快楽にふける「享楽」
「享楽」は「楽しさや快楽を思いのままに味わうこと」を表す言葉で、「享楽にふける」といった使い方をします。「享楽する」という使い方もしますが、「享受」のように物品や利益を受け取るのではなく、楽しさや快楽を受け取ったり、恩恵を思う存分楽しむという意味合いが強いといえるでしょう。
「享楽的」「享楽主義」などのように、行動や価値観を説明する言葉として用いることもあります。
【例文】
●いつまでもゲームをして享楽にふけっていないで、そろそろ勉強しなさい
●彼のような享楽的な生活をしていては、いくら給料をもらっても足りないだろう
●彼女は享楽主義なので、どんな場所に旅行しても思う存分楽しめる才能がある
利益を受ける「受益」
「受益」は、「利益を受ける」という意味の言葉です。行政用語や信託用語として使われることが多く、特別な利益を受け取る人を「受益者」といったり、受益する権利を表示した証券を「受益証券」と呼んだりします。日常的にはあまり使わない言葉かもしれませんが、意味を理解しておくと法令文書や金融関連の契約書などを読むときに役立つでしょう。
【例文】
●信託財産から生じた利益は、受益者に受け取る権利がある
●受益と負担のバランスが悪化した原因としては、さまざまなことが考えられる
「享受」の対義語は?
「享受」の対義語には、「差し出す」や「与える」という意味の「提供」「供与」「供給」などが挙げられます。それぞれ、具体的な意味や例文を見ていきましょう。
相手に差し出す「提供」
「提供」は「相手の役に立つように差し出す」ことを意味する言葉です。差し出すのは、目に見えるものだけでなくスキルやノウハウといった能力・技術や、場所なども含まれます。また、テレビ番組のスポンサーとなって番組を公開することも「提供」といいます。いずれにしてもただ与えるだけでなく、与えたものによって相手が何かしらの利益を得るときに使う言葉です。
【例文】
●店舗を出したい企業に、この土地を提供します
●御社のノウハウを提供していただいたおかげで、新たな技術開発に着手できそうです
提供し与える「供与」
「供与」には「相手から求められたものを提供し与える」という意味があります。基本的に、相手のプラスになったり便宜を図るために、物品や利益そのものを与えるときに使います。法令用語や時事関連のニュースなどでも、見かけることが多いかもしれません。
【例文】
●会社が株主などに財産上の利益を不正に提供することを、利益供与といいます
必要に応じて与える「供給」
「供給」には2つの意味があります。1つは、「必要としている人や場所に対して物品を与えること」です。「ガスの供給」や「被災者に物資を供給する」などのような使い方をします。もう1つは、「販売を目的として市場に商品を出すこと」。市場に出す商品数を意味する場合もあります。「需要と供給のバランスが取れている」などが使い方の一例です。
【例文】
●今年の夏は猛暑だったので、電気の供給量が昨年を上回った
●物価の上昇とともに需要が下がっているため、供給も伸び悩んでいる
「享受」の英語表現
日本語における、「享受」と同じような意味合いを持つ単語を2つ紹介します。
relish
「relish」は、「〜を楽しむ」「味わう」「享受する」などの意味があります。食べ物を美味しく食べるという意味のほか、状況や行動を楽しむ・享受するという場合にも使われる単語です。経験の中で楽しめることを受け取る、といったニュアンスで用いることができますね。
enjoy
「enjoy」は、「〜を面白く味わう」「享受する」などの意味があります。恵まれた環境や特権、利益などを受け取る時に使われるので使用範囲が広いですね。
最後に
「享受」とは、「自分の意思で受け入れて楽しむこと」。丁寧に伝える時には、「享受いたします」と表現してみてください。類語の「拝受」や英語表現なども合わせて覚えて、ビジネスシーンで活用してみてはいかがでしょうか?
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