マターとは何?ビジネスでの意味もチェック
カタカナで表記する「マター」とは、何を示す言葉なのでしょうか。由来とあわせて、ビジネスシーンで使われるマターの意味を解説します。
英単語「matter」が由来の言葉
カタカナ語の「マター」は、英単語の「matter」に由来する言葉です。matterには名詞・動詞の意味があり、名詞の場合は物質・問題・事柄などを意味します。一方で、動詞のmatterは「重要である」「問題である」などと訳されます。
matterで表される問題や事柄は必ずしもトラブルとは限らず、たとえば「subject matter」と言えば「主題」を意味します。
ビジネスでは担当・管轄・責任の意味合い
日本のビジネスシーンで使われる「マター」は、担当・管轄・責任などを意味する言葉です。英単語のmatterとは意味が異なるので、使い方に注意しましょう。ビジネスシーンでは名称にマターをつけるのが一般的で、主に担当者を明確にする際に使われます。
特に注意したいのは、多くの場合マターという言葉には責任・決定権などの意味が含まれている点です。上司から「〇〇さんマターでよろしく」と言われた際には、単なる担当ではなく、該当の業務に対する責任を負うことを示していると考えてよいでしょう。
誰の責任なのかを問う際には、「このプロジェクトは誰マターですか?」などと使われるケースも。上司などから「誰マター?」と聞かれたときには、「〇〇さんマターです」と担当者の名前をつけるなどして答えます。
マターの使い方を例文で確認しよう
担当・管轄以外に、責任の意味合いも含むマターは、適切な場面で使うことが大切です。3つの例文を用いて、マターの適切な使い方を解説します。
「この案件は自分マターで進めます」
仕事の分担を決める際に「この案件は自分マターで進めます」という場合は、発言した人が該当の業務を担当することを意味しています。自分マターのほかに「私マター」といった一人称で表現するケースも少なくありません。
自分マターという言葉には、責任を持つとともに「自分の範囲なので口出しはしないでください」というニュアンスを含む場合がある点に注意が必要です。上司・先輩などが「私マターで進める」と言った案件に関わる場合は、念のため確認・報告を心がけると余計なトラブルを避けられるでしょう。
「こちらは営業部マターではありません」
個人名や一人称以外に、部署名といった組織にもマターが使われるケースがあります。上司から「この担当は営業部かな?」と質問された場合には、「こちらは営業部マターではありません」と否定することも可能です。
ただ、マターには責任の意味合いがあるので、多用すると責任逃れのような印象を持たれるリスクも考えられます。別の部署が担当だと説明する際には、シンプルに「こちらは経理部の担当です」と言い換える手もあります。
また、人によっては「マター」という言葉自体になじみがないことも考えられるため、相手に合わせる配慮も大切です。判断が難しい場合には、「相手がマターを使っているか」を基準にするとよいでしょう。
「政治マターなので慎重に扱ってください」
「政治マター」と言われた場合は、「政治に関する事柄」と置き換えると、発言の意味を理解しやすくなります。
ビジネスシーンで「政治マター」が使われる場合は、政治に関係する案件や、政治的な判断が必要な案件を指すのが一般的です。政治マターという表現からは、「個人や会社では判断できない内容なので扱いには注意するように」との意図も読み取れます。
マターを使う際の注意点
ビジネス用語であるマターはフォーマルな言葉ではないため、使う相手と場面が限られる点に注意が必要です。最後に、マターを使う前に知っておきたい注意点を解説します。
上司には役職名をつける
マターは基本的に、立場の近い同僚・後輩といったフランクな間柄で使う言葉といえます。とはいえ、上司を含めてマターを使っている組織では、上司に対して使用しても必ずしも失礼にあたるとは限りません。
事情があって上司にマターを使う際には、「田中部長マター」のように名前の後に役職名をつけると、失礼な印象を与えずに済むでしょう。
社外の人には使わない
前提として、マターは同じ会社や組織の社員・スタッフ同士で使うビジネス用語です。社員やスタッフの役割や責任を明確にするための言葉なので、社外の人に使うのは適切とはいえません。マターを含めたビジネス用語は、使い方を間違えると印象ダウンにつながる点に注意が必要です。
ビジネス用語のマターは、以下のような言葉に言い換えられます。
●担当
●案件
●預かる
社外の人に責任の所在を説明する際には「本件は営業部の○○が担当です」「この件については、弊社でお預かりします」というように、言い換え表現を活用するとよいでしょう。
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