大掃除を効率化&家族をチームに!2024年をきれいな家で過ごすコツ
「日本のママは頑張りすぎています。努力家で真面目なママほど、家が散らかり放題になるのは、仕事、家事、育児、教育を完璧にこなそうとして、すべてを自分で抱え込んでしまうから。片付けや掃除が二の次、三の次になっていくうちに、散らかっている状況に慣れてしまう。その結果、汚部屋になっていることが多々あります」とは、お片づけ習慣化コンサルタント・西崎彩智さん。
西崎さんは、多くの個人カウンセリングを行い、片づけてもリバウンドしない家にする方法を教えてきました。
「これだけ、男女平等、男女同権とは言っていても、根深く残る“家事は女性がするものだ”という考え方。家が片づかない女性のほとんどが、“私が悪いんです。私が忙しくて家事ができないから”と言います。でも、そうではなく、家事は家族でするものだ、という考えに切り替えてきましょう。それがとても大切です」(「」内以下・西崎彩智さん)
Domani世代の母親の多くは専業主婦。女性が家事を担当し、家を整えることが当たり前として育ちました。でも時代は変わっています。1986年の男女雇用機会均等法の施行から37年が経過し、共働きがスタンダードに。
「夫婦で働いているのだから、共家事になってしかるべきなのに、“女性が家事をする”という社会通念はなかなか変わりませんでした。現在、56歳の私自身も、40代までは専業主婦をしていましたし、“そういうものだ”と思っていたのです。でも、それは間違っていた。家事というのは、夫婦で行うのはもちろんのこと、子どもたちも含めて家族というチーム全体でやるべきなのです」
そう強く言い切る背景には、西崎さんが家事を一手に引き受けて、家を汚部屋にしてしまい、離婚した経験があるからです。
「当時の夫がリストラされて、専業主婦の私も働きに出ました。それ以前、私は家事が得意で好きだったので、専業主婦時代は楽しみながら家を完璧に整え、食事を作っていたのです。しかし、働けば仕事に時間と労力が費やされていきます。当然、家は散らかり放題になっていき、子どもたちの食事は買ってきたものが増え、皆の不満は溜まる一方でした」
仕事も家事も中途半端…自己肯定感は下がる一方
仕事も家事も中途半端。散らかった家に帰りたくないと、家の外で過ごす時間も増えていきました。
「40代後半からの数年は、目に見えて自己肯定感が下がっていました。最終的には、ストレスで買い物に走り、家はモノだらけ。生活が荒むと、家族の心も荒んでいく。それに気付いたときに、家にある不要なものを徹底的に捨てたんです。床が見えるとともに、気持ちも晴れていき、生活も心機一転。離婚をして子どもたちと3人で再出発を切ったのです」
環境が変われば、マインドも変わる。西崎さんは、「家事を通じて、家族の意思疎通をすればよかった」と過去を振り返ります。自分の後悔を踏まえ、ママの意識改革と、家事の仕組みをつくろうと決意します。
「世の中に“片づけ方”を紹介した本は多々あります。それでも家が片づかないという人はたくさんいる。私が個別相談した1万人のうちほとんどが、複数の片づけ本を持っていました。私は自らの体験を通じ、“家が散らかる原因はテクニックではなく意識だ”と思っていましたが、それが正しいという実感を得たのです」
大掃除で家族をチーム化するための4か条
“大掃除は家族でするものだ”とママが意識を変れば、家族全員がチームになる。とはいえ、どのようにして家族を巻き込めばいいのかわかりません。
第一条目:“自分から動く”
「そのための要点は4つあります。第一条目は“自分から動く”です。おすすめなのは冷蔵庫の片づけです。賞味期限切れの食材、開封後3日以上手をつけていないものはすべて捨てるのです。食材は数字で期限が明記されているので、罪悪感なく処分ができる。ここで捨てる練習をしてから、私物に取り掛かってください」
冷蔵庫は家族が頻繁に見る場所。言葉にせずとも「ママは頑張ったんだ」と相手に伝えることが可能。
第二条目:“家族のアポ取りをすること”
「仕事でもそうですが、人は口だけの人の言うことは聞きません。冷蔵庫やパントリーを片づけ、あなたの本気を背中で見せるのです。続いて、第二条目は“家族のアポ取りをすること”です。事前に“○日は空いている?”と聞き、スケジュールの調整をしましょう」
ママが勝手に予定を決め、“今すぐ手伝って”と言われれば、夫も子どもたちも抵抗感を示すもの。それにイラっときてケンカに発展したという経験がある人もいるはず。
「“〇日にみんなで大掃除をする”と予定を決め、相手も了解したら、そこに責任が発生します。“みんなでやるんだ”という気持ちも生まれます。ママがチームリーダーのようなマインドになることが大切なのです」
三条目:“相手をコントロールすべからず”
そして、三条目は、“相手をコントロールすべからず”とのこと。
「これはコミュニケーションの問題で、上から“あれやって、これもやって”ではなく、“パパ、手が空いていたら、こっちを手伝ってくれるかな”とか、“○○ちゃん、ママと一緒にこれを片づけようか”など、相手が拒否反応を示さない伝え方を心がけるのです」
まさに、ママは家事のチームリーダー。仕事の経験やノウハウが活用できそうです。また、仕事は結果が出るのに時間がかかりますが、片づけは1日で目に見えて変化があります。ただ、このときに完璧を目指すのではなく、“前よりマシ”を目指すこと。
そして、2時間動いたら30分休憩するなど緩急をつけるのもテクニック。また、終わりがない作業は疲れてしまうので、1日目はひたすら不要なモノを捨てる、2日目は片づける、3日目は何もしないなど計画を立ててもよさそうです。
四条目:“家族にありがとうを伝えること”
「最後の四条目は“家族にありがとうを伝えること”です。相手の目を見て“あなたの作業で、家は片づいた、ありがとう”と伝えるのです。言葉で人は変わります。その積み重ねが片づけのイメージをポジティブに変えていき、散らかりにくい家になるのです」
「不用なものを捨てるだけでも、大掃除になる」という西崎さん。次回は、片づけた状態を維持する収納のコツを紹介していきます。
アイキャッチ画像:(C)Adobe Stock
1万人の個別相談実績を持つカリスマ「お片づけ習慣化」コンサルタントに学ぶ、絶対にリバウンドしない片づけのメソッド。片づけを「人生をリスタートさせるはじめの一歩」ととらえ、まずは片づけられない原因を徹底解明。その上で「賞味期限により〈捨てる〉〈捨てない〉が明確」「大小さまざまなモノがあるので他の部屋にも応用可能」「なにより家族が変化に気付きやすい」という理由から、片づけのスタートをキッチンに置き、家全体に応用できる片づけノウハウを伝授。
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教えてくれたのは
お片づけ習慣化コンサルタント・西崎彩智(にしざきさち)さん
株式会社Homeport代表取締役。1967年生まれ、岡山県出身。片づけを起点にママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト®」や、子どもたちが片づけを通して生きる力を養える「親子deお片づけ」を主宰。小中高と学校から講演の依頼も多い。昨今は、男性育休取得推進義務化の流れから企業による依頼も多く受け、「男性向け片づけ研修」の開催にも力を入れている。
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