「許すまじ」とは? 意味をチェック
SNSなどで、「許すまじ」という言葉を見たことはありませんか? 「絶対に許さない」ということを意味する書き言葉ですが、インターネットでは異なる意味で使われるということも。誤用しないためにも、正しい意味を把握しておきたいですね。
まずは「許すまじ」の意味から見ていきましょう。
「許すまじ」は「許さない」という強い意志を表す
「ゆるすまじ」と読むこの言葉、日常会話やビジネスシーンなどではあまり使いませんよね。そもそもは古語として知られ、古文の教科書にも登場しています。
「まじ」は、強い打ち消しを意味する助動詞で、「〜するつもりはない」「〜ないつもりだ」ということを表します。このことから、「許すまじ」は、「許すつもりはない」「許さないつもりだ」という強い意志を意味すると考えてください。
インターネットスラングとして知られるように
上述したように、現代において「許すまじ」を日常的に使うということはほとんどありませんでした。しかし最近になり、SNSなどでインターネットスラングとして使われることが増えました。
インターネットスラングについては後述しますが、SNSでは「許すまじ」という言葉をよく見かけますので、思いのほか浸透していると言えます。「許さない」ということを表す場合に「許すまじ」を使うようですが、本来の意味よりは軽め。冗談まじりで、おもしろおかしく強調する場合に使われています。
「まじ」について、もう少し紹介
「許すまじ」の「まじ」について、もう少し見ていきましょう。「まじ」にはさまざまな意味があります。
「まじ」が意味すること
「まじ」を辞書で調べてみました。
【まじ】助動詞
1:打消しの推量の意を表す。…ないだろう。…ないに違いない。
2:打消しの意志の意を表す。…ないつもりだ。…するつもりはない。
3:否定されることが当然であることを表す。…するはずがない。…ないのが当然だ。
4:不可能の推量の意を表す。…できそうもない。…できないようだ。
5:不適当・禁止の意を表す。…しないほうがよい。…てはならない。…するな。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「許すまじ」の「まじ」は、「2」の意味。前にある「許す」を否定し、「許さないつもりだ」「許すつもりはない」という意味で使われています。
「許すまじ」使い方をチェック
ここからは「許すまじ」の使い方を見ていきましょう。今のところ、日常会話ではあまり使わないかもしれません。しかし、インターネットスラングが話し言葉として根付くのはめずらしくないこと。使い方を把握しておくと、役に立つかもしれませんね。
例文を紹介
《例文》
・どんな理由があっても、痴漢行為は許すまじ
・いくら催促しても貸したお金を返さない友人、許すまじ
どちらも絶対に許さないということを意味します。強い憤りや意志の強さを感じさせる表現です。いずれも、会話の中で使うというよりは、SNSなどの投稿で使うことが多いでしょう。会話で使う場合は、状況や相手をよく見極めることをおすすめします。
違うパターンの使い方も
《例文》
・GWで電車に人がいない。許すまじ
・待ち人が約束の時間に来ない。寝坊らしいが許すまじ
このパターンは、絶対に許さないというよりは、冗談めかして「許すまじ」を使っているイメージ。SNSではこのように使われることが多いでしょう。文章の前後に絵文字をつける、前後の文の表現を工夫するなどして、よりおもしろおかしく表現するパターンです。
このような使い方をするのは、友人同士や気心知れた仲間内が多いでしょう。SNS上でのみやりとりをするけれど、打ち解けている人に対しても使うかもしれません。
この場合も、メインとなるのは書き言葉。会話で使うこともあるかもしれませんが、SNS上で使うことが多いでしょう。
「マジで許す」ではない
「許すまじ」を、「マジで許す」だと思う人がいるかもしれません。「まじ」には、本気であるさまという意味もありますので、混同しやすいですよね。しかし、正しい意味は上記で説明した通り。これはSNSで使う場合も変わりませんので、誤用のないようにしてください。
「許すまじ」を言い換えるなら?
「許すまじ」と似た言葉を紹介します。言い換えの表現として使えるのは次の言葉でしょう。
・見過ごせない
・見逃せない
・許容しない
・容認できない
・勘弁できない
上記はいずれも、「受け入れて認めることはできない」や「許すことはしない」などを意味します。シチュエーションにより言葉をうまく使い分け、言い換えの表現にするといいですね。
インターネットスラングで注意すべきこと
上述したように、「許すまじ」はインターネットスラングとして浸透しています。ここからは、インターネットスラングについて紹介します。
インターネットスラングとは
インターネットスラングとは、インターネット上のBBS(電子掲示板)やSNSなどで発生し、使用される俗語のこと。「ググる」「コピペ」「リア充」なども、インターネットスラングに当たります。
インターネットスラングは、言葉の入れ替わりが非常に早く、ついこの間まで流行っていたのに「その言葉はもう古い」と言われてしまうことも。また、誹謗中傷や揶揄(やゆ)の意味で使われる言葉も多く存在します。
定期的に意味を確認
インターネットスラングは、便利で楽しい言葉ですが、中には侮辱的な意味合いで使われるものも。意味をよく知らないまま安易に使うと、相手を傷つけてしまうかもしれません。また、インターネットスラングを公の場やビジネスシーンなどで使うと、批判される可能性が高いですから、その点も注意したいですね。
言葉は時代とともに変化するもの。自分が捉えている意味とは、異なる使い方がされているということも少なくありません。このことを踏まえると、言葉の意味を定期的に確認するのも必要と言えるでしょう。
最後に
「許すまじ」について紹介しました。古語として使われていた言葉ですが、最近ではインターネットスラングとしてSNSに登場しています。意味は同じですが、ニュアンスが異なりますので、どちらの意味も把握しておくといいですね。インターネットスラングに限らず、言葉は変化するもの。知っている言葉であっても、定期的に意味の確認をする方がいいかもしれません。
TOP画像/(c)Adobe Stock
【関連記事】