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2021.11.17

免疫力アップを狙う〝野菜まるごとバランス鍋〟レシピ【ビタミン外来医師監修】

多様なアレンジが楽しめて、さらに冬の体調管理にぴったりな4つの〝野菜まるごとバランス鍋〟のレシピをご紹介!ビタミン外来の医師が教える、体調を整えるのに鍋を活用したいときのポイントに注目です。

冬の定番料理をさらにおいしく&バランスよく!

寒い季節に食べたくなる料理といえば、やっぱり鍋。 いろいろな食材を摂ることができて体も温まり、なんといっても調理が簡単なのがうれしいですよね。一方で、定番がゆえにワンパターンになってしまったり、次第に味付けに飽きてきてしまうことも。

そこで今回は、飽きがこないうえに冬の体調管理にぴったりな〝野菜まるごとバランス鍋〟のレシピをご紹介! ビタミン外来の佐藤務医師に、法則に従って作るだけでおいしく仕上がり、体調管理にも役立つ鍋について聞きました。

体調管理にもぴったり!冬の鍋の4つのポイント

「鍋には、冬の体調管理に役立つ2つのメリットがあります。1つは温かいスープと食材で体温を上げる効果、2つめは免疫力をあげる、不調を改善するなど健康を意識した食材選びができることです」と語る佐藤先生 (以下同) 。レシピを紹介する前に、まずは体調を整えるのに鍋を活用したいときのポイントについて解説していただきました。

【POINT1】スープと食材選びの法則を取り入れて

体調管理に鍋を役立てるためには、スープと食材選びの法則を取り入れるのがよいそう。

バランス鍋の法則1「料理酒:水=1:1」で温まり効果UP

「スープは市販の混合されたものを使わず、料理酒と水を1:1の割合で混合したものをベースに使いましょう。料理酒を使うことがポイントで、体を温める効果が期待できます。料理酒と合わせるものは、水だけでなく、だし、豆乳、トマトジュースなどに変えることで、飽きずに毎日でも食べられます。お子様など、料理酒のアルコールが気になる方は、あらかじめ電子レンジで加熱した上で、鍋にお使いください」

「日の出 料理酒」を販売するキング醸造が実施した料理酒鍋とだし鍋を比較したモニター試験では、料理酒鍋の方が冷えやすい手足の先までしっかり温まっていることが判明。また、体温も料理酒鍋の方が高く上昇し、より効率的に体を温められることがわかりました。

バランス鍋の法則2:「タンパク質+野菜=2+2」でバランスよく

「食材はタンパク質と野菜をそれぞれ2種類以上使いましょう。タンパク質は大豆食品など植物性タンパク質を必ず入れ、もう1種類はお好みに合わせて肉魚を選び、シメのおじやで卵を使えば3種類になります。また、野菜は長ネギ、タマネギ、ニンニク、ニラなどアリシンが含まれる野菜を必ず入れ、それ以外に何種類か野菜を入れましょう。さらに+αとしてきのこ、海藻類を入れるとバランスが整います」

【POINT2】野菜は体調や目的に合わせて使い分ける

「野菜はネギ類に加えて、目的に合わせて葉ものや根菜などをプラスしていきましょう。キノコや海藻もオススメです。鍋は野菜をたくさん摂れる料理です。積極的に使って冬の体のケアに役立てましょう」

目的別に使いたい野菜

・免疫力アップ…ニラ、ニンジン、長ネギ、ショウガ、カボチャ、大根
・腸内環境を整える…タマネギ、ゴボウ、キャベツ、レンコン、大根、里芋、シソ
・疲労回復…長ネギ、カボチャ、ニンニク、ニラ、アスパラガス、ヤマイモ
・冷え性対策…長ネギ、レンコン、トウガラシ、ニラ、ニンニク、セリ

【POINT3】野菜はまるごと使おう

「野菜はまるごと使いましょう。根菜は、他の野菜や果物などに比べて農薬の汚染が少ないので、キレイに泥を落とせば皮ごと食べられます。皮には栄養が豊富で、捨てるのはもったいないことです。ポリフェノールや食物繊維は皮に多く含まれていますので、野菜の栄養を余すところなく鍋で使い切りましょう。硬い皮も料理酒鍋にすれば柔らかく食べやすくなりますので、ぜひチャレンジしてください」

