おすすめの対応方法
有給休暇の理由を聞かれた際、詳しく説明する義務はありません。有給休暇中の過ごし方は、労働者の自由だからです。
しかし、「理由は言いません」と返すと、角が立つということもあるでしょう。また、残念ながら、旅行やレジャーのためにお休みを取ることに、抵抗があるという雰囲気の会社は、まだまだ少なくないようです。もちろん法律上は問題ないのですが、同僚から嫌な顔をされるという声も。
そういった職場では、「家庭の事情によりお休みします」などと、詳細はぼかしつつ説明するのがおすすめです。
もちろん、有給休暇を取る際、あまりに急に休むとなると、会社の業務に支障が出てしまうことも。事前に「この日に有給休暇を取りたいのですが」と相談しておくとスムーズです。同僚も同じ日に休みたいなど、様々な事情も考えられますので、期間に余裕を持っておいた方がよいでしょう。
また、有給休暇の理由を根掘り葉掘り聞かれるようなら、やんわりと質問で返すのも手。例えば、「できれば私生活の詳しいお話は避けたいのですが、詳細の説明が必要な理由を教えていただけますか?」などと、聞いてみるのもよいかもしれません。もし慶弔見舞金などの何らかの規定によって確認しているのであれば、説明してくれるでしょう。
ただ、これは相手によっては攻撃的に見られてしまいかねません。くれぐれも、喧嘩腰にならないように注意が必要です。
極端な例では、「有給休暇は、権利なのだから文句は言わせない」と強硬に出てしまう人も。しかし前述のように、会社側にも一定の権利があります。これは、「時季変更権」と呼ばれる権利で、会社が有給休暇の日にちを変更できる場合があるというのも、覚えておくとよいでしょう。
なお、この「時季変更権」を使える場合は、「事業の正常な運営を妨げる場合」とされており、かなり限られています。とはいえ、例えば、部署全員が同じ日に休んでしまうと、業務が回らなくなってしまいます。こういった事情がある場合は、「どうしてもその日に休まなければいけない人を、優先して休ませたい」という会社側の配慮があるかもしれません。
何かしら事情がある可能性も考えて、慎重に対応した方がトラブルは防げるでしょう。
最後に
この記事では、有給休暇を取る際、なぜ理由を聞かれるのか、聞かれた時の対応方法を解説しました。心も体も健康に、ゆとりある生活をするために重要な有給休暇。基本的なことを押さえておくと安心です。
塚原社会保険労務士事務所代表
塚原美彩(つかはら・みさ)
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。趣味は日本酒酒蔵巡り。
ライター所属:京都メディアライン
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