があります。「叱咤激励」の正しい使い方についてご紹介しましょう。
目下の人に使う
「叱咤激励」は自分よりも目下、もしくは同等の人に対して使います。𠮟咤も激励も、目上の人に行う行為ではありません。「上司を叱咤激励した」というような使い方をしないよう、注意しましょう。
ただし、目下の人に使う場合も、「𠮟咤」という言葉にはきついニュアンスがあります。相手に「叱咤激励」とは言いにくい場合は、単に「激励」もしくは「応援」を使うとよいでしょう。
目上の人に使う場合
目上の人を励ましたいときは「応援」を使います。また、自分が叱咤激励してもらいたいときでも、「叱咤激励をしてください」という使い方はしません。その場合は「ご指導」もしくは「ご指導ご鞭撻」という言葉を使いましょう。「ご指導ご鞭撻」とは、相手から受ける教育や指導について敬う表現です。
「ご指導のほど、よろしくお願いいたします」「ご指導ご鞭撻をたまわりたいと存じます」といった使い方をします。
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「叱咤激励」の例文
「叱咤激励」の例文をご紹介します。「叱咤激励」は実際にどのように使うのか、以下の例文を見て確認しておきましょう。
例文
・友人が元気のない様子だったので叱咤激励した
・部下を叱咤激励したおかげで営業の数字が上がってきた
・家族の叱咤激励により、試験に合格できた
・優しい指導ばかりではなく、ときには叱咤激励も必要である
・監督の叱咤激励により、逆転優勝することができた
「叱咤激励」の類語と対義語
「叱咤激励」にはいくつもの類語や対義語があります。類語には「応援(おうえん)」「鼓舞(こぶ)」「エール」などがあり、対義語には「妨害(ぼうがい)」「邪魔(じゃま)」「支障(ししょう)」などがあげられます。
「叱咤激励」の意味のどの部分に着目するかにより、置き換える言葉も違ってくるでしょう。類語や対義語を見ることで、「叱咤激励」の意味合いがよくつかめます。ここでは、「叱咤激励」の類語と対義語を見ていきましょう。