「盗人猛々しい」とは?
身の回りに、悪いことをしても謝罪せずに、開き直っている人はいませんか? 「反省の色が見えないな」と苦々しく思う人もいるかもしれませんね。そんな時に使われるのが「盗人猛々しい」という言葉です。本記事では、「盗人猛々しい」の意味や使い方、類語を解説します。
意味や読み方
「盗人猛々しい」は、「ぬすっとたけだけしい」もしくは「ぬすびとたけだけしい」と読みます。意味は以下のとおりです。
盗みをしながら平気でいたり、悪事をとがめられて逆に居直ったりすることをののしっていう語。ぬすびと猛々しい。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「盗人猛々しい」は、盗みなどの悪いことをしたにも関わらず、悪びれもせず開き直っている時に使われます。このような人は、悪いことをしても罪悪感が芽生えることはありません。他人に迷惑をかけても謝罪せず、食ってかかってくるような人を見て、「盗人猛々しい」と表現します。
「猛々しい」の意味
そもそも「猛々しい」とは、どんな意味でしょうか? 「猛々しい」には、「勇ましくて強そう」というポジティブな意味と「図々しい」「図太い」というネガティブな意味があります。
芯が強くどんな困難にも立ち向かうことができる反面、自分勝手で図々しいという性格も併せ持った言葉と言えるかもしれませんね。
使い方を例文でチェック!
どのような行為や態度が「盗人猛猛しい」と呼ばれるのか、例文でチェックしていきましょう。
1:万引きをしたのに謝りもしないなんて、盗人猛猛しいというものだ。
盗みをしてもお店の人に謝罪せず、何もなかったかのように平然としている姿は、まさに「盗人猛猛しい」というもの。とても反省しているようには見えないでしょう。お店の人や警察官に咎められても仕方ありませんね。
2:ポイ捨てを注意した人に言いがかりをつけるなんて、盗人猛猛しいにもほどがある。
盗み以外にも、ポイ捨てや落書きなどの迷惑行為にも「盗人猛猛しい」を使います。迷惑行為をした上、それを注意した人に暴言を吐いたり、喧嘩を売ってくるのはタチが悪いですね。自分は悪くないと開き直っているからこそできることかもしれません。
3:上司から怒られても悪びれもしないなんて、盗人猛猛しいとは彼のことだよ。
「盗人猛猛しい」と言われる人には、罪の意識がありません。自分のしたことを後悔したり、誰かに迷惑をかけたと申し訳なく思うこともないようです。反省していないため、また同じ過ちを繰り返すこともあるでしょう。
類語や言い換え表現は?
「盗人猛々しい」と似た意味を持つ言葉は、「厚かましい」「恥知らず」「太々しい」「面の皮が厚い」です。「罪を犯す」という意味は含まれていませんが、「図々しい」「反省しない」点が共通しています。早速意味を見ていきましょう。
1:厚かましい
「厚かましい(あつかましい)」の意味は、以下のとおりです。
[形][文]あつかま・し[シク]行動や態度に慎みがない。ずうずうしく遠慮がない。「―・い人」「―・いお願いで恐縮です」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
図々しく遠慮することがない様子を「厚かましい」と表現します。例えば、しょっちゅう金を無心してくる人に対して、「なんて厚かましい人だろう」と苦言を呈することを指しますね。図々しい振る舞いが「盗人猛々しい」と類似しています。
(例文)
・「厚かましくお願いに上がりました」と姉は言った。
・「よくそんな厚かましいことが言えるな」と父は怒った。
2:恥知らず
「恥知らず(はじしらず)」の意味は、以下のとおりです。
[名・形動]恥ずべきことをして平気でいること。厚顔であること。また、その人や、そのさま。「―な行為」『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
恥を恥と思わないことを「恥知らず」と表現します。悪いことをしても反省することがなく、どこか道徳観が欠如している点が「盗人猛々しい」と似ていますね。また、相手に裏切られて「この恥知らず!」とののしる時に使われます。
(例文)
・全く君のような恥知らずは見たことがない。
・恩人を裏切るなんて、恥知らずにもほどがある。
3:太太しい
「太太しい(ふてぶてしい)」の意味は以下のとおりです。
[形][文]ふてぶて・し[シク]
開き直っていてずぶとい。大胆不敵である。「―・い面構(つらがま)え」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「太々しい」とは、開き直っていて性根が図太いこと。悪いことをしたにも関わらず、謝ることなく平気なふりをしていたり、図々しく居直る姿を見て、「なんて太々しい態度だろう」と憤慨することもあるでしょう。あまり良い印象を抱かれていないことがわかりますね。
(例文)
・あの太々しい面構えが気に食わない。
・新しく入ってきた後輩はどこか太々しい。
4:面の皮が厚い
「面の皮が厚い」とはどんな意味でしょうか?
恥を恥とも思わない。ずうずうしい。厚かましい。「また金の無心とは―・い奴だ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
恥知らずで図々しいことを「面の皮が厚い」と表現します。ドラマや漫画のセリフで「全く、面の皮が厚い奴だ」とため息をつくような場面を見たことはありませんか? あまりいい意味ではないので、目上の人には使わないのが無難です。
(例文)
・彼は面の皮が厚いせいか、平気な顔をしている。
・平気で人の作ったものを食べるなんて、面の皮が厚いよ。
最後に
「盗人猛々しい」とは、「盗みをしながら平気でいたり、悪事をとがめられて逆に居直ったりすることをののしっていう言葉」。迷惑を被った人が、反省しない相手の態度を見て「なんて盗人猛々しいんだろう」と憤慨する時に使います。
悪いことをした上に、逆に居直る姿は見ていて気持ちのいいものではありませんね。似た意味を持つ言葉として、「厚かましい」「恥知らず」なども合わせて覚えてみてはいかがでしょうか?
TOP画像/(c) Adobe Stock
【関連記事】