そもそも雰囲気とは?
「素敵な雰囲気のお店だね」「あの人の雰囲気が好き」など、「雰囲気」という言葉は、会話の中で当たり前のように使われます。しかし改めて、「雰囲気ってなんだろう?」と考えると、すぐに答えが出ないかもしれません。そもそも「雰囲気」には、どのような意味があるのでしょうか? そこで本記事では、「雰囲気」の意味や使い方、類語、英語表現を解説します。
「雰囲気」の正しい読み方は、「ふんいき」。近年では、間違って「ふいんき」と言っている人も多くいるようです。
「雰囲気」の意味を具体的に辞書で確認してみましょう。
ふんい-き【雰囲気】
1 天体、特に地球をとりまく空気。大気。
2 その場やそこにいる人たちが自然に作り出している気分。また、ある人が周囲に感じさせる特別な気分。ムード。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
まずひとつ目は、「天体、地球をとりまく空気」です。日常生活で使われることがほとんどないので、初めて知ったという方も多いのでは? ふたつ目は、「場所や人が作り出している気分」のこと。街やお店に漂うムードや、その人がまとっている独特なオーラなどが挙げられます。「雰囲気」はあくまでも、その空間がまとっている空気のようなものなので、目には見えません。
自分がいる環境の温度や話し声、BGM、香り、表情などさまざまな情報をキャッチして、感じ取っているものが「雰囲気」と呼べるかもしれません。
使い方を例文でチェック!
「雰囲気」は、「人」が作り出すものと、「場所やもの」が作り出すものにたいてい分けられます。それぞれの使い方を例文で確認していきましょう。
1:週末は、彼女とおしゃれな雰囲気のカフェで食事をした
トレンドをキャッチしている美容室や、カフェ、洋服店などに行った際に、「おしゃれな雰囲気だね」と言ったりしますよね。お店の中の装飾やインテリア、照明のデザインなどが気に入ったとき、好意的な意味を込めて使うことが多いでしょう。
2:彼はとても優しい雰囲気で話しやすい
誰かの人柄を表す際にも、「雰囲気」は使われます。「優しい雰囲気」や「面白そうな雰囲気」、「気難しそうな雰囲気」など、人に与える印象はそれぞれ。第一印象で「この人とは気が合いそうだな」などと感じるのは、その人の表情や仕草、話し方、身振り手振りなどで判断しているからでしょう。
3:職場の雰囲気を壊す人がいて困っている
マイナスの意味として、「雰囲気を壊す」という表現も。和やかだった雰囲気が、誰かの言動で悪くなったときなどに使われます。
類語や言い換え表現とは?
「雰囲気」と同じような意味を持つ言葉には、「ムード」「空気」「気分」などが挙げられます。それぞれの意味をみていきましょう。
1:ムード
「ムード」の意味は、以下のとおりです。
ムード
1 気分。情調。雰囲気。
2 英文法で、法。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
ムードは英語で「mood」。その場、そのときの気分や感情を表します。「あのふたりはいいムードだね」「街はクリスマスムードに包まれた」など、ロマンチックな場面でよく使われる傾向があるようです。
(例文)
・バーでふたりはロマンチックなムードに酔っていた。
・せっかくのデートであんなことを言うなんて、ムードがない人だな。
2:空気
空気には、「気体」という意味のほかにも、その場を支配している気分を指すことがあります。「雰囲気」と同じく目には見えないので、なんとなくその場がまとっている気配を感じ取るようなものでしょう。会話の中では、「険悪な空気」「学級の空気が一変した」というように使います。
(例文)
・ニュースから被災地の緊迫した空気が伝わってくる。
・夫婦喧嘩をした後、気まずい空気がその場を包んだ。
3:気分
「気分」の意味も複数あります。辞書で確認してみましょう。
き-ぶん【気分】
1 快・不快など、ある期間持続する、やや漠然(ばくぜん)とした心身の状態。
ア ある状況によってもたらされる、その時の心持ち。
イ からだの状態によって生じる気持ち。
2 その場の雰囲気(ふんいき)。趣。
3 気質。気性。
(出典:小学館 デジタル大辞泉)
ふたつ目の意味「その場の雰囲気」や「趣」が「雰囲気」とよく似ていますね。街やお店などに漂っているムードを表すときに使われることが多いでしょう。
(例文)
・音楽が会場の気分を盛り上げた。
・いつまで経っても正月気分が抜けない。
英語表現
「雰囲気」を英語で表現したい場合、「atmosphere」と「ambience」が挙げられます。それぞれ若干ニュアンスが異なりますので、うまく使い分けてみてください。
1:atmosphere
「atmosphere」は、「雰囲気、気分、ムード」という意味。日本語の「雰囲気」と同じように、気体を表す「大気」という意味もあります。
よい雰囲気であれば、たとえば「calm atmosphere(穏やかな雰囲気)」、「family atmosphere(家庭的な雰囲気)」「carnival atmosphere(お祭り気分)」など。悪い雰囲気であれば、「charged atmosphere(ピリピリした雰囲気)」「heavy atmosphere(重苦しい雰囲気)」などというように使えます。
(例文)
・The bar has a relaxed, friendly atmosphere.(そのバーはくつろいだ、親しみやすい雰囲気だった)
・Before the parade, the atmosphere was electric.(パレードの前で、気分は熱狂的だった)
2:ambience
「ambience」は、「(特徴的な)雰囲気」「周囲」という意味。とりわけレストランやホテルなど、特定の場所の環境について伝えたいときに使われることの多い単語です。
(例文)
・The restaurant had a delightful ambience.(そのレストランには楽しい雰囲気があった)
最後に
「雰囲気」は、音や香り、表情など目に見えないものも含むさまざまな要素から生み出されるもの。ある人にとっては「よい雰囲気だな」と思えるものでも、別の人が見ると「あまりよくないな」と感じられることもある、非常に曖昧なものであるといえるでしょう。
「雰囲気」は、便利な言葉だけに無意識に何度も使ってしまいがち。場面によって「ムード」や「空気」「気分」などと言い換えると、自然と表現力がアップするかもしれません。
あわせて読みたい