紫陽花時期
紫陽花は、アジサイ科アジサイ属の落葉低木です。元々は日本原産の植物ですが、西洋にも広がり、西洋紫陽花として日本に逆輸入されました。開花時期は、5月から7月。日本の梅雨の時期を代表する花ですよね。手毬のようなコロンとした丸みのある花姿が特徴的です。
また、紫陽花は小さな花が集まっているような姿に見えますが、実はこれは花びらではなく「萼片(がくへん)」と呼ばれる装飾花です。萼片とは、一般的に萼(がく)と呼ばれている葉の部分が変形したもの。
紫陽花をよく見ると、萼片が集まっている真ん中に小さな粒のような花があります。これが、紫陽花の本来の花なのです。今まで勘違いしていたという方も多いのではないでしょうか?
花の種類
みなさんが日頃よく見かける「紫陽花」の種類は、原種の「ガクアジサイ」を品種改良した園芸品種です。この日本原産のガクアジサイが欧米に伝わり、観賞用としてヨーロッパで品種改良されたものが、「西洋紫陽花」と呼ばれています。
紫陽花は大きく分けると、原種の「ガクアジサイ」と、園芸品種の「西洋紫陽花(ハイドランジア)」があります。園芸品種は、国内や海外で品種改良が行われており、3000種類以上の品種があるとされています。
中でも、ドライフラワーとしても人気のある「アナベル」や、華やかな八重咲きの「テマリテマリ」、グラデーションが綺麗な「コンペイトウブルー」などの品種が人気です。
「紫陽花」には毒がある?
紫陽花の毒性に関しては、未だはっきりと解明はされていません。現状では、品種や個体によって毒の有無や含有量が違うのではないかと考えられています。紫陽花に含まれる有毒成分は口に含まないかぎり、危害を及ぼすことはないとされているため、手で触るぶんには問題はありません。
また、葉に含まれる毒の含有量も少ないそうですが、料理の飾り付けなどで出された紫陽花の葉っぱは食べないように気をつけましょう。毒を含んだ紫陽花の葉っぱや茎を食べた場合の症状としては、嘔吐やめまい、顔面の紅潮、歩行のふらつきなどがあるようです。
「紫陽花」の花の色はなぜ変わる?
紫陽花は、土壌の酸性度(ph)によって花の色が変わるのはご存知ですか? 一般的に、酸性土壌なら「青」、アルカリ性なら「赤」色の花が咲くといわれています。これは、紫陽花の花にはアントシアニンという色素が含まれているためです。
アントシアニンは、土の中のイオンとして溶け出したアルミニウムと結合すると、青色になる性質があるのです。また、アルカリ性の土壌では、アルミニウムが溶け出しにくいため、花の色が赤になるといわれています。
「紫陽花」は英語で何て言う?
紫陽花は英語で「hydrangea(ハイドランジア)」といいます。「hydro-」は水、「ange」は器を表すことから、「水の器」という意味があります。神秘的なイメージのある名前ですね。由来は定かではありませんが、梅雨の時期に咲く花であることから名付けられたのかもしれません。
最後に
日本原産の紫陽花は、最古の和歌集「万葉集」にも登場する歴史のある花。「紫陽花」という名前の他に「七変化」や「八仙花(はっせんか)」とも呼ばれています。凛とした紫陽花は、しっとりとした梅雨の季節を感じさせてくれるもの。この機会に花に込められた意味も覚えてみてはいかがでしょうか。