スーパーで入手できるもので手軽に台湾の味を
台湾に行けない想いを埋め合わせるように日々ひたすら台所に立っていたことが、台湾朝ごはん屋を始めるきっかけとなりました。
そして料理をする中で感じたことは、台湾のごはんは身近に入手できるもので手軽に再現できるということ。
今回はその中から実践しやすく、献立のレパートリーも広がる3つの味つけをご紹介します。
1_醤油×砂糖
魯肉飯 (ルーローファン) や肉燥麺 (肉そぼろ麺) などの肉トッピングの味つけのベースになっているのが「醤油と砂糖」。台湾独特の旨甘テイストに仕上げるコツは、醤油と砂糖の割合を同量にし肉をしっかりと煮詰めること。さらにコクを出したいときは、砂糖を黒糖にしたり少量の蜂蜜を加えるのもアリ。ヘルシー志向の人はきび砂糖や甜菜糖を使ってみても。個人的に醤油はとろり濃厚なたまり醤油がおすすめ。また、肉を入れる前に生姜やニンニクなどの薬味をごま油で炒めたり、肉に火が通ったあたりで八角や五香粉を加えるなどのアレンジでいくつかの味つけパターンを楽しめます。
2_干し海老
ザ・台湾風味を醸し出す材料として欠かせないのが「干し海老」。大根餅、豆乳スープ、キャベツ炒め、ちまきなども、干し海老なしでは香ばしさや旨味がちょっぴり物足りなく感じます。また干し海老は焼ビーフンや餃子の具材としてニンニク・キャベツ・椎茸・豚肉と一緒に使われることも多いゴールデンコンビネーション。乾煎りしたり、ごま油と一緒に炒めて香り出しをしたり、出汁をとったり、干し海老の使い方はさまざま。スーパーの中華食材コーナーでも手に入りますが、たくさん使うようになったら信頼できるオンラインショップや中華街で購入するほうがお得です。
3_五香粉
ザ・台湾テイストを語る上で欠かせないものに「八角 (スターアニス)」があります。台湾のコンビニでひと際独特な香りを放つアレ、といえばわかる人も多いかもしれません。そのパンチ力がゆえによく代用品として使われるのが「五香粉」。五香粉は、八角 (スターアニス)、 肉桂 (シナモン)、花椒 (ホアジャオ)、丁香 (クローブ)、陳皮 (チンピ)、小茴香 (ウイキョウ) などのスパイスを5種類 (またそれ以上) ブレンドした混合香辛料で、臭み消しや香りづけに使われます。魯肉飯、肉そぼろ、台湾風豚の角煮など醤油ベースの肉に使われたり、コンビニでよく見かける電気鍋に入った煮卵 (茶葉蛋) や牛肉麺、唐揚げの下味に使われたりと、これには使えませんというものはないくらいいろんなものに使うことができます。
スーパーのスパイスコーナーに小瓶で置いてあるので、お肉を買うことがあればぜひご一緒に。市販のものはメーカーによって使用するスパイスや配合の割合も異なるので、使う機会が増えたら食べ比べをするのも楽しいし、自分でつくってみるのも実験のようでおもしろい! 唐辛子と一緒にオイルに漬ければオリジナルのラー油にも。
▲ 以前ランチで出した坦々麺。トッピングの肉そぼろには五香粉を使いました。
家でごはんをつくる機会が多い今、献立を考えるのが大変なこともありますよね。そんなときには、普段のレシピにひと味異国テイストを加えて気分転換するのもおすすめです。
【続】
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ライター・家庭薬膳アドバイザー・中医薬膳師
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経てライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。毎週水曜日の朝限定で、東京都目黒区にあるコーヒーとクラフトビールの店 – WR. にて台湾朝ごはんを提供中。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。@chiyuki_arita_official