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「一挙手一投足」の2つの意味
使用頻度の高い「一挙手一投足」という言葉、正しい読み方は……「いっきょしゅいっとうそく」でした!
「一挙手一投足」には、次の2つの意味があります。
・こまかな動作や行動
・ちょっとした努力
デジタル大辞泉での意味も併せて確認しておきましょう。
【一挙手一投足】いっきょしゅいっとうそく
(韓愈「応科目時与人書」から。一度手を挙げ、一度足を踏み出す意)
1. こまかな一つ一つの動作や行動。「―に気を配る」
2. ちょっとした努力。わずかな骨折り。「―の労を費やす」
両方の意味を正しく理解することで、言葉への理解度がアップします。「一挙手一投足」に含まれている意味2つを詳しくご紹介します。
1.こまかな動作や行動
1つ目の意味は、こまかな1つ1つの動作や行動を指します。こまかな動作なので、走ったり泳いだりするような大きな動きは含まれません。
人間の身体のなかで、顔を例に挙げてみましょう。
顔全体を上げる動作と、眉を上げる動作では、圧倒的に後者のほうが小さい動作だといえます。「一挙手一投足」は、眉やまぶたをちょっと動かすようなこまかい動作を指して使われます。
2.ちょっとした努力
「一挙手一投足」の意味としては、2番目の「少しの努力、わずかな労力」という意味を知らなかったという方もいるでしょう。言葉の由来の章でもご紹介しますが、かつては少しの努力・労力という意味で使われていました。
こまかな1つ1つの努力とは、つまり日々の中で少しずつ積み上げていくトレーニングや練習を指しています。ものすごく大変ではないけれど、ちょっとした努力というのがポイントです。
「一挙手一投足」の由来は中国唐時代の書物
「一挙手一投足」という言葉は、中国唐代中期に活躍した韓愈(かんゆ)がまとめ上げた『応科目時与人書(かもくにおうずるとき ひとにあたうるのしょ)』に登場しています。
もともと「一挙手一投足」は、ちょっとした努力・労力という意味で主に使われていました。韓愈の書のなかでも「それはほんの一挙手一投足のわずかな労力に過ぎません。」という一節において、ちょっとした労力という意味で用いられています。
かつての使われ方が変化していき、現代では「一挙手一投足」が、こまかな動作や行動を示して使われることが多くなりました。
「一挙手一投足」の類似表現
「一挙手一投足」と似た意味を持つ表現は主に次の5つです。
・「一挙一動(いっきょいちどう)」:1つ1つの振る舞い
・「挙動(きょどう)」:動作、立ち振る舞い
・「挙措(きょそ)」:立ち居振る舞い
・「一言一句」:1つ1つの言葉、わずかの言葉
・「振る舞い」:振る舞うこと、挙動
特に「一挙手一投足」が動作を表す言葉であるのに対して、「一言一句」はその人が話す言葉にフォーカスが当たっています。1つ1つの言葉とわずかな言葉という意味を2つ持っている点でも、「一挙手一投足」と共通点があるといえるでしょう。