そもそも罹患とは?
「罹患(りかん)」という言葉の意味や読み方を、ご存じでしょうか。字面から何となく「病気にかかわる言葉かな?」と、予想できるかもしれません。では、どのように病気にかかわる単語なのでしょうか。本章では「罹患」という言葉について、意味や似た単語との違い、派生語である「罹患率」の意味を解説します。「罹患」を初めて聞いたという方は、ぜひ参考にしてください。
罹患の意味
「〇〇をこうむる」という意味をもつ「罹」と、病人を表す患者の「患」を繋げて「罹患」と書きます。各字の意味からもわかるように、「病気にかかること」を意味する単語です。重篤か否かには関係がなく、風邪を引いた場合でも癌に侵された場合でも「罹患」と表現できます。なお辞書で「罹患」を調べると、以下のような説明書きがされています。
[名](スル)病気にかかること。
〈小学館 デジタル大辞泉より〉
感染・発症との違い
罹患と同じように、病気を患った状況に関連する言葉として「感染」や「発症」があります。「感染」はコロナウイルスなど、特定の病原菌が体内に入り込んだことを表す単語です。つまり外部のウイルスが原因でない病気には使われません。「発症」は病気になり、何らかの症状が現れたことを意味します。病気になったことではなく、症状があることにフォーカスされています。上記2つに対して罹患は、どのような病気の場合も適用される、症状が現れる前でも使えるといった特徴があります。
罹患率とは?
罹患率(りかんりつ)とは、特定の病気にかかった人数の割合を示す数字です。人口に対して、その病気にかかった人の割合を示しています。病気になった人の人数そのものを表す場合は「罹患数」と表します。
罹患の類語
罹患と同じように、病気と関連した「類語」は複数あります。例えば「罹病」「発病」「疾病」「床に伏す」などです。本章では4単語、それぞれの意味について解説します。単語の中には、罹患とほぼ同様の意味で用いられる言葉もあれば、異なるニュアンスをもつ言葉もあります。共通している意味と異なる点、両方に注目しながらチェックしてください。
罹病
罹病(りびょう)は、罹患と同様に病気になってしまったことを意味する単語です。ニュアンスにも大きな違いはなく、罹患の言い換えとして用いても、問題ありません。場合によっては「罹病」のほうが、「病」という漢字がついているぶん、言葉の意味が推測しやすいかもしれません。
発病
発病(はつびょう)とは、病気にかかっているのはもちろんのこと、すでに症状も現れている状態を意味する言葉です。罹患の類語ではあるものの、症状が現れているかどうかといった点で、ニュアンスの違いがあります。
しかし注意したいのは、罹患に症状がないといったニュアンスは含まれていないことです。つまり症状が現れている場合でも、病気になっていれば罹患と表現できます。発病は「症状があること」を、より強調する単語と覚えておくと、2つの単語の違いがわかりやすいでしょう。
疾病
疾病(しっぺい)とは、病気(病)そのものを指す言葉です。罹患は病気にかかっている状態を示す単語であるため、病気単体を表す疾病とは、ニュアンスが異なります。「インフルエンザに罹患する」といった文章の場合、疾病はインフルエンザそのものです。