虚心平気
「虚心平気」は「きょしんへいき」と読み、意味は「虚心坦懐」と同じです。「平気」は「平静心」を意味し、「虚心」とは、すでに解説したように、こだわりのない素直な状態という意味。同じような意味の言葉を組み合わせることで、「穏やかで素直な心であること」を強調しています。
明鏡止水
一見難しい「明鏡止水」ですが、「めいきょうしすい」と読みます。漢字から想像できる通り、曇りのない鏡と、流れることなく止まっている状態の水という意味。つまり、「わだかまりがなく、澄んだ状態の心」を意味します。
「虚心坦懐」は、「まっさら心で物事にあたること」という意味で、行動に対する心がけの意味合いも含まれていますが、類語として使える表現です。
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自由闊達
「自由闊達」とは「じゆうかったつ」と読み、意味は、「のびのびと心のままに行動するようす」です。「闊達」という言葉自体が、「心が広く、小さなことにこだわらないこと」を意味します。
平常心
馴染みのある「平常心」という言葉も「虚心坦懐」の言い換え表現として使えるでしょう。「平常心」は、動揺なく、ふだん通りの心の状態を意味する言葉。状態のみをあらわすので、「虚心坦懐」同様に使う際には、「平常心で挑む」「平常心で物事にあたる」など、動詞をつけて使うようにしましょう。
「虚心坦懐」の対義語は?
「わだかまりがない状態」をいう「虚心坦懐」。その対義語は、「邪念がある状態」や「悩みでいっぱいの状態」といえるでしょう。代表的なものをピックアップして紹介していきます。
疑心暗鬼
不安など邪念たっぷりというイメージの「疑心暗鬼」。「疑心暗鬼」という言葉が一般化していますが、もとは「疑心暗鬼を生ず」という言葉で、疑う気持ちが強くなると、なんでもないようなことでも怖くなってしまうという意味。
仏教がもとになっている疑う心を意味する「疑心」と、妄想がつくる恐れや疑いを意味する「暗鬼」を組み合わせて成り立っています。
焦心苦慮
「焦心苦慮」の読み方は「しょうしんくりょ」で、意味は「さまざまなことに思いを巡らせ、悩むこと」。「焦心」とは「焦ってイライラすること」、「苦慮」とは「思い悩むこと」です。この2つを組み合わせて、「焦りにより思い悩んでしまうこと」を意味する四字熟語になります。
英語表現とは?
漢字にすると難しい「虚心坦懐」ですが、英語にするとシンプルで、「率直な」や「偏見がない」という言葉が英語表現になります。聞いたことのある言葉ばかりなので、英語に言い換えるのは比較的容易かもしれません。
open mind
日本語でもよく使われる「オープンマインド」という言葉。意味は「偏見のない心」や「広い心」です。「We need to discuss with an open mind.(私たちは偏見なく話し合うことが必要だ)」という風に使うことができます。
frankly
「frankly」は「率直に」という意味の言葉。「My boss and I were talking frankly.(私と上司は率直に話し合っていた)」のように、副詞として使いましょう。「to be frank」と言い換えることもできますが、「to be frank」は、本音を切り出すときに使うことが多いです。例えば、「To be frank with you, I hate her.(正直、私は彼女が嫌いです)」という表現で使います。
candid
「candid」も「率直な」、「偏見のない」、「公平な」という意味の英語です。「You have to tell him your candid opinion.(あなたは彼に率直な意見を伝えるべきだ)」というように使うことができます。
まとめ
「不安や偏見がなく、素直な心の状態」を意味する「虚心坦懐」。日々生きているとそうした状態を保つのは難しいですが、冷静になりたい時、いったん物事を俯瞰して見たい時などに、「虚心坦懐」を思い出すようにしたいですね。
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