迷ったときや公用文では見るが適切
見ると観るの使い分けに迷った際は、見るを使うのが適切です。「見る」は幅広い意味をもつため、観るの代わりに使っても問題ありません。どのようなシチュエーションでみているのか判断できないときや、どちらの表現が適しているか迷ったときは、見るを使って表すのが無難です。
また、公用文では観るではなく「見る」が用いられます。これは、見るは常用漢字ですが、観るは常用漢字ではないことが理由です。公用文や新聞では常用漢字を用いるというルールがあるため、見るが使われます。
見る・観る以外の「みる」と読む漢字3つ
見ると観る以外にも、以下のように「みる」と読む漢字があります。
1.視る
2.看る
3.診る
視るは調査を行う際などに使われる漢字です。看るは介抱や世話をするとき、診るは体の状態を調べるときなどに使われます。見るや観るとはまた違ったニュアンスを含むため、それぞれの意味を正しく理解しておきましょう。
ここでは、「みる」と読む3つの漢字の意味や使い方などを詳しく解説します。
視る
視るは、じっくりと注意深く見ることや、視線を注ぐことを表す言葉です。観ると意味合いが似ていますが、視るのほうがより細かく見ているニュアンスをもちます。それぞれの漢字を使った「観察」と「視察」を比べてみると、意味の違いをつかみやすいでしょう。
一点を集中的に見るときや、細かい部分まで注意深く視線を注ぐときには視るが適切です。そのほか、視るは「〜と考える」「〜とみなす」といったニュアンスも含みます。例えば、「敵視」や「重大視」などの表現があります。
視るの使い方を例文で確認しましょう。
・今回の件については、客観的に視て判断する必要があります。
・現状を視ることで、どれほど深刻な状況なのかを痛感した。
看る
看るは、目の前にあるものをしっかりと見ることや、見守る・見張るという意味をもちます。主に介抱するときや世話をするときに用いられる表現です。熟語では「看病」や「看護」、「看守」などに使われます。
ただし、現在は「みる」を看るで表すケースは少なくなっています。例えば「面倒を看る」は「面倒を見る」と表記されることが多いです。
看るの具体的な使い方は以下の例文を参考にしてください。
・体調不良の生徒を看る。
・病気の母親を自宅で看る。
診る
診るの意味は、病気や身体の状態などを調べることです。診は「言う」と「密度が高いこと」を表す象形から成り立っており、ここから「病をもつ人をよくみる」という意味の漢字となりました。主に医療の場で限定的に使われる表現で、例えば医者が診察を行う際などに用いられます。
診るを使った例文をいくつかご紹介します。
・患者の脈を診ることから始める。
・ケガの経過を医者に診てもらう。
見る・観る……さまざまな「みる」を使い分けよう
見ると観るは意識の向き方に違いがあり、前者は受動的にみること、後者は能動的にみることです。使い分けに迷ったときは、より幅広い意味をもつ見るを使うといいでしょう。
そのほか、視る・看る・診るも「みる」と読む漢字です。それぞれ異なるニュアンスをもち、例えば診るは医療の場で限定的に使われます。さまざまな「みる」の違いを理解して、適切に使い分けましょう。
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