「当て馬」とはどんな意味?
「あのマンガは当て馬キャラがいいんだよね!」と言われたとき、意味は分かるものの、具体的にどういうことなのか答えられない人は少なくありません。ときどき耳にする「当て馬」という言葉には、どのような意味があるのでしょうか?当て馬の言葉の意味と語源を紹介します。
反応を探るために仮の者を表に出すこと
「当て馬」とは、いわゆるダミーのことです。相手の反応を探るために、本命以外の人をさも本命のように仕立てて表に出すことを言います。さまざまなシーンで使われますが、「他者と何かを争うときの戦略のひとつ」と考えるとよいでしょう。
たとえば、ビジネス・恋愛・政治・スポーツなどで「絶対に相手に勝ちたい」というとき、当て馬を用意することが少なくありません。相手の出方や様子を見てから対策を練るため、当て馬を立てると有利になるのです。当て馬は、勝ち筋を作る上で有益な手段ではあるものの、自分が当て馬役となった場合は、理不尽に感じることがあるかもしれません。
「当て馬」の本来の意味
日常会話でも「当て馬」という言葉を耳にしますが、本来は馬の繁殖の際に使われる言葉です。種付けの成功率を上げるために、本命の代わりに使われたオス馬を当て馬と呼びます。馬の種付けでは、最初に本命ではないオス馬をあてがい、メス馬の発情を促します。いきなり本命のオス馬と引き合わせると、うまくいかないケースがあるためです。
当て馬の役割はメス馬が交尾できる状態になるまでで、実際の交尾は本命のオス馬=種馬が行います。本命登場までのつなぎのような存在であることから、意味が転じて本命の代わりのような人を「当て馬」と呼ぶようになりました。
「当て馬」を別の言葉で表すと?
「当て馬」と意味が似ている言葉はいくつかあります。シチュエーションに合わせて、正しく使い分けるためにも覚えておきましょう。当て馬の類語を紹介します。
損な役回りを表す「かませ犬」
かませ犬とは、いわゆる「やられ役」のことです。もともとは闘犬の調教に使われていた言葉で、ただかまれるだけの犬のことを指しています。闘犬の競技に犬を出す飼い主は、試合前にわざと弱い犬と戦わせました。犬に勝利の味を覚えさせ自分は強いと自信を持たせるためです。やがて闘犬以外でも使われるようになり、本命を引き立てたり強さを際立たせたりする役割をかませ犬と呼ぶようになりました。
かませ犬の本命ではないという点は、当て馬と共通しています。しかし、当て馬のような様子見や代役の意味はありません。「相手の実力を試す・把握する」のが当て馬、「相手を引き立たせて強くする・強く見せる」のがかませ犬と考えるとよいでしょう。
表面や外見を装う「カムフラージュ」
カムフラージュには、「人の目をごまかすこと」といった意味があります。本命を隠したいがための代役という点では、当て馬と似ているでしょう。
ただし、カムフラージュの意味は隠す・偽装するがメインです。相手に見つからないことや気付かれないことが重要で、相手の出方を見るといった意味はありません。もともとカムフラージュは、軍事用語から転じた言葉です。軍事設備や軍用車などが敵に見つからないよう迷彩加工を施したり、外見を全く変えてしまったりすることをカムフラージュと言います。