「後のまつり」の意味や読み⽅とは?
「後のまつり」という表現の使い方や類語などを詳しく学ぶ前に、まずは意味や読み方などの基本を押さえておきましょう。
■「後のまつり」の意味
「後のまつり」は、間に合わず手遅れであること、後悔してもすでに手遅れであることを意味する言葉です。「後」は「うしろ(後ろ)」ではなく「あと」と読み、「後のまつり」で「あとのまつり」と読みます。
また、「後のまつり」は、単に後に行われるお祭りを指すこともありますが、この記事では、間に合わず手遅れであること、後悔しても既に手遅れなことを意味する「後のまつり」について解説していきます。
■「後のまつり」の語源・由来
「後のまつり」という言葉には、どのような由来があるのでしょうか。「後のまつり」には、三大祭りの一つ、祇園祭(ぎおんまつり)が起源であるという説があります。
祇園祭は7月に京都で行われるお祭で、もともとは祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)といい、疫病の除去を目的とした神事です。祇園祭の行事は1か月に渡り執り行われますが、一番のハイライトは、見物客が多く訪れる前祭(さきまつり)の山鉾巡行(やまぼこじゅんこう)です。この華やかな山鉾巡行の後日行われるのが、後祭(あとまつり)です。
先ほど「後に行われるお祭りを指すこともあります」と説明したところですが、「後のまつり」という言葉は、この祇園祭の前祭の後に行われる後祭が由来とされています。
山鉾巡行が行われ、多くの人が見物する賑やかな前祭と比べると、後祭は、今更見に行っても仕方がない、見に行っても意味がないということから、「後のまつり」が、間に合わず手遅れなことを指すようになったという見方です。
また、「後のまつり」には、葬儀や法要が語源であるという説も。これは、亡くなった人に盛大な儀式を行っても手遅れであるということを意味しています。
後悔しても手遅れであるという意味で使われる「後のまつり」ですが、「後悔先に立たず」と、この「後のまつり」を混同し、「後悔後に立たず」と間違って使っている人がまれに見受けられます。使う際には混同しないようにしっかりと理解しておきましょう。
「後のまつり」の使い⽅を例⽂でチェック
「後のまつり」の読み方、意味、由来を理解したところで、実際に「後のまつり」をどのように使うのかを、例文を用いて解説します。
今更慌てふためいても「後のまつり」だ
朝起きて時計を見たら、既に予約した飛行機が出発した後。急いで出発準備をしたところで間に合うはずもありません。このように、間に合わず手遅れの時に「後のまつり」という言葉が使えます。
願書の受付期間は昨日で終了していた。今更悔やんだところで「後のまつり」だ
試験の申込期日を勘違いして受付期間が過ぎてしまった場合は、悔やんだところで仕方がありません。このように、後悔しても手遅れな場合も、「後のまつり」で表現できます。
今更自分の軽はずみな行動を反省したところで、「後のまつり」だ
問題が起こってから、その原因となる自分の軽はずみな行動を反省したところで、時既に遅し、手遅れであるという意味で、「後のまつり」が使われます。
「後のまつり」の類語や⾔い換え表現は?
「後のまつり」の類語や言い換え表現についても、チェックしておきましょう。
覆水盆に返らず
「覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず)」は、覆水(こぼれた水)は元の盆に返らないということから、「起こってしまったことは元には戻らない」という意味があります。特に、一度離縁した夫婦の仲は元には戻らないことのたとえとして使われる故事成語です。