「海鼠」の餌は海中のプランクトン
「海鼠」は海中のプランクトンを餌として食べます。食べる際は触手を使い、海底表面の砂や泥ごと口に運んで飲み込みます。赤ナマコの場合、体重の3分の1もの量を食べられるのが特徴です。なお、一匹あたりが食べる砂や泥の量は年間30kgほどです。
「海鼠」を含む棘皮動物はエネルギー消費が少なく、プランクトンがなければ自らの体をエネルギー源として消費して活動することもできます。
「海鼠」の体は90%以上が水
人間の体に含まれる水分が60%ほどであるのに対し、「海鼠」の体は90%以上が水でできています。再生能力が高く、体を横半分に切っても数か月で再生して2匹に分裂します。
「海鼠」には目がありませんが、皮膚の神経を使って明るさを感じ取ることが可能です。目以外の器官では、耳や血管、心臓もありません。
夜間に活動が活発になりますが、赤ナマコや黒ナマコは昼夜を問わず餌を食べるのが特徴です。なお、「海鼠」は噛んだり刺したりしないため、素手でも触れます。
「海鼠」の活動の仕方
「海鼠」は夜行性であり、一晩に7m〜8mもの距離を移動します。冬は活発に活動しますが、夏は冬眠のように活動を停止するのが特徴です。3月〜9月に産卵期を迎え、生まれてから1年で体長は6cmほどまで大きくなります。
ストレスを感じたときに自己防衛反応として内臓を吐き出すのも特徴です。「海鼠」は海に生息しますが、泳ぐことはありません。呼吸の仕方にも特徴があり、口ではなくお尻から水を吸い込むことで呼吸します。
「海鼠」の食べ方や地域性の違い
「海鼠」は古くから日本で親しまれてきた食べ物です。「食物本草」という書物では、「海鼠」は栄養価が高い珍味として登場します。昔は吸い物にして食べるのが基本でしたが、最近では切った「海鼠」に合わせ酢の一種である三杯酢などをかけて食べることが多いようです。
そのほかの調理法には、「海鼠」の内臓を塩漬けにした「このわた」、卵巣を乾燥させた「このこ」などがあります。「海鼠」を煮てから乾燥させたものは「干しなまこ(いりこ)」と呼ばれ、主に中華料理で用いられます。
かつては、干しなまこは中国への輸出品として重要な役割を担っていました。現在でも生産は続いており、世界中で生産される量は2万トンにも上ります。
「海鼠」の食べ方には地域性の違いもあり、関東では青ナマコを、関西では赤ナマコを好んで食べることが多いです。
食用としても知られる「海鼠」の読み方を知っておこう
海の鼠と書く「海鼠」の読み方は「なまこ」です。見た目や動き方が鼠に似ていることから、鼠という漢字が用いられるようになったとされています。元々は「こ」と呼ばれていましたが、他の生物と区別するために「なまこ」と呼ばれるようになったという説が有力です。
「海鼠」の種類は1,500種にも上り、その中でも日本には200種が生息しています。古くから食用としても親しまれ、三杯酢をかけたり塩漬けにしたりする食べ方が一般的です。
この機会に、食べ物としても身近な「海鼠」の読み方や名前の由来、生態について覚えておきましょう。
写真・イラスト/(C) Shutterstock.com
▼あわせて読みたい