皮ごと食べたい野菜

ニンジン
皮に含まれるβ-カロテンが、体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を正常に保つ助けになる。

(C)Shutterstock.com

・ゴボウ
皮にポリフェノールが豊富。ポリフェノールは抗酸化作用があり、活性酸素を抑えて疲れにくい体に。

(C)Shutterstock.com

【POINT4】鍋は冬のバランス栄養食! 炭水化物も取り入れて五大栄養素をカバー

「人間が活動するエネルギー、臓器、筋肉、骨などの組織すべては食べたものによって作られています。人間が生命活動を行うためには、栄養を過不足なくバランス良く摂ることが大切です。何かが欠けると体の機能が整わず、様々な不調につながります」

栄養バランスの考え方として、上図の五大栄養素について聞いたことがある人も多いのでは。〝野菜まるごとバランス鍋〟はシメにごはんやうどんを入れる、芋類を具材として加えるなど、炭水化物を取り入れることで五大栄養素をカバーできます。

「近年は五大栄養素に第六の栄養素として、食物繊維を加えることもありますが、鍋は食物繊維の宝庫。たっぷり野菜を摂りましょう」

【目的別】4つの〝野菜まるごとバランス鍋〟レシピ

「〝野菜まるごとバランス鍋〟のメリットは、冷えの改善に加えて、目的や不調に合わせて具材をアレンジできることです。料理酒をベースに使えば、どのような具材にもマッチして、おいしく食べられます。しかも、スープまでおいしく飲めるので、水溶性ビタミン、水溶性食物繊維を余さず摂取することができます。シメに雑炊や麺類を入れてスープものむのがオススメです。目的別の具材の組み合わせも紹介しますので、ぜひ実践してください」

それではいよいよ、目的ごとの食材の組み合わせのポイントとともに、レシピを紹介していきます。

レシピ1:免疫細胞イキイキ活性化! 豚肉たっぷりキムチ鍋

【POINT】免疫力アップの組み合わせ
料理酒:水=1:1 
タンパク質:豆腐+豚肉 
野菜:ニラ+ニンジン

「免疫細胞のエネルギーは、細胞の中の小器官であるミトコンドリアで働く酵素がビタミンB1の助けを借りて作られます。豚肉や大豆などに豊富に含まれるビタミンB1は、ニラや長ネギなどアリシンを含む食品と一緒に食べることで脂溶性となり、肝臓に蓄えられ必要に応じて利用できるようになります。通常のB1は水溶性で蓄えることはできません」

【材料】(1人分)
・A
  料理酒 150mL
  水 150mL
  みそ 小さじ2
・キムチ 30g (お好みで調節)
・豚肉 100g
・豆腐 100g
・ニラ 5本程度
・ニンジン 1/3本
・白菜 1~2枚
・エノキダケ 1/3袋

【作り方】
(1) Aを鍋に入れて火にかける。
(2) ニラ、白菜、エノキダケは3~4cmにカット。ニンジンは皮ごとキレイに洗って、薄切りにする。
(3) 豚肉を鍋に入れて火が通ったら、(2) を鍋に入れる。
(4) ニンジンが柔らかくなったら、豆腐を入れて一煮立ちさせる。
(5) 火を止めて、みそを入れてかき混ぜ、キムチをのせる。

レシピ2:食物繊維たっぷり、お腹も満足のさっぱりユズみそ鍋

【POINT】腸内環境を整える組み合わせ
料理酒:水=1:1
タンパク質:大豆もやし+鶏肉
野菜:タマネギ+ゴボウ

「ゴボウには食物繊維が豊富に含まれています。水溶性食物繊維 (イヌリン) 、不溶性食物繊維 (セルロース、リグニン) があります。水溶性食物繊維も摂るためには、スープもしっかり摂りましょう」

【材料】(1人分)
・A
  料理酒 150mL
  だし汁 150mL
・しょうゆ 小さじ1
・ユズ 少々 (乾燥ユズでもOK)
・鶏もも肉 80g
・大豆もやし 1/3袋
・タマネギ 1/4個
・ゴボウ 7~8cm程度
・シイタケ 1個
・小松菜 1/3束
・ゆで大麦 大さじ1

