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2022.03.03

【矩尺(かねじゃく)】は直角の物差しのこと|「矩」を使った四文字熟語も紹介

「矩尺」は「かねじゃく」と読み、直角に曲がった物差しのことです。「尺」という単位で長さを表すこともあります。この記事では、「矩尺」の使用法や「矩」を使った四文字熟語をご紹介します。

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「矩尺」とは直角に曲がった物差しのこと

「矩尺」は「かねじゃく」と読み、直角に曲がった物差しのことです。大工職などで使用される物差しであり「大工金(だいくがね)」と呼ばれる場合もあります。

矩尺

アルファベットの「L」に似た形をしており、長い辺を「長手(ながて)」、短い辺を「短手(つまて)」と呼びます。一般的には長手を50cm、短手を25cmとしているものが多く、使用される素材はステンレスや真鍮、鋼などです。

「矩尺」は中国で発祥し、春秋戦国時代の魯の工匠である「魯班(ろはん)」が初めて作ったとされています。さらに、中国で発祥した矩尺を日本に広めたのは、十七条の憲法や冠位十二階の制定などを作った「聖徳太子」であり、のちに「大工の神様」とも呼ばれるようになりました。

ここでは、「矩尺」に関してさらに理解を深めるために、言葉の意味や成り立ちを詳しく見ていきましょう。

「矩」は直角を意味する

「矩尺」に使われる「矩」という漢字は「かね」と読み、直線や直角を意味する用語です。大工の中では直線を出すことを「矩を出す」、直角の確認を「矩を確かめる」といいます。

また、「矩」を使った言葉に「矩勾配(かねこうばい)」があります。「矩勾配」とは、底辺と高さが同じ割合の勾配のことです。この勾配を図形で描くと二等辺三角形になり、角度は「45度・45度・90度」となるため、ここでも「矩」が直角を意味していることが分かります。

長さの単位を表す場合もある

「矩尺」は直角に曲がった物差しだけでなく、長さの単位を表す際にも使用します。この時の単位を「」といい、一般的に土木建築などで用いられる単位です。

1尺は「約30cm」として認識されており、諸説ありますが、手のひらを広げて親指から中指の先までの長さが由来とされています。日本では大宝元年より唐から伝えられた尺を導入し、歴史の移り変わりを同じくして各地でその長さを変化させながら、明治まで使用されました。

しかし、明治からは「メートル」の単位で長さを定義づけられたため、1958年に導入された尺貫法により、「尺」が廃止されています。

「曲尺」の漢字が使われるケースも多い

「矩尺」は「曲尺(かねじゃく)」の漢字が使われるケースも多く「さしがね」と呼ばれる場合もあります。「曲尺」を「かねじゃく」と読む場合の意味は、「矩尺」と同じく直角に曲がった物差しのことです。一方「さしがね」と読む場合は、裏で人を操るという意味にもなります。

ここでの「さしがね」は大工道具ではなく、人形浄瑠璃や歌舞伎などの舞台で利用される人形を操作するための棒を意味します。つまり「裏で操る」という意味は、人形を操作する様にちなんでいるのです。

「矩尺(曲尺)」の3つの用途

「矩尺(曲尺)」には、直線の長さや直角の角度を測る以外にもさまざまな用途があります。
代表的な用途は次の3つです。

矩尺

・木材の等分割
・角度の計測
・円周の長さの測定

建築業界では「矩尺」が当たり前のように利用されているものの、一般的にはイメージしにくいものです。ここでは、「矩尺」の詳しい用途を参考に、その理解を深めていきましょう。

1.木材の等分割

「矩尺」は、木材を正しく分割する際に利用されます。ちなみに「等分」とは、同じ分量に分けることです。

例えば、木材を3等分にするとしましょう。等分する木材の幅が12cmである場合「12÷3=4」という計算によって、4cmごとに印を付けます。

一方、幅が10cmの木材を3等分する場合は計算上割り切れず、3等分の位置で印を付けるのが難しいです。このような時に矩尺を利用して印を引けば、簡単かつ正確に3等分ができます。まず、矩尺の角を木材の片端に固定し、長手の方の目盛が3で割り切れる数字になるように反対側の端に合わせます。12cmで合わせたとすると、長手の目盛4cmごとに印を引けば正確な三等分ができるのです。

2.角度の計測

「矩尺」の角度は直角(90度)になっているため、角度の計測にも役立ちます。その方法は、「矩尺」の角を角度を測りたい対象の角に当てるだけです。

そこでぴったりと角があっていれば、その角が直角であると判断できます。さらに、「矩尺」を上手く利用すれば「30度」「45度」「60度」を正しく測ることも可能です。手元に分度器がなくても、「矩尺」さえあればさまざまな対象物の角度が測れます。

