うってつけ
【打って付け:うってつけ】
[名・形動]物事がぴったりと当てはまること。また、そのさま。あつらえ向き。「―な役柄」「この仕事は君に―だ」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
何かがぴったり当てはまる様子を表す際は、「相応しい」の代わりに「うってつけ」が使えます。漢字表記は「打って付け」ですが、誤用を避けるためにひらがなで表記するのが無難です。
「うってつけ」の語源は、金槌と釘を使って木と木を打ち、ぴったりとくっつけることです。「うってつけ」の使い方を例文で確認してみましょう。
・彼女はこの企画の責任者に【うってつけ】だ。
・現代の動向を考えると、このプロジェクトにおいては紙の広告よりも電子広告のほうが【うってつけ】だ。
・彼は感情に左右されて物事を判断することがないので、チームリーダーに【うってつけ】です。
しっくり
【しっくり】
[副](スル)
物と物、人の心と心などが調和して、安定しているさま。ぴったり。「着物に―(と)合った髪形」「夫婦の間が―(と)行かない」
強く、鋭く刺激を与えるさま。ぎゅっと。ちくりと。「通りさまに―とつめったれば」〈虎明狂・枕物狂〉
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「しっくり」も「相応しい」と同じような意味で使える言葉です。しっくりきた・しっくりくるなどの形で使います。「しっくり」の語源はいくつかあり、裁縫の仮縫いを意味する「仕付け」や、建築時に建材の各部分をはめ込む様子という説が有力とされています。
しっくりの使い方や例文は以下を参考にしてください。
・新しいシャツにはスラックスが【しっくり】くる。
・寝室の照明を変えると、とても【しっくり】ときた。
・難しい言葉も、先生に説明してもらうことで【しっくり】きた。
便宜
【便宜:べんぎ】
ある目的や必要なものにとって好都合なこと。便利がよいこと。「資金調達の―を得る」
特別なはからい。そのときに適したやり方。「―をはかる」「―上、代行を置く」
音信。たより。「娘方より便りあらず、其方の方へは―ありしや」〈浮・曲三味線・六〉
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「便宜」も「相応しい」の類義語の一つで、読み方は「べんぎ・びんぎ」です。ビジネスシーンで使われることが多く、便利なことやある目的に対して都合のいいことを意味します。「便宜」だけで使うよりも、「便宜を図る」「便宜的」といった形で使うのが一般的です。
「便宜」を使った例文をいくつかご紹介します。
・顧客の【便宜】を考慮してサービスを設計する。
・【便宜】上、表記方法が通常と異なっている。
・彼女をチームリーダーに決定することで【便宜】的に済ませる。
・【便宜】を図る代わりに言い分を聞いてもらう。
・購入者の【便宜】を図るため、料金をいくらか割引した。
誂え向き
【誂え向き:あつらえむき】
【×誂え向き】〔あつらへ‐〕
[名・形動](多く「おあつらえむき」の形で)注文どおりであること。希望どおりであること。また、そのさま。「開会式にお―な上天気」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「相応しい」の類義語として「誂え向き」も挙げられます。読み方は「あつらえむき」で、状況や環境などがまるで注文したように合っていることを表します。
「誂え」は「出来合い」の対義語であり、注文して作らせることや作らせたものを意味する言葉です。向きは向いている方向や適していることを指し、二つを組み合わせることで希望通りという意味をもちます。
「誂え向き」は、「お誂え向き」という形で使うのが一般的です。具体的な使い方を例文で確認しましょう。
・今日は体育祭に【お誂え向き】な晴天である。
・友人の結婚式に【お誂え向き】のドレスである。
・彼女のようにひねくれた人には【お誂え向き】の話です。
「相応しい」を正しく読めるようになろう
「相応しい」は「ふさわしい」と読み、似つかわしいことを表します。漢字の「相応う」が形容詞化した言葉で、ある物事がその人の性格や能力などに合っていると伝える際に使うのが基本です。
漢字だけを見るとそうおうしいとも読めそうですが、誤用であるため注意しましょう。「相応しい」の正しい読み方や意味を理解して、日常会話の中で使ってみてください。
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