「溜飲が下がる」の意味と使い方をチェック
「溜飲が下がる」の読み方は「りゅういんがさがる」です。「胸のつかえがおりて、気が晴れること」を表現しています。
実は、この「溜飲が下がる」という慣用句は誤用されることが多い言葉だといわれています。はじめに、正しい意味や語源、使い方などをしっかりと理解して、言葉を間違わずに使えるようになりましょう。
意味は胸のつかえがおりて気が晴れること
【溜飲(りゅういん)が下(さ)が・る】
不平・不満・恨みなど、胸のつかえがおりて、気が晴れる。「試合に勝って―・った」
「溜飲が晴れる」は誤り。溜飲を下げる[補説]
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
「溜飲が下がる」とは、「なんらかの理由によって、胸のつかえがおりて気が晴れること」を意味します。この言葉でいう胸のつかえとなっていたものとは、不平・不満・恨みなど、むかむかしたり、もやもやしたりしたことです。気になっていたネガティブな事柄が解消されて、心が晴れやかになったときに使います。
「溜飲が下がる」の「溜飲」という漢字は「留飲」と書くこともありますが、これも誤りではありません。一般的には「溜飲」と表記するものの、「溜」という字が常用外漢字のため、新聞などでは「留」の字を使った「留飲が下がる」が使用されていることが多いです。
なお、よく似た言葉として「溜飲を下げる」がありますが、それぞれの言葉で異なる部分があります。この違いについては、詳しくは後述します。
「溜飲が下がる」の語源・由来
「溜飲が下がる」は、江戸時代末期から一般的に使われている表現です。もともと「溜飲」とは、消化不良であったり胸やけしたりで胃の中に飲食物が溜まって発生する、酸性の液体がのどに上がってくることです。
つまり、本来「溜飲」は胃炎や逆流性食道炎などの病気の可能性がある医療用語として使われていた言葉でした。酸性の胃液が上がってくると、むかむかして相当な不快感を覚えるでしょう。のどまで上がってきていた胃液が下がれば、不快感が解消できます。
そこから、「胸のつかえがおりてすっきりすること」を「溜飲を下げる」と表現するようになりました。
「溜飲が下がる」の使い方と例文
スムーズに正しく使えるようになるよう、「溜飲が下がる」の使い方と例文をあわせてチェックしていきましょう。
「溜飲が下がる」は、わだかまっていたことや心配していたことがなくなり、胸がすっきりしたときに使います。
【例文】
・いつも競っていた相手にようやく試合で勝てたので、【溜飲が下がった】。
・あの人は嫌いだが、大変そうにしているのを見ても私の【溜飲が下がる】訳ではないよ。
・恨んでいる相手がおろおろとしているところを見て、少しは【溜飲が下がった】。
・やっとあの人を見返すことができるようになり、【溜飲が下がった】。
悩みが解決できたり嫌な気持ちを解消できたりした場合に使う言葉ですが、使い方によってはネガティブなイメージを与えることもあるため注意しましょう。
「溜飲が下がる」を使う際に注意する2つのポイント
先述のとおり、「溜飲が下がる」とは間違いやすい慣用句だといわれています。「溜飲が下がる」を使う際に注意する2つのポイントをチェックして、間違えずに使えるようになりましょう。とくに気を付けたいポイントは、以下のとおりです。
・「溜飲を晴らす」は間違いであること
・「溜飲を下げる」とは意味が異なること
それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
「溜飲を晴らす」は間違い
「溜飲が下がる」という言葉を「溜飲を晴らす」と誤って覚えている人がいるようですが、これは間違いです。正しく「溜飲が下がる」を使うように、注意しましょう。
この誤用の広まり方は、文化庁が平成29年度におこなった「国語に関する世論調査」で確認できます。国語に関する世論調査によると、正しい言葉である「溜飲を下げる」を使用している人は37.4%で、「溜飲を晴らす」を誤用している人は32.9%でした。逆転こそしていませんが、誤用が正しい使い方と同じくらい広まっていることがわかります。