【作り方】
(1) ゴボウは皮ごとささがきにし、タマネギは薄切りにしてそれぞれ15分程度水にさらす。
(2) Aとしょうゆをを鍋に入れて火にかける。
(3) 鶏肉を鍋に入れて火が通ったら、(1) とシイタケを鍋に入れる。
(4) ゴボウがやわらかくなったら、大豆もやしと小松菜を入れる。
(5) 3~4分煮込んだら、ゆでた大麦を入れてユズをちらす。

レシピ3:元気をとり戻す! 疲れたときに食欲がわくトマトカレー鍋

【POINT】疲労回復の組み合わせ
料理酒:水=1:1
タンパク質:豆腐+鶏むね肉
野菜:長ネギ+カボチャ

「鶏むね肉に多く含まれるイミダゾールペプチドは脳の疲労回復に効果的。また、肉体の疲労にはビタミンB1とアリシンの組み合わせもオススメです。B1は、糖質の分解を助けてエネルギーを生み出し、乳酸などの疲労物質を溜まりにくくします。カボチャは特に皮に多くビタミンAが含まれており、活性酸素を除去に役立ちます」

【材料】(1人分)
・A
料理酒 150mL
水 150mL
・トマト缶 1/2
・カレー粉 小さじ1
・塩 こしょう 少々
・鶏むね肉 80g
・豆腐 100g
・長ネギ 1/2本
・カボチャ 1/8個

【作り方】
(1) 長ネギは斜めの薄切りにし、塩こしょうをふった鶏肉とともにフライパンで焦げ目がつくまで炒める。
(2) Aを鍋に入れて火にかける。
(3) 沸騰したら、トマト缶とカレー粉、塩を入れる。
(4) (2) と薄切りにしたカボチャを入れる。
(5) カボチャがやわらかくなったら、豆腐を入れて一煮立ちさせる。

レシピ4:酒と体を温める食材でぽかぽか効果倍増! 石狩風粕汁鍋

【POINT】冷え性対策の組み合わせ
料理酒:水=1:1 
タンパク質:豆乳+鮭
野菜:長ネギ+レンコン

「鮭に含まれるビタミンEは、血液の流れの改善に役立ちます。また、アスタキサンチンが多く含めまれているため抗酸化作用があり、疲労回復にも効果があります。豆乳に含まれるビタミンB1は代謝を促進し、体を動かすエネルギー産出を助けます。レンコンは、温め食材として知られています。薄切りであれば、鍋でも食べやすくなります。冷えに関しては、この他にも唐辛子、ニラ、ニンニク、ショウガなどが有効です」

【材料】(1人分)
・A
  料理酒 150mL
  豆乳 150mL
・みそ 大さじ1
・ショウガ 1かけ
・酒粕 30g
・生鮭 一切れ
・レンコン 100g程度
・ニンジン 1/2本
・ダイコン 100g程度
・油あげ 1/2枚

【作り方】
(1) 酒粕はお湯で溶いておく。レンコン、ニンジン、ダイコンは薄切りにする。
(2) Aを火にかけ、生鮭と (1) を入れて鮭に火が通るまで煮る。
(3) 油あげを千切りにして、鍋に入れる。
(4) 火をとめて、みそを入れてよく混ぜる。

アレンジ豊富な鍋で冬を乗り切ろう

「料理酒を使った鍋は体を温めて、冷えを予防し免疫力を高めます。今年の冬は、まだまだ感染症のリスクが続くことが予想されます。油断をしないで、アレンジ豊富な料理酒鍋を習慣化して、元気にこの冬を過ごしましょう」

食材の組み合わせ次第で様々なアレンジが楽しめるだけでなく、体調管理にも一役買ってくれる野菜たっぷりの鍋。今年の冬は、より栄養バランスを意識して鍋を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ビタミン外来・スポーツドクター

佐藤 務先生

稲毛病院整形外科・リハビリテーション科/健康支援科部長。1997年、臨床の現場にサプリメントの摂り方を指導するビタミン外来を新設。2000年には全国初の健康支援科を創設、8つの健康支援外来を新設。昭和大学医学部統合医学科講師に就任し、医学生にサプリメントや栄養の講義を開始。専門は整形外科・リハビリテーション科だが、予防を含めた総合医療を提唱。

情報提供:日の出みりん

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