自分では気づかなかったが、彼を怒らせたのは「虎の尾を踏んで」しまっていたからかもしれない。
人は知らぬ間に、とんでもないリスクを背負ってしまっていることがあるのかもしれません。それは対人関係でも然り。大目玉を食らうまで、周りの人は冷や冷やしながら見ていた可能性も。
「虎の尾を踏む」類語や似たことわざは?
「虎の尾を踏む」のほかにも、危険なことをするという意味のことわざは沢山あります。なかでも「清水の舞台から飛び降りる」は有名なことわざではないでしょうか。それ以外の類語や似たことわざについて一緒に見ていきましょう。
薄氷を履むが如し
「薄氷を履むが如し(はくひょうをふむがごとし)」とは、薄く張った氷の上を歩くように、非常に危険なことをするという意味のことわざです。
例文:断崖絶壁の登山で身体の幅しかないような場所を通り抜けるのは、命を落としかねない行為。まさに薄氷を履むが如しです。
氷に座す
池に張った氷の上に座ったら、体温によって氷が溶けて下に落ちてしまいます。「氷に座す(こおりにざす)」は、非常に危険な状態や地位にいることを表しています。
例文:わたしの仕事は常に危険と隣り合わせで、いつも氷に座す気分で仕事をしています。
危うきこと累卵の如し
「危うきこと累卵の如し(あやうきことるいらんのごとし)」とは、きわめて不安定で危険な状態のたとえ。累卵は積み重ねた卵のことで、いつくずれるかわからないという意味です。
例文:あの古いビルはいまにも崩壊しそうで、危うきこと累卵の如しだ。
知っておくと面白い「虎の尾を踏む」英語表現とは?
最後に、「虎の尾を踏む」を英語ではどのように表現するのかご紹介します。
to step on a tiger’s tail
「虎の尾を踏む」を英語で直訳するとこうなります。
to rest on an inverted pyramid
直訳すると「さかさまになったピラミッドの上で休む」という意味です。危険極まりのない状態であることが伝わります。
to take a great risk
大きなリスク(great risk)を取るという意味です。虎に噛まれる可能性があるというのは、かなり大きなリスクなのです。
ズバリ今、虎は尾を踏まれている!?
「虎の尾を踏む」という言葉には度胸試しの要素も含まれ、武勇伝として語られることも多かったのでしょう。それゆえか、他にもたくさんの似たことわざがあります。
ところで、昔から日本に野生の虎は生息していないにもかかわらず、とても身近に感じる動物なのは不思議です。ネコ科の一種だからでしょうか。実は悲しいことに、虎は近年絶滅危惧種となっているそうです。人間による密猟と乱獲が原因だといわれています。
これほど遠くて近い存在である虎が絶滅の危機に瀕しているなんて、まさに「虎の尾を踏む」ような状況だと思いませんか? 今後、ほんとうに虎が地球から居なくなったら、このことわざの意味も薄れていくのでしょうか。
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