寒いからといって、湯の温度が高すぎるのは逆効果です。温まった気分にはなるかもしれませんが、汗をかいてしまうと毛穴から「気」が漏れ、かえって冷えを促進してしまいます。また、湯上がりに皮膚を乾燥させてしまう問題もあります。
入浴剤を入れる人もいるでしょう。お勧めは「米のとぎ汁」です。意外かもしれませんが、特に冬は体の乾燥も防げます。香りをつけたい場合は、そこにみかんの皮を入れてみてはどうでしょうか。みかんの皮は「陳皮(ちんぴ)」といって、漢方薬の構成生薬として使われています。
このほか、塩と数滴のアロマオイルを湯に入れるのもお勧めです。アロマオイルはお好きな香りでかまいません。診療所に来る方には桃の葉をお勧めしています。桃の葉も生薬の1つで、赤ちゃんのあせもなどにもよいですが、大人でも乾燥を防ぐことができます。
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ストレスや寝不足も内臓冷えに影響
ストレスや寝不足も内臓の冷えに影響します。
ストレスが蓄積すると自律神経が乱れます。自律神経には交感神経と副交感神経があり、胃腸は、リラックスモードのときに優位になる副交感神経が支配しています。ですので、自律神経のバランスが悪くなって交感神経が有意な状態が続くと、胃腸の働きが悪くなってしまうのです。
ストレスは、食べること以外で解消を。アロマセラピーやハーブティーなど香りでリラックスする、軽い運動やウォーキングで気分転換をするなど、です。もちろん、趣味に没頭するのもよいと思います。
寝不足は、寝ることでしか補えません。応急処置的に使う漢方薬もありますが、個人的にはあまり勧めていません。なぜなら、眠らないで活動するのは不自然だからです。
診療所に来られる患者さんの多くが睡眠不足を訴えますが、まず寝る時間をできるだけ11時前に設定し、そこから逆算して入浴や食事をしていきます。3日間連続で夜10時に寝てもらった患者さんは、不定愁訴の多くが解決されました。漢方では、夜は「日中に全身を巡っていた血が肝臓に戻って充電する時間」としています。充電する時間が足りなければ、十分な活動はできません。
最後にツボによる内臓の冷え解消法です。
うれしいことに、内臓の冷えにはダイレクトにお腹を温めるツボがあります。ここをカイロで温めたり(必ず下着の上から貼るなどして、低温やけどには気を付けること)、お灸を据えたりするといいでしょう。