矛盾
「矛盾」は「むじゅん」と読み、「辻褄が合わないこと」を表します。「二律背反」は「矛盾する二つの命題」を意味するので、完全に同じ意味ではありません。「矛盾」は倫理学用語だと、「同じ物事・視点・タイミングで見ているのに、片方が肯定、片方は否定する概念の関係性」を表現しています。また、「矛盾」は中国の故事成語で、語源となった話は学生時代によく取り上げられるため、知っている人も多いことでしょう。
板挟み
「板挟み」とは「いたばさみ」と読み、「相反する2つの物事に、どちらの味方も出来ずに苦しむこと」を意味します。「二律背反」という事象に挟まれ、思い悩む現象を指しているといえるでしょう。由来は「板に挟まれたら身動きが取れない」ことから来ています。文字通りの言葉ですね。
パラドックス
「パラドックス」はギリシャ語で「反する」を意味する「para」と、「意見」の「doxa」を合成し「paradox」と成りました。日本語でも、見かけたことはある単語ではないでしょうか。日本語では「背理」「逆説」などと訳します。「二律背反」やゼノンの「アキレウスと亀」という話が、パラドックスであるという解釈もありますが、「二律背反」=「パラドックス」ではないともいわれているため、使い方には気をつけましょう。
英語表現とは?
最後に、「二律背反」の英語表現を3つ紹介しますので、チェックしましょう。
antinomy
「antinomy」は「アンチノミー」と発音し、二律背反のドイツ語である「Antinomie」が語源です。哲学用語で、まさに「二律背反」のことを指します。カントの哲学術語として有名な単語のため、馴染みのある方もいるでしょう。また、歌詞のタイトルにも使われているので、知らないうちに見聞きしていたという方もいるかもしれません。
dilemma
「dilemma」は、語源はラテン語で「ジレンマ」と発音し、日本語でも一般的に使われている語句です。使ったことがある人の方が多いのではないでしょうか。「二律背反」の直訳というよりは、「二律背反」の状態に陥ることを意味します。日本語では、2つの内どちらを選んでも不利益を被る状態から「葛藤」、専門用語では「両刀論法」という表現にあたります。
ambivlance
「ambivlance」は「アンビバレンス」と発音する心理学用語です。こちらの単語も「二律背反」の直訳ではなく、「二律背反」の感情を抱いている状態を指します。「愛憎感情」や「好きだけど嫌い」といった、相反する感情を意味し、人間が自然と抱く感情の1つです。
最後に
「二律背反」は、意外と身近なことを表現できる言葉ということが分かりました。「矛盾」という言葉の方が、似た状況ではポピュラーに使われますが、表現を変えたい時などに「二律背反」を使ってみましょう。