「願ったり叶ったり」の読み方と意味は?
まず、「願ったり叶ったり」の読み方と意味から見てみましょう。皆さんはどんなシーンで使ったことがありますか?
■読み方と意味
「願ったり叶ったり」は「ねがったりかなったり」と読みます。意味を辞書で調べてみると、
希望と一致すること。すっかり願い通りになること。(<小学館デジタル大辞泉>より)
1つの言葉に「願ったり」と「叶ったり」の「たり」で終わる2つの言葉が重ねられています。この「たり」は、文法的には「完了」を意味する助動詞。よく似た言葉づかいで「踏んだり蹴ったり」「上がったり下りたり」などがあります。同じ「たり」でも、実は少し使い方が違うので、説明します。
「踏んだり蹴ったり」「上がったり下りたり」の「たり」は、動詞や同じ状態を並列して並べたもの。一方、「願ったり叶ったり」の「たり」は、文法上の解釈をすると「願うことが完了すると、叶うことが完了した」となります。言葉の重なり方は似ていますが、少しニュアンスが異なることを知っておくと、使いやすくなります。
ビジネスシーンで「願ったり叶ったり」を使うとすれば、ややくだけた表現に。「ありがとうございます」の代わりに、自分の気持ちや感情を表わしたい時に使うといいでしょう。ただし、馴れ馴れしく、失礼な印象を与えないように。場面を選んで使うと、自分の気持ちがダイレクトに伝えることができます。うれしい気持ちを言い換える言葉として、覚えておくとよいかも。
使い⽅を例⽂でチェック
「願ったり叶ったり」は、どのように使うことができるでしょう。例文でチェックします。
1: この物件は、駅から近くて近所にコンビニもあるので、「願ったり叶ったり」の好条件だ。
引越しのために家を探している時、物件が自分の希望と一致していて、好都合で便利な様子が伝わる例文。「願ったり叶ったり」は、自分にとって、うれしいこと、良いことに使う言葉です。都合が悪い、嫌な気持ちがすることには使いません。
2:転職先の会社では給料も上がって、残業もないので「願ったり叶ったり」。
物事が思った以上にうまくいった様子です。すっかり願い通りになることで、こちらの期待を十分に満たし、それ以上の時に使える言葉です。
3:先方は「願ったり叶ったり」だと言っているので、この話を受けてみたらどうですか?
主語を自分以外の人にして、他人の気持ちを代弁する時は、伝聞の形で使うと、思いが伝わりやすくなります。例えば、取引先がOKしたことを社内で報告して、ぜひとも話を進めたい時などに、使えるかもしれません。
類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「願ったり叶ったり」の類語や言い換え表現について、一緒に見てみましょう。
渡りに船
自分の願いが叶うという点で、共通したニュアンスのある言葉が「渡りに船」。「渡りに船」は、願っていたことが起きる「タイミングの良さ」を強調しています。「願ったり叶ったり」は、願っていたことに対する自分の「喜びの度合いや程度」を強調している点が少し違います。「良い企画が思いつかないので、渡りに船とばかりに、彼の提案にのった」のように使います。
誂え向き
「誂え向き」は、状況や環境などが希望にぴったり合っていること。「お誂え向き(おあつらえむき)」という言い方も。良い意味で使います。注文して作ることを「誂え」と言います。「向き」は向いている方向や、物事に適っていることを示すので、注文したように希望にピッタリで、それ以上に合うものは他にないことです。