紆余曲折は、「大変な道のりを乗り越えてきた」「物事の事情がこみいっている」などのニュアンスを伝えられる言葉です。
Summary
- 「紆余曲折」とは、さまざまな事情から複雑な状態になり、結果に到達するまでに手間取ったことを指す
- 「羽陽曲折」や「紆曲曲折」は造語であり、正しい四字熟語ではないので誤用に注意
- 類語には「試行錯誤」「多事多難」、対義語には「順風満帆」「一路邁進」などがある
Contents
「紆余曲折」の意味&語源
「紆余曲折」は、「うよきょくせつ」と読む四字熟語です。到達するまでに手間取ったことや、さまざまな事情が重なってこみいっている様子を表す際に使われます。「紆余」と「曲折」という2つの熟語から成り立っており、どちらも「曲がる」を意味する言葉です。漢字の成り立ちを知ると、「紆余曲折」の意味をより深く理解できるでしょう。ここでは、正しい意味などについて解説します。

意味は「たどり着くまでに手間取ったこと」
紆余曲折の意味は、「さまざまな事情から複雑な状態になり、結果に到達するまでに手間取ったこと」です。主に、夢や目標を達成するまでの過程について述べる場面などで多用されます。「紆余曲折」を用いれば、「大変な道のりを乗り越えてきた」というニュアンスを伝えられるでしょう。また、「紆余曲折」には真っ直ぐではない様子という意味もあり、曲がりくねっている道や川に対しても使われます。参考として、辞書での説明も確認してみましょう。
【紆余曲折:うよきょくせつ】
[名](スル)
1. 道などが曲がりくねっていること。「谷から谷へ紆余曲折している道」
2. 物事が順調に運ばないで、こみいった経過をたどること。「紆余曲折を経てやっと解決する」
(引用:小学館『デジタル大辞泉』より)
「曲がる」を表す熟語を組み合わせた言葉
「紆余曲折」を分解すると、2つの熟語を組み合わせた言葉であることがわかります。「紆余」「曲折」には、それぞれ以下のような意味があります。
・紆余:うねり曲がること、ゆとりがあってのびのびしていること
・曲折:曲がりくねっていること、状態が変化すること、移り変わり、物事のこみいった事情
言葉の成り立ちは曲がっている様子
「紆余曲折」は、「曲がる」というニュアンスの言葉を組み合わせることで、曲がっている状態がより強調された表現です。物理的に曲がっている様子を表すことから、転じて物事の事情がこみいっているという意味も含むようになったとされています。

【実際のエピソード】「紆余曲折」に関する体験談
「紆余曲折」という言葉に関する体験談には、どのようなものがあるのでしょうか? ビジネスシーンにおいて、何か気づきや学びを得たという方のエピソードを紹介していきます。
【episode1】協力者への深い感謝を伝えられる表現
Bさん(一般職、30)
若手時代、私が担当した大規模なシステム導入プロジェクトが数々のトラブルを乗り越えてようやく完了しました。最終報告会で上司が挨拶をした際に「このプロジェクトは、様々な意見の対立や技術的な課題があり、紆余曲折を経ました。しかし、本日ここに無事に完了報告ができるのは、ひとえに皆さんの尽力のおかげです」と話しました。私は、ただ「大変でした」と言うよりも「紆余曲折」という言葉を使うことで、困難な道のりの重みと、協力者への深い感謝を同時に伝えることができるのだと学びました。この使い方は、目標達成後の公式な場面で今も私自身が多用しています。
【episode2】完了した物事に対して使用すべき表現
Aさん(管理職、38)
若手の頃、進捗が遅れていた案件について上司に相談した際、「実は、企画の段階から紆余曲折がありまして、スケジュールが押しています」と報告してしまいました。すると上司に「『紆余曲折』は、物事の経過を振り返って総括する際に使う言葉だ。今進行中の遅延を表現するなら、『難航しています』や『調整に手間取っています』を使いなさい」と指摘されたのです。この失敗から、「紆余曲折」は、過去の複雑な経過を総括する言葉であり、現在の具体的な困難を伝える際には、より現状に適した言葉を選ぶべきだと学びました。
【例文付き】「紆余曲折」の使い方
人生やビジネスシーンなど、「紆余曲折」の使い方を例文で確認してみましょう。
例文
・さまざまなアクシデントに見舞われ、紆余曲折の会社人生でした。
・母は紆余曲折の人生を歩んでいましたが、最近は自分らしく毎日を過ごしています。
「紆余曲折」は、人生について述べる際に使われることが多いです。自身の人生を振り返る際はもちろん、故人を送る言葉としても用いられます。
例文
・ここまで紆余曲折ございましたが、なんとか結果を残すことができました。
・紆余曲折ありましたが、お陰様で困難を乗り越えられました。
ビジネスシーンなどでは、周囲に感謝を伝える場面で「紆余曲折」を使うことがあります。その際は、後ろに丁寧語や謙譲語を加えるのが基本です。
例文
・さまざまなトラブルが発生しましたが、紆余曲折を経てプロジェクトは成功しました。
・紆余曲折の末、ついに成し遂げられました。
「紆余曲折」は、アクシデントやトラブルを乗り越えて結末にたどり着いた際にも用いられます。困難に見舞われている途中ではなく、一段落ついたタイミングで使うのが一般的です。

「紆余曲折」は誤用に注意
「紆余曲折」のよくある誤用として、『羽陽曲折(うようきょくせつ)』『紆曲曲折(うきょくきょくせつ)』の2つが挙げられます。漢字や読み方の響きが似ていますが、どちらも造語であり、正しい四字熟語として存在するものではありません。仕事上のメールなどで誤って使わないよう、誤用表現についてきちんと理解しておきましょう。
「羽陽曲折」
羽陽曲折は、紆余曲折の読み方を「うようきょくせつ」と間違えたことから生まれた誤用と考えられます。また、キーボードで「うようきょくせつ」と誤って入力した際に羽陽曲折と変換される可能性があり、これも誤用が広まっている理由だと推測できます。羽陽は人名やお酒の名前、地域の名称などに使われることはあるものの、四字熟語には用いられません。


