「帷子」とは裏地のない衣類の総称
みなさんは「帷子」というものをご存じでしょうか?着物を着用する方にとっては、聞き覚えのある言葉かもしれませんが、あまり一般的とはいえません。ここでは、「帷子」の読み方と、語句がもつ4つの意味を解説していきます。
「帷子」は文脈によって、衣服の総称であったり着物そのものを指したりと、意味が変わります。「帷子」の意味を知って、正しく使えるようになりましょう。
読み方は「かたびら」
「帷子」と書いて、その読み方は「かたびら」。
それぞれの漢字の読み方を解説すると「帷」という字には「とばり」と「かたびら」いう読み方があります。そうです、実は「帷」の一文字で「カタビラ」と読むことができるのです。
そして「子」には、「し」「す」「こ」「ね」などの読み方がありますが、「カタビラ」に関する読み方はありません。つまり「帷子」で使われる「子」は「置き字(もしくは黙字)」ということになります。
置き字とは、漢字はあるけれど、発音をしない字ということです。「和泉(いずみ)」などは「泉」だけで「いずみ」と読み「和」は発音しませんよね。「帷子」の「子」も同じです。
「帷子」の意味は4つある
「帷子(カタビラ)」は、以下4つの意味をもつ言葉です。
「経帷子」とは、葬式をあげる際に、死者に着せる白い着物のことです。いわゆる「白装束」のことを指します。つまり「帷子」=白装束という意味で用いられることもあるということです。
1.裏地をつけない衣服の総称
2.麻布で仕立てられた、夏に着る着物のこと
3.経帷子(キョウカタビラ)のこと
4.帳(トバリ)や几帳(キチョウ)などに、垂らして使う絹のこと
(引用<goo辞書>より)
帳や几帳とは、室内で間仕切りや目隠しのために使われる「屏障具(ヘイショウグ)」のひとつです。
「帷子」の使い方を例文でご紹介
4つの意味からも分かるとおり、「帷子」は現代では、あまり聞き慣れない言葉です。
では一体どのようなシーンで使われる言葉なのでしょうか。有名作家の小説から、「帷子」が実際に使われている一文を紹介します。
・紋を染めた【古帷子(ふるかたびら)】に何か黒い帯をしめた、武家の女房らしい女である/『おしの』芥川龍之介
・十八九ばかりの書生風の男で、【浴帷子(ゆかたびら/ゆかたのこと)】に小倉袴を穿いて、麦藁帽子を被って来たのを、女中達が覗いて見て/『心中』森鴎外
・青き頭巾を眉深に被り空色の絹の下に【鎖り帷子(くさりかたびら)】をつけた立派な男はワイアットであろう。/『倫敦塔』夏目漱石
「帷子」の由来や関連する難読漢字は?
着物に関連する意味を多くもつ「帷子」。そのことからも、古くから使われてきた言葉なのだろうとイメージできますよね。では「帷子」という言葉には、どのような由来があるのでしょう。
ここでは「帷子」という、言葉の由来とともに、関連する「帷幄」という言葉についても解説していきます。難読漢字とされている「帷幄」は、どのような言葉なのでしょうか。さっそく見ていきましょう。