原料を確保しやすい
「楮」は、栽培がしやすいのも特徴で、日本全国でつくられています。収穫量も多いため、和紙の原料として最も多く使われているのです。
長持ちする
「楮和紙」に限ったことではありませんが、和紙は通常の紙と比べて長持ちしやすいのが特徴です。時間が経つほどに、水分がなくなり丈夫になるため、100年も200年も持つと言われています。ちなみに、奈良県の正倉院では、約1200年前の和紙が現在もそのまま残っているのだとか。
「楮和紙」の作り方
続いて、「楮和紙」の作り方を簡単に紹介します。工程の初めは、「楮和紙」に使う白皮をとるところから。その白皮を煮て、不純物を除去。煮た皮は、水洗いをし、木々がこすれあってできた傷や、細かなちりを、数日かけて丁寧に取り除いていきます。ここは手作業になりますが、美しい和紙に仕上げるためには欠かせない作業です。
その後、繊維をほぐしたら、粘土のある「ねり」といわれる液とともに、水に入れます。この「ねり」は、繊維同士をつなぐもの。じっくり混ぜ合わせながら、材料をなじませていきます。これが終わると、ようやく紙を漉く作業に。その後、長い時間をかけてゆっくりと乾燥させたら、「楮和紙」の完成です。
「楮和紙」を使った物にはどのようなものがある?
障子などの身近なものから、木版の版画用紙、日本画制作に用いられる支持体や裏打ち紙まで、さまざまな場所で使われている「楮和紙」。ここでは、「楮和紙」を使った物をいくつかピックアップして紹介します。
書道用の紙
書道で使われる半紙として一番ポピュラーなのが「楮和紙」です。小学生の頃などに書道で使っていた紙が、「楮」からつくられていたとは驚きですね。
障子
和室の減少にともない、現在ではあまり見られなくなりましたが、障子にも「楮和紙」が使われています。ちなみに、「楮」の含有率によってレベルが異なり、「楮」の割合が高いほど、高品質で高級とされているようです。
帳簿
日本では昔から重宝されてきた「楮和紙」。江戸時代では、「大福帳」と呼ばれる、日々の勘定を記入する帳簿にも使用されていたようです。
最後に
和紙の原料であり、実はとても身近な植物「楮」。書道の紙や障子など、日本人なら一度は触れたことがあるのは驚きでしたね。「楮和紙」を作るには長い時間がかかりますが、だからこそ美しく、長持ちする和紙ができます。和紙を見る機会は減っていますが、これからも日本の伝統文化ともいえる「楮和紙」を大切にしていきたいですね。
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