間違った腸活や糖質制限が日本人の腸内環境を悪化させる!?
正月太りをリセットするためには、腸内環境を整えることがとても大切。しかし、間違った腸活や安易な糖質制限が日本人の腸内環境を悪化させているそう。そこで今回は、食物繊維のスペシャリスト、大妻大学教授青江誠一郎先生に、その理由と、先生がおすすめする日本人に適した腸活方法を教えていただきます。
糖質制限で腸内環境が悪化するのはなぜ?
ダイエット方法として一時、ブームになった糖質制限ですが、やりすぎると腸内環境を悪化させてしまう可能性も!「糖質を制限すると、ご飯の代わりに肉料理を多く食べるなど、高タンパク・高脂肪食に偏る傾向にあります。しかし、高タンパク・高脂質食は腸内環境を悪化させることがわかっています」(青江先生 以下同)糖質制限で肥満を改善しようとしているのに、なかなか痩せられないのは腸内環境が悪化しているからかもしれません。
腸活のために発酵食品を摂取している方も多いと思いますが、発酵食品の摂り方にもポイントがあるようです。「腸内環境をよい状態に保つためには、『腸内細菌を育てるための食事』をすることが重要。そのために必要なのが『穀物』『根菜』『海藻』『豆(穀類)』です」
日本人に適した最強の腸活めしは、4大発酵性食物繊維の混ぜご飯
「日本人は古代から穀物で食物繊維を摂ってきました。そのため、もち麦や雑穀を混ぜたご飯に、根菜、海藻、豆を加えた4つの食材でつくる混ぜご飯が、もっとも日本人に適した食事法と言えます」主食の一部を、食物繊維が豊富なもち麦や雑穀に置き換えて、トッピングのように「根菜」「海藻」「豆」を少しずつ足していくとよいそうです。
腸活「混ぜご飯」は、糖質選びがポイント
混ぜご飯に使用する「主食」の糖質選びも重要に!「白米にもち麦などの麦や雑穀を混ぜた、雑穀米にすることがポイント。白米を庶民が食べ始めたのは、明治時代と言われており、昔から日本人が食べていたのは雑穀米でした。そのことからも、雑穀米は日本人の腸内環境に合った食べものと言えます」
・大麦:はくばく調べ
・その他:日本食品成分表2015年版(七訂)より
「また、水溶性食物繊維と糖質が混在している、もち麦などの穀物を摂ることで、糖質の吸収を抑え、食後の高血圧を防ぐこともできます。玄米ご飯を白米に混ぜる方も多いと思いますが、水溶性食物繊維が豊富なもち麦も加えると、より効果的です」
腸内細菌は多様性が重要。そのための栄養源も多様な食材から
「腸活では、腸内細菌を善玉菌、悪玉菌に区別していますが、腸内細菌は多様性が重要。ともに助けあって生きているため、種類が多いほどサポート力が高くなります。たとえば、腸内細菌の種類が多いと、もしも抗生物質の服用などでひとつの種類がいなくなってしまっても、同じ働きをする菌がいれば問題ありません。このように、腸内細菌の種類が多いほど、腸内環境が整い健康に寄与してくれるのです。それぞれの菌は、栄養にしている食材も違ってきます。ですから、菌の多様性のためにも、栄養源となる食材も種類が多いほうがベター。そのため、4種類の食材を混ぜた『混ぜご飯』がおすすめです」
手軽につくれる「腸活混ぜご飯」レシピ
ヒジキ煮ときんぴらごぼうの混ぜご飯
白米にもち米を混ぜた雑穀米に、ヒジキ煮ときんぴらごぼうを混ぜるだけ! 混ぜる具材は、スーパーで買ったお惣菜を使ってもOK。もち麦も湯がいて冷凍しておけば、 必要な分だけ解凍して使えるので便利です。
韓国風納豆巻き
雑穀米の上に納豆とたくわんを乗せて、韓国海苔で巻けば完成。たくわんが食感にアクセントを効かせてくれますよ。
ダイエットにかかせない食物繊維は、ひとつの食材から摂るよりも、いろいろな食材から摂るほうが効果的なんですね。そして、納豆や海苔など、日本人が昔から食べていた身近な食材を積極的に摂ることで、腸内環境が整うということがわかりました!
大妻女子大学 教授
青江誠一郎
大妻女子大学 家政学部 食物学科 食物学専 教授。農学博士(千葉大学)。日本食物繊維学会常務理事。2010年、大麦の食物繊維とメタボリックシンドローム予防に関する研究で同学会賞を受賞。食物繊維のスペシャリストとして、わかりやすい解説が好評、多くのマスコミ等で活躍。