工藤孝文先生に聞く!なぜ、おにぎりを冷たいまま食べるといいの⁉︎
温かいご飯も冷たいご飯も「糖質」なのに、冷たいおにぎりのほうがダイエット効果が期待できるのはなぜでしょうか?「ご飯の主成分であるでんぷんは、冷えることで『レジスタントスターチ』(難消化性でんぷん)に変化します。このレジスタントスターチ、実は最近のダイエット界で大きな注目を集めているのです」(工藤孝文先生 以下同)
冷や飯に含まれるレジスタントスターチが「食物繊維」と同じ働きをしてくれる
「仕組みとしては、食材(ご飯)に含まれるでんぷんが加熱後に冷まされることで再結晶し、消化されにくくなります。すると小腸で消化・吸収されにくくなり、大腸まで届き、ひいては善玉菌を増やす効果をもたらします。食物繊維と同様の働きをすることで、便通がよくなる、血糖値の上昇抑制、脂肪減少につながるんです」レジスタントスターチが食物繊維と同じ働きをするため、冷や飯を食べることで野菜と同じような食物繊維を摂取することができるということ。普段の食事で不足しがちな食物繊維を冷や飯で摂取できるなんて驚きですね。
〝冷や飯〟で腸内環境を整える
「レジスタントスターチを多く含むのは白米などの炭水化物やジャガイモ、サツマイモなどのイモ類、インゲン豆や小豆などの豆類です。一度加熱したものを冷やすことで生じる物質なので、たとえば、お弁当の白米をあえて温めずに食べることでも摂取できます。冒頭に伝えたようにコンビニおにぎりも手軽に取れていい食材です。最近は低糖質ブームとあって、多くの方が〝糖質少なめ〟を意識されているように感じます。ただ、私は偏った糖質制限には反対です。特に炭水化物にはこのような特性もあるため、逆にしっかり摂って、腸内環境の悪化を防いでいただきたいと考えています」
冷や飯は、温かいご飯よりも噛む回数が多くなるため、満腹中枢が刺激されて満腹感を得やすくなるとも言われています。そのため、温かいご飯と比べて、少量でも満足できるそう。また、冷や飯に含まれるレジスタントスターチは消化されにくいため、腹もちがよく、ダイエットに適しているんだとか。〝ご飯はダイエットの敵〟と思い込んでいた方も、このレジスタントスターチに注目して、〝冷や飯〟を食生活に取り入れてみてください。
内科医/糖尿病内科医・東洋医学医
工藤孝文
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック みやま市工藤内科で診療を行いつつ、全国で血糖値と肥満の関連についてなど生活習慣病の講演会などを行っている。専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。