3.円周の長さの測定

「矩尺」の表面には「丸目」、裏面には「角目」という目盛があり、円周の長さを測定できます。円周は「直径×3.14」という計算式で求めます。

例えば筒の材料の場合、表面にある「丸目」を利用することで円周の長さを測ることが可能です。丸目の目盛には、長さに「3.14」を掛けた数字があらかじめ記載されており、円の直径さえ丸目で測れば、円周が分かります。

また、裏面にある「角目」を利用することで、筒状の材料から切り出せる最大の正方形の大きさを知ることができます。このように、「矩尺」には先人達のさまざまな知識が詰まっているのです。

「矩」を使った3つの四文字熟語

前述の通り「矩尺」に使われる「矩」という漢字は、直角を意味します。「矩尺」をそのまま使った四文字熟語はありません。しかし「矩」を使った四文字熟語は、いくつか存在します。「矩」が含まれる代表的な四文字熟語は次の3つです。

矩尺

・方領矩歩
・規矩準縄
・規行矩歩

ここでは、それぞれの意味や由来、例文を詳しく解説するので、確認していきましょう。

【四文字熟語1】方領矩歩(ほうりょうくほ)

方領矩歩(ほうりょうくほ)」とは、儒学者の身なりや態度を意味します。「方領」は四角い襟の服を指し「矩歩」はルール通りの正しい歩き方のことです。

また儒学者とは、儒学を自らの行動規範とするために儒教の学習や研究をする人を意味します。近世の武家では城下に学校を作り、儒学者を師として学問を学んでいたことから、師のように立派な人である様を表しているのです。「方領矩歩」を使った例文は次のとおりです。

【例文】
みなりが【方領矩歩】である人たちの中に、なぜ彼が参加しているのでしょうか。
いかにも服装が【方領矩歩】である人に質問され、回答ができず慌てました。
・【方領矩歩】は現在の道徳教育の基礎といえます。

【四文字熟語2】規矩準縄(きくじゅんじょう)

規矩準縄(きくじゅんじょう)」は、物事や行動の標準・基準を意味します。「指矩」は、L字の定規、「準縄」は木材に直線を引く道具を意味し、いずれも図を描く際に要するものです。また「規矩」と「準縄」はいずれも規則や法則を意味する熟語であり、同じ意味の語句を重ねて強調しています。

「規矩準縄」は『孟子』という書物の中で「聖人が自分の眼の力を使い、さらにコンパスや定規、水準器、墨縄を用いたところきれいな図形が描けたため、使いきれないほどの多くの製品が作られた」といった内容が記述されています。

作図の基準とした「コンパス・定規・水準器・墨縄」の4つを漢字で表したのが「規矩準縄」なのです。「規矩準縄」を使った例文は次のとおりです。

【例文】
国の法律はいつも【規矩準縄】となるべきものである。
・議論が脱線した際は、一度その組織における【規矩準縄】に立ち返り、議論を整理しかければならない。
・【規矩準縄】は自ら創り上げるものであり、与えられるものではない。

【四文字熟語3】規行矩歩(きこうくほ)

規行矩歩(きこうくほ)」は、心や行いが正しく模範的であることを意味します。非常に真面目で行いが正しいことを意味する「品行方正」とほぼ同義といえます。一方、古い習わしによって融通が利かないことや柔軟性に欠けるといった意味も持ち、この点は「品行方正」と大きく異なる点です。

「規行矩歩」の由来は、中国晋王朝の歴史書である『晋書』にあり、歩き方が正しい法則に沿っているさまを表しています。「規行矩歩」を使った例文は次のとおりです。

【例文】
・部長は部下からの信頼は厚いが、真面目すぎることで周りから【規行矩歩】といわれるのも分かる。
警察官の祖父はいつも【規行矩歩】で、周囲が心配するほどだ。
彼はいつも【規行矩歩】で、模範的な生徒といえる。

まとめ

「矩尺」は、直角に曲がった物差しや長さの単位を意味します。いずれも建築業界で利用されることの多い言葉であり、あまり聞き慣れないと感じる方も多いでしょう。

矩尺

しかし、古くは中国の魯の工匠である「魯班(ろはん)」が「矩尺」を作り、さらには日本ではあの「聖徳太子」が広げた歴史ある道具です。先人達のさまざまな努力によって作られた「矩尺」の意味を正しく理解することで、会話のネタとしても利用できるのではないでしょうか。

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