「マナーを守りなさい」と電車の中で、大きな声で言い争っている。客観的に見ると、どちらも「五十歩百歩」だ
マナーについて話しているうちに、つい熱くなってしまい、本当のマナーは何かをすっかり忘れてしまっている状態を表しています。マナーを守れと言っている人も、結局マナーを守れていないことに…。残念ながら、この場合も「五十歩百歩」です。
彼と成績を比べて優越感に浸っていたが、学年全体から見れば「五十歩百歩」だった
特定の人と比べて勝っていると安心していても、全体でみると平均的だったというのはよくあること。平均点を取っているという点で「五十歩百歩」だということを表した一文です。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
それでは、「五十歩百歩」と同じような意味を持つ類語や、言い換え表現についてはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
どんぐりの背比べ
どんぐりは同じような大きさなのに、その長さを比べても大きな差はないし、そもそも比べても仕方がない、という意味です。「五十歩百歩」と同じように使われます。
例文:同期のあいつとは営業成績では「どんぐりの背比べ」だ
目糞鼻糞を笑う
汚いという点では目糞も鼻糞も変わらないのに、目糞が鼻糞を汚いと笑っている、という意味です。自分の欠点を気づかずに、相手の欠点を責めるという意味を含んでいます。
例文:普段から評判の悪いあの2人は、お互いに悪口を言いふらしているけど、どちらも「目糞鼻糞を笑う」だ
大同小異
よく似た意味で使われる四字熟語には、「大同小異」があります。「大同」はほぼ同じであるという意味で、「小異」は少しの違いという意味を持っています。2つの文字が合わさって、「ほぼ同じだけど少し違う」という意味に。
例文:最近の電気製品は性能が良くなり、どこのメーカーの製品も「大同小異」だ
「五十歩百歩」の英語表現は?
次に「五十歩百歩」の英語の表現について事例を使って見ていきましょう。
slight difference
「違う」という「difference」という単語に、「わずかに」という意味を持つ「slight」という単語を合わせることにより、ほんのわずかの違い/大して違わない、という意味になります。
例文:There are only slight difference in design of any glasses you ever find.
(どの眼鏡を見ても、デザインはほぼ同じだ)
nearly the same
こちらは、「同じ」という意味の「same」という単語に、「ほぼ」という意味を持つ「nearly」という単語を合わせることで、ほぼ同じ。つまり大して違いはないと意味になります。
例文:His opinion and her opinion are nearly the same.
(彼の意見も、彼女の意見もほぼ同じようなものだ)
最後に
「五十歩百歩」という言葉の意味や類語、英語表現は理解できましたか? 人は自分本位の考え方や、固執した考え方の渦中にいると視野が狭くなり、自分自身が「五十歩百歩」であることになかなか気づかないもの。常に視野を広く、視座を高くして自分を客観的に俯瞰してみることは大切です。自分の人生が「五十歩百歩」にならず、自分らしく生きるように心がけていきたいところです。
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