ビジネスにおける申し送りとは?
ビジネス上での申し送りとは、何を指しているのでしょうか。定義と併せて、申し送りが求められる職種を紹介します。
前任者から後任者へ必要な情報を伝えること
ビジネスにおける申し送りは、前任者から後任者へ文書などで必要事項を伝えることです。申し送りの際に記載する情報を、「申し送り事項」と呼びます。
「申し送り」と聞くと、退職や異動をイメージする人は多いのではないでしょうか。しかし、退職・移動の際、後任者へ抱えている仕事や進み具合を伝えるのは「引き継ぎ」です。
一方で申し送りは、勤務時間が終わるタイミングで、次の人が仕事をする際に必要な情報を伝えることを意味します。日常的な伝達は「申し送り」、退職・移動の際に行うのは「引き継ぎ」と、場面を分けると理解しやすいでしょう。
申し送りが求められる職種
申し送りの必要性や頻度は、業務内容によっても異なります。主に、申し送りが求められる職種の例は、以下の通りです。
●看護職
●介護職
●警備職
人の命や安全に関係する看護職・介護職・警備職は、基本的に24時間体制で業務にあたります。とはいえ休まずに対応するのは不可能なので、日勤・夜勤などのシフトを決め、複数のスタッフが交代で仕事をします。
時間で区切られた交代制で働く場合、対応の途中に勤務が終了するのはよくある話です。そのため、次の人がスムーズに業務を引き継げるように申し送りをします。
そのほか、営業職でも配置換えの際などに、申し送りが求められるケースがあります。ただ、営業職の場合は、進捗状況や担当者に接する際の注意点といった、取引先に関する情報がメインです。看護職・介護職・警備職とは異なり、日常的に申し送りをするとは限りません。
申し送りをするメリット
会社が申し送りを求める背景には、何らかのメリットがあります。申し送りをするメリットを、二つの視点から確認しましょう。
情報を共有できる
申し送りをする大きなメリットは、大切な情報を社内やスタッフの間で共有できることです。スタッフ同士の情報共有は、業務を滞りなく進めるために重要です。
例えば看護職・介護職なら、患者や入居者から要望を受けたスタッフが急病で出勤できなかったり、対応前に退勤したりすることもあります。申し送りがないと要望を受けたことが伝わらず、患者や入居者が困ってしまうかもしれません。最悪の場合、命にかかわることも起こりえます。
申し送りで常に他のスタッフに情報を共有しておけば、そのスタッフの手が空いていなくとも、他のスタッフが代わりに適切な対応を取れるでしょう。
業務内容を明確にできる
取り組むべき業務の内容を把握しやすいのも、申し送りを作成するメリットといえます。
前任者が作成する申し送りには、伝達事項と併せて勤務時間に進めた業務などが記載されます。もちろん作業の途中で勤務が終了した場合も、申し送りに残すのが一般的です。
申し送りがあると、自分が担当するまでにどの程度まで作業が終わっているかを理解した上で、業務に入れます。必要なタスクが分かりやすく、限られた時間内で効率的に仕事を進められるのがポイントです。
申し送りの作成ポイントと注意点
実際に申し送りをする場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。分かりやすい申し送りを作成するポイントと、注意点を解説します。
項目ごとに伝える情報を整理する
申し送りを作成する際は、事前に伝えるべき内容を整理しておくことが大切です。職場に専用のテンプレートがある場合には、項目に沿って必要な情報を記入します。自分で作成しなければならない場合は、以下のように項目を分けるのも一つの方法です。
●日時
●記入者名
●業務内容
●所感
西暦で日付と勤務開始・終了時刻を記入し、その日に起きた出来事や進めた業務などを書きます。時系列で書くと伝わりにくいため、結論を先に伝えてから詳細を説明するのがポイントです。
「いつ」「どこで」「誰が」「どうした」の順で説明すると、後任者に状況が伝わりやすいでしょう。経験を積むほど伝えるべきポイントが明確になってくるため、先輩の申し送りを参考にして作成するのもおすすめです。
客観的な事実を伝える
申し送りには、スタッフ間で情報を共有する役割があるため、個人的な感情は含まないのが基本です。ただ、人を相手にする業種・職種において、経験からくる直感やアイデアは仕事の成果につながるケースもあります。
業務を円滑にするという視点で必要な情報だと感じた場合は、「所感」の項目で個人の感想・意見として伝えるのがポイントです。第三者が見て事実と分けて理解できるように、「私個人としては~」のように前置きをしてから記載する手もあります。
「申し送り」は社内用語という点に注意
「申し送り」は社内で使う用語なので、取引相手をはじめとした社外の人への伝達事項は「ご連絡」「ご報告」などと表現する点に注意が必要です。また、スタッフ同士の情報共有がメインの「申し送り」という表現を、上司に使うのも適切とはいえません。
とはいえ、職場によって使い方やルールは異なるため、上司を含めて「申し送り」と表現している場合はそれほど気にしなくてよいでしょう。職場の状況に合わせて、適切に「申し送り」という言葉を使うことが大切です。
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