見た目
「蜻蛉(カゲロウ)」と「トンボ」ともに透明の翅や長い胴体を持っているため、一見似ているようですが、よく見ると異なる姿形をしています。「蜻蛉(カゲロウ)」の腹部には、細長い尾毛がありますが、「トンボ」にはありません。また、「蜻蛉(カゲロウ)」の眼は、3つの単眼(構造が簡単な目)と1対の複眼(複数の単眼が集まった目)が合わさってできていますが、「トンボ」の眼は1万個〜3万個からなる複眼です。
成長過程
「蜻蛉(カゲロウ)」と「トンボ」では、成虫になるまでの過程も異なります。「蜻蛉(カゲロウ)」は、幼虫から羽化したら、そのまま成虫になるのではなく、亜成虫という段階を踏みます。亜成虫とは、幼虫から成虫になる前の段階のこと。見た目はほとんど成虫と同じですが、成虫に比べて、飛ぶ力は弱いです。いっぽう、「トンボ」は亜成虫という段階は踏まず、幼虫から羽化したら、そのまま成虫になります。
エサを食べるか食べないか
「蜻蛉(カゲロウ)」は成虫になると、口の機能が退化してしまい、エサを食べることができません。そのため、寿命が数時間〜数日ととても短いのです。成虫になった「蜻蛉(カゲロウ)」は、繁殖のためだけに命を使うといえるでしょう。オスは交尾を終えるとまもなく死んでしまい、メスは産卵のために数日間生きます。このように、エサを食べられない「蜻蛉(カゲロウ)」に対し、「トンボ」は、成虫になってもエサを食べます。
英語表現とは?
「蜻蛉(カゲロウ)」の英語表現は、「a mayfly」や、「a day-fly」、「an ephemera」です。ちなみに、「トンボ」は「a dragonfly」と言います。
最後に
成虫になると数日しか生きられないため、「儚さ」の象徴とされる「蜻蛉(カゲロウ)」。身近な昆虫からも情緒を感じ、季語や古典の題材としても用いるとは、感性豊かな日本人の心を感じられるような話題でした。今度「蜻蛉(カゲロウ)」を見かけた時には、子孫を残すために命を使うその生き様に、思いを馳せてみてください。
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