見た目
「蜻蛉(カゲロウ)」と「トンボ」ともに透明の翅や長い胴体を持っているため、一見似ているようですが、よく見ると異なる姿形をしています。「蜻蛉(カゲロウ)」の腹部には、細長い尾毛がありますが、「トンボ」にはありません。また、「蜻蛉(カゲロウ)」の眼は、3つの単眼(構造が簡単な目)と1対の複眼(複数の単眼が集まった目)が合わさってできていますが、「トンボ」の眼は1万個〜3万個からなる複眼です。
成長過程
「蜻蛉(カゲロウ)」と「トンボ」では、成虫になるまでの過程も異なります。「蜻蛉(カゲロウ)」は、幼虫から羽化したら、そのまま成虫になるのではなく、亜成虫という段階を踏みます。亜成虫とは、幼虫から成虫になる前の段階のこと。見た目はほとんど成虫と同じですが、成虫に比べて、飛ぶ力は弱いです。いっぽう、「トンボ」は亜成虫という段階は踏まず、幼虫から羽化したら、そのまま成虫になります。
エサを食べるか食べないか
「蜻蛉(カゲロウ)」は成虫になると、口の機能が退化してしまい、エサを食べることができません。そのため、寿命が数時間〜数日ととても短いのです。成虫になった「蜻蛉(カゲロウ)」は、繁殖のためだけに命を使うといえるでしょう。オスは交尾を終えるとまもなく死んでしまい、メスは産卵のために数日間生きます。このように、エサを食べられない「蜻蛉(カゲロウ)」に対し、「トンボ」は、成虫になってもエサを食べます。
「蜻蛉」を使う言葉
「蜻蛉」を使う言葉として、蜻蛉玉・蜻蛉返り・蜻蛉切を紹介します。
蜻蛉玉(とんぼ玉)
ガラス製の装飾用ビーズのことです。色とりどりの模様が描かれたガラス玉が、「トンボの複眼」に似ていたことからその名がつきました。
蜻蛉返り(とんぼ帰り)
目的地に着いてすぐ、用事を済ませてすぐに元の場所へ引き返すことを指します。
蜻蛉切(とんぼぎり)
戦国時代の武将・本多忠勝が愛用したとされる、天下三名槍(てんかさんめいそう)の一つです。
【実際のエピソード】「蜻蛉」に関する成功談・失敗談
「蜻蛉」の体験談には、どのようなものがあるのでしょうか?ビジネスシーンにおいて、「蜻蛉」に関して何かしらの気づきや学びを得た実際のエピソードを紹介していきます。
【episode1】「蜻蛉」と「陽炎」の混同による失礼な表現
Aさん(管理職、38)
入社3年目の部下が、長期休暇を控えたクライアントに対し「お休み前の忙しさは、まさに蜻蛉(かげろう)のようですね」という不思議な挨拶をメールで送っていました。本人は「ゆらゆらと忙しそうな様子」を伝えたかったようですが、これは「陽炎(かげろう)」との混同です。 さらに「蜻蛉(かげろう)」は、命の短さや儚さを象徴するため、ビジネス相手の状況に使うのは非常に失礼に当たります。「相手の多忙さを労うなら『お忙しい中』などの定型句を使い、情緒的な表現を使うなら意味を徹底的に調べるべきだ」と厳しく伝えました。感性だけで言葉を使うリスクを教える難しさを痛感しました。
【episode2】出張の「蜻蛉返り」を戦略的に使う
Kさん(管理職、43)
育休明けで管理職に就いた当初、遠方への出張に罪悪感を抱いていました。しかし、ある重要な商談で、私が「本日は蜻蛉返りとなりますが、どうしても直接お話ししたく参りました」と伝えたところ、クライアントから「その短時間のためにわざわざ!」と非常に高く評価されました。 「蜻蛉返り」という言葉は、単なる「忙しさ」のアピールではなく、「限られた時間の中でも優先順位を高く置いている」という敬意を伝えるツールになります。物理的な時間の短さを、言葉の力で「誠実さの象徴」へと変換させる。時間制約のあるワーママ管理職だからこそ使いこなしたい、戦略的なフレーズだと実感しています。
英語表現とは?
「蜻蛉(カゲロウ)」の英語表現は、「a mayfly」や、「a day-fly」、「an ephemera」です。ちなみに、「トンボ」は「a dragonfly」と言います。
よくある質問
「蜻蛉」について、よくある質問とその回答を紹介していきます。
Q. 「蜻蛉」の読み方は?
「蜻蛉」は一般的に昆虫の「とんぼ」と読みますが、古典文学やはかないものの例えとしては「かげろう」、日本の古い呼称(秋津島)に関連しては「あきつ」とも読みます。
Q. 「蜻蛉」と「かげろう」の違いは何ですか?
「蜻蛉」と「かげろう」の違いは、「漢字が指す対象(虫の種類)」と「言葉が持つニュアンス」にあります。
一言でいうと、「蜻蛉」は本来トンボを指しますが、日本では古くから「カゲロウ」という別の虫とも混同され、独特の文化的な広がりを見せてきたという経緯があります。
Q. 「蜻蛉日記」は昆虫と関係ありますか?
「蜻蛉(かげろう)日記」は、昆虫そのものを観察した記録ではありませんが、昆虫の性質を「人生の比喩」として題名に込めているという点で、深い関係があります。
Q. 「蜻蛉」は季語ですか?
「蜻蛉(とんぼ)」は秋の季語です。トンボは夏から見かけますが、俳句の世界では伝統的に「秋」に分類されます。特に高く澄んだ空を飛ぶ姿や、稲穂の上に止まる姿が秋の象徴とされてきました。
最後に
- 「蜻蛉」は一般的に「かげろう」「とんぼ」「あきつ」などと読まれる
- 「蜻蛉」を使った言葉としては「蜻蛉玉」「蜻蛉返り」「蜻蛉切」などがある
- 「蜻蛉(とんぼ)」は秋の季語であり、高く澄んだ空を飛ぶ姿が秋の象徴とされる
成虫になると数日しか生きられないため、「儚さ」の象徴とされる「蜻蛉(カゲロウ)」。身近な昆虫からも情緒を感じ、季語や古典の題材としても用いるとは、感性豊かな日本人の心を感じられるような話題でした。今度「蜻蛉(カゲロウ)」を見かけた時には、子孫を残すために命を使うその生き様に、思いを馳せてみてください。
Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。https://domani.shogakukan.co.jp/